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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
メイド 編
13/174

二人目の転生者

新たな転生者 登場!

 

「「「「別れなさい!」」」」


 私。ユリナはコワーイお姉さん達に囲まれています!怖いです刺し殺されそうな目です!

まあ。予想はしていたので気にしない事もない。


「誰とでしょう?」


 怖いです!分かってます!誤魔化してます!


「シュエに決まってるでしょ?貴女は顔だけでなく頭も悪いの?」


 うわおっ!美人なだけに迫力満点だよ!

 ハイハイ。顔は悪いですよ


「・・・・私ごときに、シュエ様のような素晴らしいお方に、別れを言うな・・ど不敬を働くことは出来ません。

シュエ様も一時の気の迷いでありましょう。

・・・その内、シュエの方が飽きられると思います。

・・・・それに、私のような者から別れを切り出す等、あの方の誇りを傷付けてしまうかも知れませんわ」


 よーし!言い切った!

 最後に畳み掛けるぞ!


「それに王女殿下。貴女様は、女神の様に美しく目映い、シュエ様も直ぐに貴女の虜となりましょう。

今はまだ、女性の扱いを私を使い学んでいるだけだと思います」


 ユリナが伺う様に、目だけで回りを観察する(頭を上げて良いと言われて無いから)

 姫様は相変わらず険しい顔をして、他の侍女達は何やら考えている。


女官長だけは、安心したように微笑み姫様にに語りかけた。


おい!変わりすぎてキショイぞ!


「そうだったのですね!姫様。シュエ様は姫様の為に、嫌々この娘と付き合ったのですよ。

女性を知らなければ傷付けてしまいますから、平民の娘なら万が一結婚を迫られたとしても、断る事ができると言うことです。」


 姫様は、不満な様な拗ねた様な顔をして女官長にぼそりと呟く。


「シュエになら・・

傷付けられてもいいわ・・・そう・・私と付き合う為に・・シュエ・・・・」


 姫様は、顔を赤くしてうつ向く。


 まだ周りの目が怖い。早く退室したいよ・・・・・

 姫様はバッと顔を上げると、侍女達に向かって口を開いた。


「なら、私も自分を磨かなければ!香油とお風呂を準備なさい!ああ、貴女は宿舎に帰って良いわ。

不器用と聞いたもの・・私の肌が傷付けられてしまうものね。行きなさい」


 ユリナは深く頭を下げる。


「はい。失礼します」


 ユリナが部屋を出ると、風呂の準備の為に出てきたはずの侍女と、女官長に捕まった!うわっ!また睨まれた!


「・・・・さっきは、姫様を落ち着かせる為にああ言いましたが・・・あれは、只の誤魔化しなのは分かります」


 女官長・・やっぱ気付いたか。


「日頃の、シュエ様の態度を見れば分かります。

ユリナユリナと!姫様がどれだけ傷付いたか!」


 侍女も怖い目をしてるよ!


「貴女のせいよ」


 女官長は、何か企んだ様に顔を歪めて話続ける。


「貴女を呼んだのは私です。姫様にお願いしました。

シュエ様は今は貴女に夢中です。

忌々しいですが事実です。

その貴女が此処にいれば、シュエ様は姫様の呼び出しに喜び応えるでしょう?

あの方が、頻繁に姫様の所に通えば噂は広まります。

公爵家も、結婚を断れなくなるでしょう。

平民の貴女を・・・侍女等と言う、大役に就けて差し上げた私に恩を感じるでしょう?」


 一ミリも感じません!言えたら良いけど言ったら殺されそうだよ!


「ありがとうございます」


 ニッコリ笑う。嬉しそうにするのがキツイ・・・・・

 すると、女官長は卑しく笑う。


「そうでしょ?ならば協力なさい。

姫様は、幼い頃からシュエ様を愛しています。

しかし、シュエ様はいくら呼び出してもなかなか姫様の元にこようとしない。

悲しみにくれる姫様は可哀想でなりません!やっと姫様の元に来たと思えば、貴族としての最低限の挨拶だけで、姫様は毎日泣き暮らしているのです!」


 だから何だよ。

毎日毎日、貴重な非番の日まで呼び出されて嬉しい訳ないだろ!

 すると、女官長の目が怪しく光る。


「可哀想でしょ?不憫でしょ?だから・・・・・」


 女官長は、バッと羊用紙をポケットから取りだしユリナに手渡す。

 なんだこれ?


「シュエ様に頼んでこれに、サイン貰ってきなさい!」


 これ!婚姻契約書じゃないか!しかも姫様のサイン既にあるし!

うわっ王様のサインも・・あれ?バルバロ様のサインもないか?

圧力に屈したか・・・・・


「分かりました。出来る限りの事は致します」


 出来る限りしかしないがな。


「頼んだわよ」


 女官長がやっと手を放してくれた。

痛かったよ・・・


 そして、女官長はそのまま上機嫌で去っていった・・・


 宿舎に戻るか・・・・・


 あっ!シュエの所に行かないとな!


 ユリナは、この紙切れをシュエに見せる為に近衛騎士団の詰め所に向かう。

暫く歩いていると、その途中に庭園を見つけた。


 小さい庭園だ。


 近くにいた下女さんに聞くと、何代も前。

側室の一人が、王に願って作らせたものらしく、華美を嫌う娘だったので大きな花はない。


この国で余り見かけない花を珍しげに、見ていると声が聞こえた。


庭師に入って良いか聞くと、別に構わないらしいので入ってみる。




声が気になる・・・



中に入ると声は歌だった・・・・

あれ?この曲!あの有名なアニメの曲だ!

 嗚呼!懐かしい!しかもこんな美声で!嗚呼!ボイスレコーダーか無いのが悔やまれる!

ユリナは、歌を邪魔しない様にユックリ近づいた。

声がよく聞こえる木の影ので、声の主に見えない位置に行くと、立ち止まり耳をすませた。


嗚呼!素晴らしい!この世界でアニソンを聞けるなんて・・・・・

あれ?アニソン?何で・・・・・

転生者?転生者か!なっ仲間がいた!興奮してしまいガサッ木の葉を揺らしてしまう、すると歌がピタリと止まった。


嗚呼!あと少しで曲を最後まで聞けたのに!


「誰?」


ユリナは木の影から出ると、頭を下げる。


「勝手に聞いて申し訳ありません。

私はユリナ。ユリナ・ウイングと申します。」


「あら?貴女がユリナ嬢」


 ・・悪い噂でも流されてるのかな・・・・・・


 クルッと振り替えたユリナは、女性の姿に見見惚れてしまった。


華美ではない、服装は飾り気のない簡素なドレス。


 顔は可憐な感じ。澄んだ水面の様な優しい目。神秘的に揺れる黒髪・・・・・

 何処の妖精だ!


「あっ!御免なさい。自己紹介してなかったわね。

私は第二王女イデア・リーベン・ゼルムギュウム。

初めまして氷の騎士の恋人さん」


 ユリナはビックリ。

 姫様か!ってか、シュエ。氷の騎士って呼ばれてたのか・・・

いや!気になる所は其処じゃない!


「イデア様・・さっきの曲・・・・・」


「ああ。あれね・・・え〜と」


 イデアが考え込んでいると、ユリナが片手を上げて宣言する様に言う。


「イデア様!私は柳田美里(ヤナギダミリ)と言います!」


 イデアは、ビックリして目をむく。


「え!もしかして・・・・・」


「はい!日本人でした!」


 イデアは、ユリナの手を取って二人してピョンピョン跳び跳ねる。


「私は白川優子!大分県民!」


 ユリナも興奮して、声がおかしく震える

 つい方言が出てしまった。興奮したんだよ!


「え!本当!うちも、大分県民!佐伯市市民!」


 イデアも方言になった。

あれだよ都会に出た人が、電話越しに地元の人と話すとなるやつだよ


「うちは豊後大野市!てか。隣の市じゃないの!」


 なんと!すんでた場所も近い!


「うわーすごっ!転生仲間のしかも同郷に会えるなんて!」


 ん?市が違うから同郷じゃないか・・・・・まあ、いいか・・・・


「本当!うちは交通事故!駅から出て歩きょったら車が前から・・・・

せめて後ろからやったら・・・・・

おじい思いせんでよかったに・・・」


 イデアがうーと泣きそうになる。思い出したようだ事故の時を・・・・・


「うちも交通事故。

スクーターで軽トラとガシャン。

うちは一瞬やったから おじい思いはしちょらんな。

気づいたら此処におった・・・・・まあ、過ぎた事はどけぇでんいいわ。

それより、優子ちゃん?イデア様?」


 ユリナも嫌そうな顔をした。死んだときなど思い出したくもない。

 名前を呼ぼうとして迷う・・

どっちだ。


「イデアで。今のうちの名前やからな」


「じゃあ。イデア様。イデア様もアニオタ?」


「うん。アニメ、漫画、小説。ボカロ大好き!勿論BLも」


 ユリナは、フフッと笑ってニャッとする。


「おお!腐れ女子!略して腐女子!どうでもいいけど昔。兄ちゃんが汚い部屋の女子を腐女子って言うんだと勘違いしちょったんよなー」


「どげぇしたん?」


「そりゃあ・・・・・詳しく説明しちゃった。けど」


「けど?」


「途中で遮られていい募ろうとしたら、殺すぞ!って怒られた」


 イデアはウンウン頷く。


「やっぱりな。みーんな男は気持ち悪いって言うんよな」


「そうなんよ!その類いの本置いちゃろうか!って言うと殺すぞって」


「よっぽど嫌やったんやな・・・・・」


「嫌がられると・・したくならん?」


 フフッと腐れ女子は笑う。


「なるなる。うちも弟のオカズをBLと交換して1ヶ月口聞いて貰えんかった!」


 何のオカズかは・・ご想像にお任せします。


「おお!勇者!うちは恐ろしくて出来んかった!」


 その時。ガサッガサッ!!木の影から長身の影が飛び出できた。

シュエだ!


「ユリナ!何処だ!いた!」


 思わず二人は手を放して、シュエを見る


「シュエ!」


「シュエ様!」


 ユリナは、ん?とイデアを見る


「様?」


「エカテ様の婚約者候補やもん!!うちが呼び捨てなんかしたら、エカテ様の取り巻きに、どんな目に遭わされるかわからんやん!」


「確かに、なんかやりそうやな・・・・・女官長が特に・・・」


「ああ。もう何か言われたん?あんし凄いやろ?」


「うん。殺られるかと思うたわ!あんしはイデア様にもああなん?」


「うん。うち側室の娘やから・・・」


 イデアとユリナは、第三者の存在をスッカリ忘れていた。

そういえば、シュエがいた!


「おい・・・何語だ。それは」


 シュエは、二人の意味のわからない言葉(大分県南部の方言)を怪しむ


「イデア様。ユリナとは初対面だと思うのですが」


 イデアは悩む。転生なんて信じて貰えるか・・・・・


「シュエ。私、転生者なのよ」


 ちょっと!言って良いの!


「そして、イデア様も転生者」


 言っちゃった!

 シュエは伺うような目でユリナを見る


「そうか。所で元の世界に帰れるのか?」


 シュエが聞くと、ユリナは即答。帰れるわけがない


「帰れないよ」


 するとシュエは、安心したように息を吐きユリナに言う。


「ならいい。転生者だろうが何だろうが、お前が手の届く場所に居ればそれで・・・良い・・・」


 シュエは、ユリナの顎に手を置いて・・・・・

 ちょっと待て!


「私、部屋に帰る!私が居なくなってから続きして!あっ!ユリナ!朝のこの時間なら私はいつも此処にいるよ!

だから、来てねいっぱい話そう!じゃあね二人共!バイバイ!」


「うん!絶対くるよ!」


 ユリナとイデアは、互いに力一杯手をブンブン振って別れをしのんだ。


イデアがいなくなってから、ユリナは当初の目的を思い出す。忘れてた!


「シュエ!忘れてた!女官長からこの書類にサインしてってさ」


 ユリナは、結婚契約書をシュエにさしだした。


受け取ったシュエは、親の仇の様に契約書を見る。ビリッと破ろうとしたので慌てて止めた!やめろ!


「やめて!破らないで!

サインしないなら、シュエから女官長に返して!じゃないと・・・渡してないって女官長に文句言われる!」


 シュエは、ユリナの言葉にピタリと止まり契約書を丸める。


「分かった。今すぐ突き返してくる。他に用事も出来た。

ユリナ・・・送ってやりたいが・・・」


「良いよ。女性の宿舎には入れないもんね。早く行かないと帰るかもしれないし。私は一人で大丈夫よ」


「分かった。じゃあ、また明日」


「うん!また明日!」


 走り去るシュエを見ながら、ユリナは思う。

バルバロ様・・殺されるかもね・・・・・










 数分後。

 近衛騎士団長の執務室前では・・・・・


「父上・・私に言うことがあるでしょう?」


 不穏な空気を発する息子に、バルバロはビクつく。


 言うこと?ん〜昨日チェリーパイを一人で全部食ったことか?いや!一昨日アップルパイを間食したことかも・・・ん〜と唸る父にシュエはキレた。


「私は・・・エカテ様と婚姻は嫌だと言ったよな。何故、婚姻契約書にサインした?」


 シュエは、父に近づく。

一歩歩くたび・・・・パキンパキンと足跡が凍った。

怒りのあまり魔力制御ができていない証拠だ。


「え!サインしてないぞ!」


 父の言葉に、シュエの眉がピクッと動く・・

まさか・・・・・


「・・・執務の時。書類読んでるか?」


 バルバロは即答した。


「読んでない。だってサインするだけの書類しか来ないしな」


 シュエは目をつり上げて怒る。

その瞬間。バルバロは足からパキンパキンと凍り始めた・・・・・


「うわっ!シュエ!」


「混ぜられてたんだ!というか、書類読まないとは何事だ!サインは確認のためにあるんだ!何を考えている!」


「しっシュ・・・・・」


 そして・・バルバロは完全に凍りついた。


 シュエは、丸1日・・・氷像と化したバルバロを放置する。

父親に慈悲をかける事は無いらしい。


そして、シュエは新たな恐怖伝説を作り出した。








 数年後。

王都の下町では、言うことを聞かない子供に、母親がこんな脅し文句を言うようになる。


「言うこと聞かないと!シュエ様に凍り付けにされるわよ!」


 本人だけが知らない話・・・・・



大分県方言の説明

「おじい」

怖い。恐ろしい。

「あんし」

あの人

大体こんな感じです!

次の更新は二日後位です!

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