小人族のミミル
引きずられていたユリナ達は、暫く意識を失っていた。
だが・・・
適当に引きずられ、ガスガスと色んな所に、ぶつけられながら引きずられていたせいで、直ぐに三人の意識が戻った。
そして三人の意識が戻ったのに気づいた兵士が、意識があるにもかかわらず、自力で歩こうとしないユリナの頭を殴る。
殴られたユリナは、頭から血を流して兵士を見上げた。
まだ、意識が朦朧としているらしい・・・
そんなユリナの頬を、兵士がおもいっきり平手打ちした。
「きびきび歩け!!」
「イタッ!」
頬を叩かれ。意識がハッキリしたユリナは、兵士に痛いと叫ぶが、兵士はユリナをギロリと睨み付けながらユリナの足を蹴る。
ユリナは、痛みに顔を歪めながら立ち上がり、兵士の後をついていた。
反抗すれば、もっとひどい目にあうだろう・・
ユリナより、数分早く意識を回復していたグレルが、ユリナを殴っていた兵士に叫んだ。
「俺達は良いが・・ユリナには暴力を振るうな!」
「五月蝿い!!」
ボコッとグレルを引きずっていた兵士が、グレルを殴り付ける。
殴り付けられたグレルは、ギロリと兵士達を睨み付けた。
睨み付けられた兵士達は思わず・・ブルリと震える。
グレルはそれほど、恐ろしい顔をしていた。
そしてそれ以上に、壮絶な殺気を放っている男がいる。
シュエだ・・・
「・・・・・殺してやる」
そう呟くシュエの殺気は凄まじく。殺気だけて兵士達は、心臓が止まりそうになっていた。
そんな・・恐ろしい殺気に晒された兵士達は、ガタガタ震えながらシュエを見る。
下っぱ兵士達には、かなり荷が重い相手だ。
誰も何も言えず、冷や汗をかきながら顔を見合わせていると・・
「転移陣の準備が出来た!移送するぞ!」
その時。
王都の街中に行く設定だった転移陣を、王城につくように設定していた隊長が、設定を終えて兵士達に走りよってきた。
それを見た兵士達は、隊長が戻ってきた事にほっとした。
それほど、シュエの怒りようが恐ろしかった様だった。
そして、隊長もシュエの怒りに少し怯んだが、部下の出前何も言わず(言えず)そのまま転移陣に向かう。
部下達も隊長を追うように、ユリナ達を引きずって転移陣に向かった・・
その頃・・・
惨殺事件があった店で、片付けをしていた小人族の女性が、調理場の隅で泣いているカラグとルシュの娘。ミミルを見つけた。
此処に、ずっと息を潜めて隠れていたらしい・・
小人族の女性はミミルを見つけると、慌てて大きな布をかけて(かなり体が冷えていた)抱き締めながら体を擦る。
そして、優しくミミルに語りかけた。
「怖かったね・・アンタの両親を殺した・・最低なヒューマンは兵士達が捕まえたから・・もう心配ないよ・・」
ミミルは、小人族の女性の言葉に首をかしげた。
え?・・確か犯人達は・・・
「捕まった?でも・・お母さん達を殺した人はお客様に・・」
小人族の女性は、ミミルの消え入りそうな声で口にした証言に驚愕した。
・・それが本当なら・・あの客人達は・・
「ミミル!悪いけど直ぐに出発するよ!」
小人族の女性はそう言うと、ミミルの手を引き食堂を飛び出る。
女性はミミルを引き連れながら、街中の小人族にミミルの証言を触れ回る。
そして、二人は転移陣のある建物に向かった・・早くしないと・・手遅れになってしまう!!急がなければ!!
小人族のミミルでした。
次はシュエが・・・・・




