怪しい!団長!
兵士達とユリナ達が転移すると、王城側の出口で一人の男性がユリナ達を待ち構えていた。
三十代後半くらいの筋肉質なマチョに、ユリナ達を引きずっていた兵士達の前にいた隊長が、思わず叫ぶ。
「団長閣下!」
団長と呼ばれた男性は、隊長に駆け寄り隊長に叫ぶ。
「息子が殺されたとは本当か!」
団長に聞かれた隊長は、部下達からユリナ達を受け取り団長に見せた。
「はい!コイツ等が・・おい!起きろ!」
隊長は、動かしてもピクリともしないユリナの頬を、おもいっきり バシッとひっぱたく。
「・・・ウグッ・・痛い!」
何度も殴られ、またも気を失っていたユリナは、涙眼で意識を取り戻した。
頭から足まで、まんべんなく殴られ蹴られた為。もう・・何処が痛いかも分からない・・
「お前達もだ!」
隊長は、ユリナの意識が戻ったのを確認すると、兵士達が引きずっているシュエとグレルも殴り付けた。
「くっ!」
「いっ!」
殴り付けられたシュエとグレルは、意識を取り戻し、自分達を殴り付けた兵士達を睨み付ける。
・・怖い・・兵士達は再び震え上がった・・
そして団長は、ユリナ、グレル、シュエを上から下までジロジロと眺めてから、隊長に向かって訪ねた。
「仕立ての良い服を着ているな・・貴族か?」
団長が聞くと、隊長は分からないと告げてから、ユリナ達の荷物を団長に差し出した。
「これが、この者達の荷物です!」
団長が、渡された荷物をあさっていると・・
「これは!」
オリハルコンの剣・・つまり・・この国の国宝だ。
団長が鞘から剣を抜いて、団長がじっくり剣を見つめていると、ユリナがおもいっきり叫んだ。
「あ!それに触らないで!それは・・」
「国宝じゃないか!貴様等盗賊か!」
ユリナが叫ぶと同時に、団長がユリナ達を怒鳴り付けた。
それを聞いたシュエとグレルは、無実だと叫ぶ。
「違う!」
「俺達は!盗賊なんかじゃない!」
しかし。二人の叫びも、相手が聞く耳持たなければ意味がない。
しかも団長は、あろうことか剣をユリナ達の荷物に戻さずに、部屋の扉に向かいながら隊長に指示をだした。
「これは模造品だ。
私が廃棄しておこう・・お前達はその者達を処刑し・・」
団長がピタリと止まる。団長の喉元には、国宝。オリハルコンの剣が抜き身で突き付けられていた。
突き付けたのは・・・
「シュエ!!止めなさい」
シュエだった。シュエは団長の手にあったオリハルコンの剣を、素早く抜き剣を突き付けたのだった。
そんなシュエにユリナは叫ぶ・・他国の団長を殺すのは不味い。
しかし、シュエは初めてユリナの意思に逆らった・・・
そして、ユリナの目を見てゆっくり口を開く。
「・・王の前で、魔力を込めた宣言をしろと言われるなら大人しく従った・・
だが・・このゲスは此処で処刑しておけと言った。
本来・・一団長程度に、処刑の権限等ない。
平民なら問題にならないかもしれないが、この男は我等が貴族なのかもしれないと疑っていた。それでも処刑しておけと言う・・
かなり怪しいだろう・・」
ユリナは思わず団長を凝視する・・確かに怪しい!!
「うっ・・こんな事をして只で済むと・・」
団長が身分を振りかざそうとしたが、シュエはバカにしたように笑って、団長に言った。
「私は、マグダリア王太子妃付きの近衛。
そして貴様等が殴り付けているその者は、マグダリア王太子付きの近衛。
そして、貴様等が汚い手で殴り付けた・・そこの愛らしい女性が、マグダリア王太子妃付きの侍女だ」
「!?」
団長は、見るからに青ざめた。不味いと今さら気づいたらしい・・
しかしシュエ・・私にだけ・・余計な言葉が多くないか?
「・分かったか?只で済まないのはお前達の方だ。私達を、ケントルム王の元に連れていけ」
シュエが、ぐいっと剣を団長に押し当てる。
団長の首から赤い線が・・
「!!くっ・・分かった!」
団長は、突然の命の危機に青ざめながら叫ぶ。
そして、団長を人質に取られて動けない隊長と兵士達と共に、王が(授与式があったらしい)いる謁見の間に向かった・・・・・
団長!命の危機です!




