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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
三人旅編
122/174

小人族の結婚式

 


 ユリナが、ミミルの結婚式のためにビクビクしながら国境の町に来ると、町の小人族達が総出で待ち構えていた。


「ユリナさん!!すまねぇ!」


「石を投げて御免なさい!!」


「御免なさい!」


「ごめんなさい!」


「ごめんなさい!」


 小人族達は、次々に謝罪の言葉を口にしながらユリナに頭を下げる。ミミルから全てを聞いた小人族達は、心底自分達の過ちを恥じた・・


 何故。可笑しいと思わなかったのか・・・・・・


ミミルが、ヒューマンに言い寄られて迷惑しているから注意してくれ!と言っても無反応だったのにも関わらず、何故通報する前に、あの場に兵士達がいたのか・・


 店の客はユリナ達しかいないのに、何故わざわざ厨房で殺されたのか・・


 兵士達は一撃で斬り殺されているのに、何故夫妻は殴られた後が有るのか・・・

これだけ不審な状況で、何故兵士達を信じてしまったのだろうか・・


多分・・ユリナ達が外国人だったのが大きかった・・


 言い訳にもならないが、彼らが出来るのは謝罪とおもてなし位だ・・だから・・・


「どんどん食ってくれ!」


「おかわりも沢山あるわよ!」


「この宝石どう?」


 ユリナは怒涛の勢いで接待された。


 ・・しかし・・死ぬほど鬱陶しい・・


 ユリナは、うんざりしながら食事を口に掻き込む。一人が大好きなユリナは、集団に囲まれてチヤホヤされるのが死ぬほど嫌いなのだ。


 放置され・・ボッチになる方がありがたい。


「ありがとうございます・・でも・・もう寝ますね。お休みなさい・・」


 まだ眠くは無いが、若干胃痛がする。


 ユリナは早く此処から出たくて、小人族達にそう言うと寝室に向かい扉を閉めた。


 ガチャンと、寝室の鍵が閉まると・・小人族達は狼狽えた。


 何か粗相をしたのだろうか・・


 そんな小人族達に、グレルはユリナの性格を教えてやり、只こういう場が苦手なだけだと慰めた。


 シュエはホロー等せずに、無言でユリナについていっている。彼はマダ小人族を許していないみたいだ。


 翌朝。


 結婚式の当日に、昨日は悪かったと(小人族達は悪くない)小人族達が詫びの品を持って来た。


 空のように棲んだ・・透けるように青い石に、美しい鳥の細工を施した髪飾り。海よりも深い青い石に、フェザードラゴン(鳥とドラゴンを混ぜたような生き物)の細工が施され、銀の鎖をつけたペンダント・・ガチでユリナ好みの品だった。


「綺麗だ・・いいのですか?貰ってしまって・・」


 かなり値が張りそうな品だ。花嫁を差し置いて、自分が貰って良いのだろうか・・・


「ああ。ミミルを含む町人からの詫びの品だ!ユリナさんは、宴会のもてなしより・・・こっちの方が良いだろ?」


 ユリナ心底嬉しそうに、小人族達に晴れやかに笑った。


「ありがとうございます!!」


 それを見た小人族達は、やっとおもてなしが出来たと嬉しそうに笑った。


 そして・・・・・


 結婚式の会場(町の広場)にいくと、美しく着飾ったミミルが、少し照れ臭そうにはにかんでいた。

小人族の婚礼衣装は白らしく。まるで・・地上に舞い降りた天使みたいだった。

 結婚式はシンプルで、御神体(金属で出来た小人族の仙人みたいな人形)に祈りを捧げて、卵形の白い石を二つに割り(後で鋭い所をヤスリで削り、ケガをしないようにするらしい)一つずつ手に取った。


 例え離れていても、二人は一つという意味があるらしい・・


 しかし・・


「綺麗だね・・夫婦そろって」


 ミミルも美しいが、旦那も美形だ。


 そして結婚式が無事終わり、祝いと言う名の飲み会が始まると・・


「ユリナ様!」


「あっ!走ると転ぶ!」


 可愛いミミルが、トテトテとユリナに駆け寄ってきた。

 ユリナ思わず叫ぶが、ミミルは全く聞いていなかった。


「来てくださったんですね・・良かった・・あっ!それも身につけてくださったんですね!」


 ミミルはユリナの胸を見て嬉しそうに笑う。

ユリナの胸には、昨日。シュエ達に渡されたペンダントが光っていた。


 ユリナはこれが、結構気に入っている・・


「ありがとうございます。大事にしますね」


 ユリナがデレデレしながらミミルに笑う(シュエとグレルは若干・・不機嫌だ)

 するとミミルは、涙ぐみながらユリナを見上げた。


「こちらこそ・ありがとうございます!

 貴女方がいなければ、私は今頃。凌辱され・・下手をすれば殺されていましたから」


 ユリナは涙ぐむミミルを優しく撫でながら、優しい口調で語りかけた。


「やっぱり・・私の情報に誤りはなかったみたいですね・・大丈夫です。

 私は武力も知力もないけど、無駄に書物を読みアサリ、過去の偉人達の悪意に対する対応を熟知しています!

 これからは、このような事がおきぬよう・・王が目を光らせるでしょう」


 ユリナはニヤリと真っ黒い顔で笑う。

 ミミルは、何故。たかが小人族の小娘の事件で、王が神経を尖らせるのか分からない・・・・・


「え?何故ですか?」


 ミミルがユリナに聞くと、ユリナは楽しげに笑う・・・・・


「だって、今。死ぬほど大変な目にあっているでしょうからね」


 ミミルは、ユリナの瞳の奥にある暗い光に、ブルリと震えた・・何か怖い。


「・・何をしたんですか?」


 ミミルが不審げにユリナを見上げる。見るからに録な事はしてなさそうだ・・・

 そんなミミルに、ユリナは悪戯っぽく笑った。


「秘密です!」


 ミミルのような、純粋な女性には話せない。

ユリナとミミルが楽しく(楽しいのはユリナだけ)話していると・・・・・


「・・国中に噂をばら蒔いたのはお前か?娘」


 豪奢な服(中国の民族衣装みたいな服)を着た。二十代位の男性が、ユリナとミミルに近づきながら話しかけてくる。


 シュエとグレルは、男を刺激しないようにゆっくり近づいた。

 そして、ユリナに寄り添い警戒しながら剣に手を添えた・・・・・


小人族の結婚式でした!

次は謎の男性が・・・・・

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