マグダリア式!
転移すると、そこはマグダリアの王宮だった。ガチで直通らしい。
警備上 大丈夫かな?
そう思いながら、イデアが転移陣をさわると、かなりの魔力を吸われた。
王族は魔力が高いから平気だが、平民や下級貴族なら、陣を発動させただけで死ぬかもしれない。
これなら、兵士を送り込むのは不可能だろう。
ユリナとシュエとグレルは王族ではないが、魔力が王族並みに高いので問題は無いみたいだ。
そんな事を考えていると、イデアはガシッと捕えられた。
「王女様!お早く!」
「またか・・・」
イデアは、女官達にズルズル引きずられながらため息の様にそう呟いた。
「髪飾りは、これで宜しいですか?」
「ええ・・あっ・・後これもね」
「ドレスはどうなさいます?」
「深紅の物が良いわね」
「では髪型は・・・」
イデアは、きせかえ人形の如くあれこれ言われている。
それを見ていたユリナは、思わず呟いた。
「あの~結婚式は、明日なのでは?」
何だか、今にも結婚式が始まるみたいに、イデアの化粧まで始めたマグダリアの女官達。
ドレスや装飾品を、前もって選ぶなら分かるが、急ぎっプリが半端ない。
ユリナが、不思議に思って聞いてみると、マグダリア王妃が目を見開いた。
「え?今夜よ?
陛下!ゼルギュウム王に言ってないの?」
王妃が、偶然通りかかったマグダリア王に怒鳴った。
王妃に怒鳴られた王は、ビクッとしながら口を開く。
「・・えっ?いや言ったぞ?冬の四週目の3日目だって・・」
王妃は王の言葉を聞いて、呆れたようにため息を吐いた・・馬鹿が・・
「・・・それ明日よ」
今日は、冬の四週目の2日だ。
1日ずれてる・・・
マグダリア王は王妃にそう言われて、顔を真っ青にさせて目を見開いた。マジで気づいてなかったらしい・・・・・
「・・まあ・・・良いだろう・・間に合ったし!じっじやあ私は行くから!!」
まあまあと、宥めようとしたマグダリア王を、女官達と王妃が睨み付ける。
すると王は、脱兎の如く一目散に逃げ出した。
・・怖かったらしい・・
痛々しげにイデアを見守っていたユリナも、シュエ達に連れていかれてドレスに身を包んだ。
・・逃げられないらしい・・人混み苦手なのに・・・・・
そして数時間後。
何とかイデアの支度が間に合い、王城で結婚式が始まった。
結婚式と言っても、マグダリア式の結婚式はその土地の最高権力者(村なら村長。町なら領主など、貴族同士なら位が上の貴族に頼んで仕切って貰う。子爵なら伯爵に頼むと言った感じだ)が取り仕切る。
王族の最高権力者。つまり・・マグダリア王が今回の結婚式を取り仕切る事になった。
取り仕切ると言っても。ズラッと並んだ貴族達の前で、新郎新婦が結婚契約書にサインをするのを見守るだけなので、大して仕事はない。
マグダリア王は新郎新婦がサインし終わると、その契約書に自分もサインして、書類を宰相に渡した。
そして・・・・
集まった貴族達に、聞こえる様に声を張り上げた。
「ここに!婚姻を宣言する!」
・・王の仕事は此だけである・・実に・・ショボい・・
「婚姻はなされた・・舞踏会を催す!・・・今夜は大いに楽しんでくれ!」
マグダリアの結婚式は、式ではなく。結婚式の後の舞踏会がメインだった。
王が叫ぶ。すると、衛兵達が謁見の間の続きの間の扉を開けた。
其処には、色とりどりの料理が盛られたテーブルと、小休憩用のソファーが置かれていた。
王、イグニス、イデア、王妃の順で続きの間に入って行く。
そしてその後に、身分順に貴族達が続いた・・
・・今夜は長くなりそうだ・・・
マグダリア式の結婚式でした。
次は舞踏会です!




