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転生しても私は私  作者: 柳銀竜
三人旅編
114/174

小人族

 

 パォティス王が宰相に(宰相は悪くないぞ!)怒鳴り散らしていたその頃。



 パォティス国の国境の道を、一台の馬車が走っていた。


 国境の町通り抜けて、次第に岩肌が目立つようになってくると、そこはもう隣国ケントルムだ。


 そして、ケントルムの国境の門番に身分証を見せる。そして、すんなり町に入れた。

 因みに、ユリナ達が転移陣を使わないのは、ユリナが「転移陣を使うと旅してる気がしない!!」と主張したせいだ・・車酔いが激しいくせに!!


 そして宿屋で部屋を借りてから、夕食を食べに街に出た。


 街に出ると三人は食堂を探す。何故か人が少ないが、店はしっかり開いているようだ。


 そして三人は、良さそうな店を見つけて中に入る。しかし店員は見当たらない。ユリナ達がオーイと呼んでみると、服を引っ張られた。


 下を見ると・・膝くらいの身長の女の子(六歳くらい)が立っていた。


「御嬢さん。店の方を呼んで貰えますか?」


 ユリナがしゃがみ込んで、女の子に話しかけると、彼女は自分を指差してユリナに言った。


「私が店員だよ!ヒューマンさん注文は?」


 店員だったらしい・・


 まあ・・平民ならこのくらいの歳になれば、親の仕事を手伝ったりするから可笑しくはない。


 因みにヒューマンとは、亜人族が人間と自分達を分けるために作った造語だ。普通は亜人しか言わない・・・あれ?


「ああ。そうでしたか・・ではオススメはありますか?」


 ユリナが少女に聞くと、少女は少し考えてユリナに言った。


「なら・・岩兎のシチューなんてどうだい?」


「じゃあ、それを3つ」


「あいよ!アンタ!注文入ったよ!」


 ・・アンタ!もう結婚してるのか!!


 ユリナが驚愕していると、シュエがユリナに教えてくれた。


「彼女は・・子供ではなく小人族だ。

 見たところ・・四十は・・」


 シュエが、ユリナにコッソリと教えると、女性がユリナ達にシチューを持って(器用に三つ持っている)来ながら叫んだ。


「私は三七歳だよ!まだ四十じゃない!」


 ・・大して変わらないだろう・・・


 シュエはそう思ったが、口に出すことはなかった。ああいう女性にくちごたえをすれば、倍以上のダメージを食らってしまう。


 シュエとグレルとユリナは、大人しく椅子に座ると、女性がテーブルにシチューを並べた。


 ユリナ達が美味しそうにシチューを食べていると、グレルがパォティスを出る時に、ユリナが書き留めた手紙を思いだした。


「そういや・・あれ・・不味くないか?」


「良いよ・・国宝は返したしさ」


「ああ問題ない」


 イヤイヤ。流石にヤバイだろう・・・


聞かれたユリナとシュエは、平然と答える。

気にしない・・もしくは気にしたくないのかもしれない。


「・・お前ら・・本当に、エカテリーナ様が嫌いなんだな・・」


 グレルが染々しながら言っている・・


 ユリナはもう既に、パォティスに興味すらない。


 ユリナが今。興味があるのは目の前のシチューだけだ。


 ユリナ達は、パォティスを急いで出てきたので、携帯食位しか持っていなかった。だからこのシチューは、今日初めてのちゃんとした料理だったのだ。


 ユリナは、一口食べて顔を綻ばせる・・


「美味しい!肉柔らかいよ!」


 ユリナがそう叫ぶと、隣のテーブルを片付けていた先程の定員の女性が、可笑しそうに笑った。


「ああ・・岩兎って名前だから岩みたいに硬い!なんて思ってたのかい?アイツ等は皮が岩で出来てるだけで、肉は柔らかいんだよ?」


 定員が岩兎について説明してくれたが、ユリナは欠片も聞いてない。


 ユリナはガツガツ食べ続け、シチューをあっと言う間に間食した。


 そして、空になった深皿を定員に差し出す。


「おかわり!!」


 ユリナは頬に、シチューのカスをつけながら笑う。そんなユリナを見て、定員はクスクス笑いながら皿を受け取った。


「はいよ!少し待ってな」


 定員がシチューを取りに奥に引っ込み、ユリナがシュエに布で顔を拭かれていると・・・


 ガシャン!!ガシャン!!


 奥で何かが割れる音がして、先程の女性の怒鳴り声が響いた!!


 ユリナ達が、慌てて奥に駆け込むと・・

 そこには・・先程女性定員と小人族らしき男性が、血塗れで倒れていた。


・・ユリナが駆け寄り首に触れる・・しかし・・もう手遅れのようだった。


 ユリナは、息絶えた女性を優しく床に置き、ギロリと目の前の男たちを見る。


 血塗れの剣を持つ彼らが、犯人なのは確実だ。


「シュエ!グレル!」


 ユリナが叫ぶ。


 すると、シュエとグレルは腰に刺していた鞘から剣を抜いた。


「分かってる!」


「ああ」


 二人は素早く動くと、賊の始末を開始した。



また血生臭い話に突入です!

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