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第三部 ユキとの時間(続き) 第六章の後——冬の電話

 改訂の話をしてから半年が経った。

 年明けのある夜、ユキから連絡が来た。音声通話だった。珍しい。

「どうした?」

「どうもしない」とユキは言った。「ただ話したかっただけ」

 声が少し細かった。疲れているのか、それとも別の何かか。

「体調は」

「悪くない。少し疲れてるだけ。検査で引っかかって、病院に行った」

「いつ」

「先週。再検査が来月ある」

 レンは少しの間、黙った。

「何の検査」

「心臓。前から少し不整脈があるって言われてたけど、今回少し変わったって」

「一人で行ったのか」

「当たり前でしょ。あなたを呼ぶような話じゃないから、言わなかった」

「言ってよ」

「言ってる。今」

 レンは返す言葉を探した。

「再検査のとき、一緒に行く」

「来なくていい。仕事があるでしょう」

「行く」

 少しの沈黙があった。

「……まあ、来たいなら来ていい」とユキは言った。「でも大げさにしないで」

「しない」

 電話が終わった後、ソラに話した。

「ユキから電話が来た」

「聞いていました」

「心臓の検査を受けた」

「はい」

「ソラは、どう思う」

「私には医療的な判断はできません。ただ——ユキさんがあなたに電話してきた、ということを、私は気にしています」

「俺もそう思った。ユキは大げさにしない人だ。電話してきたということは、何か感じていることがある」

「そうかもしれません」

「怖いかどうか、ユキに聞くべきだったか」

「聞けなかった理由は何ですか」

「……向こうが大げさにしないでと言ったから。でも本当は——俺が聞くのが怖かったかもしれない」

「怖さを確認することが、怖い」

「そう」

「それは——ユキさんへの感情がそれだけある、ということでもあります」

 レンはそれを、少しの間、持った。

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