世界インフレの始まりと現行金融市場の終焉
近年ですね、世界インフレという言葉が流行りつつあります。
まぁ原因はロシアのウクライナ侵攻による穀物価格高騰や、アメリカのイラン侵攻によるホルムズ海峡の閉鎖など、さらにはコロナの財政支出。
色々あるといえばあるのですが、世界経済を考える時に、これじゃないかなと思えるメインの原因があります。
それが、グローバリズム下で常にあったデフレ圧力の終焉です。
グローバリズムというと、国際金融資本がやりたい放題するといったイメージの人も多いでしょう。
1990年代に本格化し始めたのが、コンテナリゼーションでして、コンテナリゼーションは、人類社会に驚くほどのショックを与えています。
コンテナリゼーションは、あらゆる分野、特に製造業の分野において、物流コストを100分の1程度まで圧縮しました。
コンテナリゼーションにより、帳簿の中から輸送費の項目が消えたと言われています。
それは、喩えて言ってみれば、先進国の製造業の分野でのみ、隣家に年収30分の1のインドネシアの家族が4,000人くらい引っ越して来たとすれば、わかりやすいのではないでしょうか。
コンテナリゼーションはそれくらい、各国の距離を物理的に縮めてしまったのです。
明日から、先進国の労働環境はどうなってしまうのか。
コンテナリゼーションを根源とし、政治の分野では一切のグローバリズムへの緩和策が取れず、国際金融はやりたい放題でした。
具体的には、先進国の中産階級から、途上国の庶民と国際金融資本に、所得移転が起こってしまったのが、グローバリズムの正体です。
ふりがなさんの説明するトランプ関税という作品でも書かせていただきました。
当時は本来は、何でもありの自由貿易ではなく、労働市場、環境、物価を考慮した、公平自由貿易に移行すべきでした。
90'sから2010年辺りの政治家があまりにも無能だから、グローバリズムは放置されたのです。
しかし、何故、我々先進国の庶民は、国際金融資本と途上国への庶民の所得移転という打撃を受けながらも、グローバリズムに耐えられたのでしょうか。
先進国が努力したから?
違います。
それは、国際金融資本の構築するサプライチェーンが、世界デフレという、圧倒的な物価下落の圧力を生み出したからです。
世界デフレ下では、先進国の金融政策に金利的な余力が産まれました。
ですから、世界デフレという財政的根拠により、金融政策で先進国は経済を立て直す事が出来たのです。
しかし、グローバリズムは当時から疑問が持たれていました。
当面は世界デフレで耐えられたとしても、途上国の賃金も、やがては上がっていくだろう。
となると、世界デフレは終わる。
職を失った先進国の庶民は、世界デフレの終わった時、どう生活すれば良いのだろうか。
新自由主義の方々は、その類の疑問にこう答えました。
途上国の賃金が上がれば、より賃金の低い国々に生産拠点を移していくだけだと。
そして、新自由主義の方々の答えに反するように、今現在、世界インフレという言葉が、巷で流行り始めたのです。
MMT(現代貨幣理論)という言葉があります。
現代の経済議論で見られる考え方です。
自国通貨を発行できる政府にとって、支出は税収の有無に依存せず、本質的に税は財源調達ではなく「景気やインフレの調整弁」や「所得の再分配」の役割を果たすと説明されます。
MMTの中核には、インフレの調整弁があります。
インフレは期待したほど上昇しないからMMTで大丈夫だ。
もし、MMTの成立を予感させる環境が、ここ30年の世界デフレを根拠にした物ならば?
もし、働く必要はないと宣ったベーシックインカムの財政的根拠が世界デフレにあったならば。
先進国を立て直した量的緩和政策の財政的根拠が、グローバリぜーションによる世界デフレにあったならば。
そして、今騒がれ始めた世界インフレが、世界デフレの終焉によるものであったならば。
現行の金融世界の常識は180°変わります。
我々は、自国や先進国のインフレ率ではなく、サプライチェーンを構築する主要5カ国のインフレ率に注目すべきかもしれません。
例えば、タイの平均年収は、日本の平均年収の3分の1に迫っています。
先進国の金利やインフレ率が、新興国であるサプライチェーン構築国のインフレ率に収束しはじめる。
我々に迫っているのは、実は世界インフレではなく、世界デフレの終焉かもしれません。
AIの登場で、世界インフレと、AI不況によるデフレはある程度相殺するハズです。
しかし、私の予想に反した止まらない株高は、どうしてもこれからの世界インフレの予兆を感じさせるのです。
株高が止まらないならば、やがてサプライチェーン構築国のバブルに向かうハズです。
その時、世界はどう変わるのでしょうか。




