小話 大変だったホワイトデー
皆様、地震や津波が起きて大変ですが大丈夫でしょうか。私は大阪在住なので平和に過ごせていますが……
どうやらこのような事態にもかかわらずこの騒ぎに便乗してよからぬことをしている人もいるようです。皆様、お気をつけくださいませ。皆様とその家族、友人のご無事をお祈りしております。
「あううう……たくさん、ありますね。」
「そうだねえ。」
「ここらじゃ一番大きいしなあ。ここ。」
僕らはここらで一番大きな百貨店にいた。まあ要するにホワイトデーにあげるものを買いにきたわけだ。で、後はシェールが買うだけでいいんだけど……なかなか決まらないようで。
「そして値段が高いですよねー……」
「物価高いからねえ。」
「まあこんなもんだろ。」
一応バイトさせてあげたしお金はそれなりにあるはずだけどね。そりゃあコートとか靴とかは無理かもしれないけど。
「まあゆっくり選べば?」
「すみません。」
「別に暇だからいいけどな。いい暇つぶし。」
そうそう。
「大体大事なのは気持ちであってものじゃないし。」
「そうそう。そんなに悩む必要ないだろ。」
「分かってますけど……でもやっぱりできる限りのものをあげたいじゃないですか。」
ダメだ……この子、いい子すぎる。僕らと大違い。いやまあ僕らもちゃんと決めてるんだけどね?
「休憩する?」
「……はい。」
近くの喫茶店に入ってとりあえず一息。うーん……ここの紅茶は七十点。
「あ、ここエリオスのおごりね。」
「ちょっと待て。」
「いやあ、だってお金あるでしょ?」
「あるけどな?お前も十分持ってんだろ。」
「え?奢ってくれるって昨日言ってたじゃないか。」
「言ってねえ。」
知らない知らない。言ってたらなんとかしてくれるだろ。エリオスだし。
「え、でも、いいんですか?」
「いや、もともとお前の分はどっちかが持つつもりだったからいいんだけどな?学生に払わせるのもなんだし。」
ただなー……と呟きながらこっちを見る友人。まったく……
「そんなに見つめられると照れるじゃないか。」
「もうお前黙れ……」
「じゃあおごりね。あ、すみません、モンブラン追加。」
うん、僕が払うわけじゃないしね。問題なし。
「お前、最低だな。」
「え?なんのこと?」
「……もういい。」
よし、勝った。
「さてと、もう一回探しに回りますか。」
シェールも休憩できたみたいだし。約一名、微妙に機嫌が悪いけど。
「お前機嫌いいな。」
「気のせいじゃない?」
ここのモンブラン、美味しかったな。紅茶は微妙だったけど。
「ここの紅茶、美味しかったですけど……なんでか微妙な感じでしたね。」
「美味しい紅茶ばっかり飲んでるからだろ。どこぞの野郎のせいで。」
「誰のこと?」
「気づけ馬鹿。」
いやあ、だって美味しい紅茶飲みたいしさあ。おかげでうちの喫茶店は繁盛してますけど?
「紅茶……そういえば、ミリエナさんも紅茶党でしたっけ。」
「僕の知り合いでコーヒー党とかいない。」
「お前が無理やり紅茶党に変えたとも言うな。」
気のせい気のせい。みんなが紅茶の美味しさに気づいたんだよ。
「この前ポット割れたらしいんですよ。」
「ああ、じゃあそれ買えばいいんじゃない?」
値段もまあまあそれなりだし。
「そうですね。そうしましょう。」
「じゃ、上がるか。」
「そうだね。」
これで、一件落着ってわけじゃないだろうなあ……多分。
「うー……どれにしましょうか。」
やっぱり。
「色は明るいほうがいいよね。家の雰囲気的に。」
「ですよね。」
ミリエナの家明るいからね。
「……じゃあこれにします。」
「いいんじゃない?」
白くて、それなりに洒落たティーポット。値段もまあこんなもんだよね。うん、それでいいと思う。ていうかそろそろ帰りたいというのが本音。
「じゃあお会計してきます。」
「行ってらっしゃい。」
「いやあ、時間かかるね……」
「俺らが即決しすぎってのもあるだろうけどな。」
「初々しいよね。」
「なんかあいつ見てると罪悪感感じるわ。」
「そう?僕平気だけど。」
「……だろうな。」
僕のことを大体知ってる友人は、本日何回目かの溜息をつく。そう、僕は何も感じない。
だって、罪人であることに誇りを持ってる一族の人間だから
今更罪が増えようと、何も感じない。
だから、シェールが子犬のようにパタパタ駆け寄ってきても
ただ笑顔でいられる。
嘘で塗り固めすぎて
もう自分でも本当かどうか分からない笑顔を。
知ってました?今日ホワイトデーですって。こんなことになってますけど。ホワイトデーなんです。西のほうは皆クッキーやらなんやらが受け渡しされてるんですよ?
てな訳で書いてみたホワイトデー小話。視点はハイリツさんです。最後のほうシリアスっぽいですけど、基本的にハイリツさんはこんな感じです。




