また逢おう!!
王の執務室を出てから数分後。ユリナは、王妃の部屋に来ていた。
王妃の部屋にいたイデアは、王妃にタップリ厚着させられ身動きとれなくされていた。
因みに王妃は今。産母候補と面接をしている。
そしてユリナは、イデアに王からの命令を告げた。
「・・・そうか・・仕方ないわね・・旅、楽しかったのにな・・・」
ユリナにマグダリア王の命令を教えられたイデアは、寂しそうにしながら軽く頷いた。
そんなイデアを、慰める様に笑いながら、ユリナは口を開く。
「仕方ないよ。さっさと旅を終わらせるから・・子供が生まれたら見せてね!」
イデアはあれ?と首をかしげた・・ユリナは確か・・
「?ユリナは子供嫌いじゃなかった?」
そう。ユリナは子供嫌いで、幼い子供が近づいただけで、逃げたり硬直したりする。
「子供は嫌いだけど・・美形の子供は観賞したい!!」
ユリナは、顔がいいなら赤ちゃんでも見てみたいらしい・・
確かにイグニスの子供のなら、美形が産まれるのは確実だ。
「そう。じゃあ・・貴女の子供が生まれたら見せてね」
イデアがニヤッと笑いながらユリナを見る。そしてユリナを見ながら、チラリとユリナの背後にいるユリナの恋人達を見た。
恋人達。シュエとグレルはイデアに意味ありげに見つめられて、イデアに楽しげな顔でニヤリと笑う・・孕ませる気満々らしい。
そして、ユリナは渋々頷いた・・どうやら子供を生む気はないらしい。
「・・生まれたらね」
ユリナが頷く。
そしてイデアは、楽しげに笑いながらユリナを見る・・と見せかけて、ユリナの背後のシュエとグレルをじっと見る。
そして目線だけで、二人を激励した。色々と頑張れ!!
そしてイデアは立ち上がり、ユリナに近づくとユリナの頭をなでなで撫でまくった。
「よし!生きて戻ってくるのよ!ってかすり傷すら負わないだろうけどさ」
イデアに撫でられて、少し・・少しだけ恥ずかしそうしながら、ユリナがモゾモゾしていると・・
ユリナの背後にいるユリナの恋人達。シュエとグレルが、主君に誓いをたてるような・・・そんな真剣な眼差しで口を開いた。
「当たり前だ」
「ユリナは全力で守る」
そしてイデアの後ろで、完全無視されていたイグニス(一国の王太子なのに!)が・ボソリと哀愁漂う顔で呟いた。
「・・グレル・・お前は俺の護衛なんだがな・・」
「イグニス様。無駄よ・・」
シュエのみならず。グレルまで、ユリナの護衛みたくなっている。本来、グレルはイグニスの護衛でシュエはイデアの護衛の筈だ・・
しかし。誰も何も言わない・・・
イデアが言った通り、無駄だからだ。
そして、旅の準備(イデアとイグニスの荷物を馬車から下ろすだけ)が終わり、ユリナ達に三人は馬車に乗り込む。
「じゃあ行くね!元気な赤ちゃん産むんだよ!」
ユリナが窓から叫ぶと、イグニスに支えられた(支え何て要らないがイグニスが説き伏せた)イデアが手を振って叫んだ。
「当たり前よ!ユリナも頑張って!変な王族に捕まらないでよ!」
イデアの言葉を聞いたユリナは、嫌そうに顔を歪めながら呟いた。
「・・これ以上!恋人はいらないよ!」
二人だけでも大変らしい。全面的に世話されまくっているのに、何が大変なのかは聞かなかった。
・・多分回りがうるさいのだろう。
そして、城から馬車が走り去ると、イデアは、ユリナが聞いたら恐ろしいからやめて!!と叫びそうな台詞を呟いた。
「・・もう・・二、三人愛人増えるかもね」
「・・有りそうで嫌だな・・・」
イグニスはまったく否定をせずに、愛妻の台詞に頷いた。
美人でも器量が良いわけでもないし、性格は、ちょっと悪よりで臆病者のユリナ。
なのに、色々問題を抱える男性に何故か好かれてしまう・・多分。下手したら五人か六人くらい捕まえて仕舞うのではないか?とイグニスは去っていく馬車を見ながら思った。
本当に、何であんなのが愛されるのかわからない!!
イグニスはそんな事を考えながら、愛妻を連れて城に消えていった・・
三人の旅が始まります!
次はあの国です!




