トキオ宅 風呂場『 トキオの場合 』その3
「あのー、コレ。
いつまでこうしてればいいんですか?」
オレがブラザー兄に聞く。
「あ、動かないでねトキオくん!
今インサート撮ってるから」
「インサート?」
「そう、メインの動画の間に、股間と乳首の盛り重曹をアップで差し込むんだよ」
まあ、何でもいいから早く終わらせてくれよ。
いつまでやってんだよコレ?
「あのー、けっこう寒いんですけど・・・」
「もうちょっとだからね、トキオくん」
「兄よ!この後はどうすんの?」
「この後はいよいよ、お清めのクライマックスに移るんだ!弟よ!」
「おお!何すんだよ!兄よ!」
そうだよ。これから何するんだよ?オレ、どうなるんだよ?
「火、点ければいいじゃない」
ナジミが言う。
「なるほどいいね!ナジミさん!
やっぱり神聖なる儀式に欠かせないのは火だよ!
トキオくんもそう思うよね?」
「ええ、まあ・・・」
てか、火って、どこに点けんだよ!
「兄よ、でも重曹て火、点くのかな?」
「とりあえず、やってみよう」
ちょ!お前ら!乳首と股間に火を点ける気か!!
「いや!ちょっと待ってください!」
「どうしたんだい?トキオくん」
「火を点けるのはヤメテください」
「どうして?」
「どうしてってヤケドするじゃないですか」
「大丈夫だよ」
「え?」
「お清めなんだから」
は?
お清めなんだから・・・は?どういう意味?
「でも兄よ!俺たちライター持ってないぞ」
「だな!弟よ!」
よ、よし!
助かった!
「チャッカマンあるよ!キッチンに!
アタシ持って来てあげる」
暗視ゴーグルを装着したナジミがキッチンへと向かう。
バカーー!!
やめろ!ナジミ!
お前は!何てことすんだよ!!
「君たち、何やってるんだ?」
警官のマモルが現れた。
眉毛が無いバージョンだ。
「これ、返すよ」
マモルがブラザー兄に車のカギを渡す。
「あ!マモル!
無事だった?女の殺し屋はどうなったの?」
ナジミがチャッカマンを持ってくる。
「ナジミ、その件は大丈夫だ。
話はついた」
「そうなの。良かったね。
はい、コレ!」
ナジミがブラザー兄にチャッカマンを渡す。
「で、これは一体、何をしてるんだ?」
マモルが聞く。
「風呂の大三角です!」
ブラザー弟がオレを指差す。
「風呂の大三角?なんだそれ?」
「兄よ!説明して!」
「おう弟よ!
これは、股間と両方の乳首に盛った重曹に火を点けて呪いを解く儀式ですね!」
「火を点ける?」
「そうです」
「粉には火は点かないぞ」
「え?そうなの?マモル」
「ああ、粉塵にすれば点く」
「どういう事?」
「粉を部屋全体に充満させ火を点ければ、粉塵爆発を起こす」
「粉塵爆発?」
「ああ、その場合、この風呂どころか家が吹き飛ぶ」
「マモル、粉でそんなことが出来るの?
火薬じゃないのに?」
「ああ、それが粉塵爆発の怖さだ」
「兄よ・・・」
「ああ弟よ・・・
やるか・・・」
「だな、兄よ。
やろう!」
やるって何を?
「え?ちょっと待ってください。
何をやるんですか?」
「決まってるじゃないかトキオくん!
爆発だよ!粉塵爆発をやるんだよ!!」
は?
「もう、お清めなんて言ってる場合じゃないんだよ、トキオくん!
吹き飛ばすんだよ!この家を!丸ごとね!」
「だな兄よ!
これで再生回数もうなぎ登りだ!」
は?
なに言ってんのよ?あんたら・・・




