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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
三人旅編
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ケントルム王の決意

 

 小人族の女性。ミミルの結婚式が無事終わり、ユリナ達はケントルム城に戻って来た。


 本来の目的。国宝を返却するためだ。


 ユリナ達は謁見を申し出て、それは受理されたのだが・・


「・・ケントルム王陛下・・疲れてますね」


 ユリナ達が王の執務室に行くと、目に隈を作ったケントルム王が、書類を片手に持ちながら座っていた。


「誰のせいだと思っている!」


 ケントルム王は、ユリナをギロリと睨みながら怒鳴る。

しかし・・怒鳴られたユリナは、まったく動じず(怒ったタンペット先生の方が怖い)ニコニコ笑って口を開いた。


「陛下のせいですね」


「はあ?!」


 何言ってんだこいつ!!


 ケントルム王は、ジロリとユリナを睨む。


どう考えても・・自分が睡眠時間さえ削られているのは、ユリナが流した噂話のせいだ!!


 しかし・・ユリナはニコニコ笑って・・


「だって。ケントルム王陛下が、被害が出る前に対策をしていれば・・これ程苦情は出なかったはずですよ?」


「くっ!」


 ケントルム王は、悔しそうに歯噛みしながらユリナを睨む。その通りなので反論出来ない。


 ケントルム王が腹立たしげにユリナを見ると、ユリナニコニコ笑ってケントルム王に話しかけた。


 さっさと用事を終わらせるために。


「そうそう・・今日は国宝。

 オリハルコンの剣を返却に参りました。私達は、そのあと直ぐに国を出ます」


 ユリナがニコニコ笑って言うと、ケントルム王はちょっと待て!とばかりにユリナに向かって口を開いた。


「直ぐにか?舞踏・・」


「国を出ます!!」


 ケントルム王が離し終わらない内に、ユリナがズイッと前に出て力強く言い切った。


「・・舞踏会・・嫌なのか?」


 ケントルム王が恐る恐る(ユリナの背後にいる二人が、殺気を放ち睨んでいる)ユリナに聞くと、ユリナは真っ直ぐケントルム王を見つめて口を開いた。


「・・もし過去に行けるなら・・舞踏会の文化を潰します」


 ・・存在すら消したい程嫌いらしい・・余程。舞踏会で嫌な目にあった事があるようだ・・


 背後の二人が身分や顔共に極上なので、多分貴族令嬢達に嫌がらせでもされたのだろう。ユリナの背後の殺気が膨れ上がる・・これ以上・・ユリナを怒らせると命が危ない。


 ケントルム王は、恐怖の中。ユリナにコクリと頷いてから口を開いた。


「・・そうか・・謁見の間を使えるように準備するから少し待て」


 国の大事な国宝を、執務室ごときで返却してもらう訳にはいかない。


 ユリナは不満顔だが、こればかりは譲れない。


ケントルム王が立ち上がると、王の横で立っていたケントルム国の宰相が、ユリナに近付いてきた。


「ユリナ様。ドレスに着替えて来てください・・下女の制服ではさわりがありますので」


 ユリナは今、ケントルム国の下女の制服を着ている・・・・・馴染みすぎて・・・・着替えるのを忘れていた。


「あ!そうですね・・ん?私は平民なので、様はいりませんよ?」


 ユリナが宰相にそう言う。


 すると、宰相はなんとも言えない顔をしながら首を振った。


「・・いえ・・貴女を呼び捨てするなど恐ろしいですので・・」


 宰相は、チラリとユリナの背後をみる。

 ユリナの背後で、ずっと自分達を睨み付けているシュエとグレルは、執務室に入った瞬間から常に臨戦体制だ・・正直早く帰ってほしい。


「え?恐ろしい?」


 ユリナは、目を丸くして背後を振り返った。

 ユリナが振り返ると、二人は殺気を引っ込める。しかし・・再びユリナが前を向くと、此方を睨み付けてきた。


 ユリナ第一主義者らしい・・


「いえ・・何でもありません」


 余計な事を言えば命が危うい。


 宰相は二人に対して、何も言わずに頭を下げた・・怖すぎて二人を直視出来ないからだ。


 そしてシュエとグレルは、用はすんだとばかりにユリナの手を引いて、着替えるために別室に向かった。




 数分後。


マッハで、謁見の間を使用できる状態に整え(侍女や女官達は涙目だった)国宝を恭しく掲げたユリナが口を開く。


「長らくお借りしていた国宝をお返しいたします」


「確かに」


 ケントルム王がそう言うと、宰相が宝剣を受けとる。これで返却の儀式は終わりだ。


 ケントルム王は王らしい、威厳に満ちた声でユリナ達にいい放った。


「退室を許可する」


「「「はっ!」」」


 ユリナ達は一礼すると、謁見の間を後にした。





 そして更に数時間後。


無事。濡れ衣を晴らしたユリナ達は馬車に乗り込んでいた。

 その馬車の前で、ケントルム王と宰相が立っている。


ユリナ達を見送るためだ。


「では!皆様お世話になりました」


「ああ」


 ユリナが馬車の中から、ケントルム王に向かって笑うとケントルム王も儚げに笑う。


・・大分お疲れなようだ。ならばもっと疲れさせてやろう・・


 ユリナは、楽しそうにニヤリと笑ってから、ケントルム王に向かって話しかけた。


「陛下!そう言えば貴族の中に、上位竜種の奴隷を持っている方がいるらしいですよ?」


「!?何!下位なら分かるが上位竜種が!何故だ!」


 ユリナの台詞に、ケントルム王は飛び上がる。


 竜種はこの国では、かなりの影響力を持つ種族だ・・本気で不味い。


「まだ幼子らしいです」


 竜種の幼子が、領地から出てくる訳がない!!

 拐ったのかもしれない・・本気で不味い。


「誰だ!」


 ケントルム王が、ユリナに詰めより犯人を教えろと叫ぶ。


・・早くしないと竜種に攻め込まれる!


「・・団長の息子さんです」


 ・・又もや・・あのバカの一族か!!


「クッソ!早く言え!宰相行くぞ!」


「はい!」


 ケントルム王はユリナに悪態をついてから、宰相と一緒に城へ駆けていった。


 その後ろ姿を見ながら、ユリナはニコリと笑いながら真剣な目をしなかがら呟く・・


「頑張ってくださいね陛下。国を保つ為に」



 数日後・・・

団長の一族は、財産や爵位の全てを王に取り上げられ王都を追放に処された。

竜種の幼子は無事。親元に返り、犯人を教えると、竜種の親は追放された一族を連れていった。


その後。団長の一族がどうなったかは竜種しか知らない・・・


 それから一月後。


 ケントルム王は国中の貴族に向けて宣言する。


 ゛亜種族゛と言う言葉を使用禁にすると、亜種族は人間と外の種族を分ける言葉。人間が上位だと言っている様なものだ。


 我が国は多種族国家。全ての種族に王がいる。それを忘れるなとケントルム王は宣言した。


 この演説の効果が出るまでには、数十年はかかるだろう・・

気長に待てば、いつの日か・・・




ケントルム王の決意でした・・・・・

ケントルム王の行動が・・・・・実を結ぶのは彼の子供の治世になってからです・・・・・

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