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ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
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廃墟ホテル『~ モノローグ ~』




『 警官2人の場合 』



--- パトカーの車内 ---



「それにしても麻雀屋の騒ぎ、凄かったですね」


「そうだな。最近、北と南の様子がおかしいって聞いてたからな・・・」


「駅前のカフェからですよね。風向きが怪しくなってきたのは」


「ああ、これからもっと抗争が増えるかもしれないな」


「ですね。

 あ、そうそう、そう言えば、

 さっきこの先の廃墟ホテルから出てきた車ありましたよね?」


「ああ、あったな」


「あの車、フロントガラスが割れてましたよ。

 どうしたんですかね?」


「お前・・・」


「はい?」


「何でもっと早く言わないんだ」


「え?」


「すぐ行くぞ」


「え?どこへ?」


「廃墟のホテルにだよ」





--- 廃墟のホテル ---



「あそこ!

 ワンボックスの車がありますよ!」


「ああ、見てみよう。

 行くぞ、懐中電灯をつけろ」


「はい」


バタン


2人の警官がパトカーから降りる。


「周りを警戒しろよ」


「はい。

 あ、見て下さい。

 タイヤが一つ外れています」


「この車のナンバーを照合しろ。

 恐らく盗難車だ」


「はい」


「俺はホテルの方を見てくる」


「あ!あそこに誰かいます!」


「どこだ?」


「ホテルの窓です!女です!」









『 マモルの場合 』




警官の一人がこちらに懐中電灯を向ける。


「来るぞ。

 今ならまだ間に合う。

 逃げるなら今しかない」


俺が女の殺し屋に言う。

女は無言だ。


「俺は行く。

 お前はどうするんだ?」


「行くって、どこへ行くのよ?」


「裏から逃げる」


「そう。

 それじゃ、あんたは行って」


「お前はどうするんだ?」


「私は大丈夫。

 いいから行って」


大丈夫?

何を言ってるんだ、この女・・・


「お前、まさか、彼らを」


「大丈夫よ、殺したりしないわ。

 ・・・はい、コレ」

女が懐中電灯を俺に渡す。


「わ、分かった」

懐中電灯を受け取る。


俺はホテルの裏口から外へ出る。


あの女、一体何をするつもりだ?

殺さないとは言ったが本当なのか?

この状況をどうやって切り抜ける気だ?


それより俺は?

俺はどうする?


車に乗って逃げればパトカーから追いかけられる。

それは間違いない。

だったら山に逃げ込むか?

いや、しかし、兄弟たちの車を置いていくわけにはいかない。

足が付く。

どうする?


くそ!


一旦ホテルの表から様子を見るか・・・


俺はホテルの表に移動する。


「誰だ!出て来い!」

警官がホテルに向かって叫ぶ。


女が両手を上げてホテルから出てくる。

あの女、何する気だ・・・


「ここで何してる!一人か!」

警官が叫ぶ。


「・・・・・」

両手を上げた女は無言のまま警官に近づく。


「車に連れて行け。話しを聞く」


「はい」


女は警官に連れられパトカーへ乗る。


くそ!

何やってんだあの女!

掴まっちゃ意味がないだろ!











『 女殺し屋の場合 』



警官がパトカーのドアを開ける。

「さ、乗るんだ」


私は無言のままパトカーの後部座席へ座る。

警官も私の隣に座る。


これでいい。

いつもの事だ。

このままパトカーが去れば、あの男、マモルは逃げられるだろう。


コンコン


パトカーの窓をノックする音がする。


「ん?」

私の横に座る警官が窓の外を懐中電灯で照らすが、光が窓に反射するだけで何も見えない。


バタン


警官がパトカーのドアを開けて外に出る。


「うぐっ!」

バタバタッ!


小さなうめき声とパトカーを何度も蹴るような音がする。

開いたドアの間からマモルが顔を出す。


「あんた、何をやっているの?」


「お前こそ、何やってんだ?

 早く出ろ」


マモルがドアを開くと警官が倒れている。


「殺したの?」


「いや、気絶しているだけだ」


「2人ともやったの?」


「ああ」


私が車から降りると、もう1人の警官もパトカーの前方に倒れている。


「急げ。

 気づかれる前に逃げるぞ」


マモルが懐中電灯で照らしながら、ホテルの裏の車まで走る。

私もマモルの後を追いながら走る。


マモルが運転席へ、私が後部座席へ座る。

マモルがゆっくりと車を発進させる。

パトカーと2人の警官の横を通り過ぎる。


2人の警官はまだ気絶しているように見える。


「余計な事をしたわね」

私が後部座席からマモルに言う。


「あのままじゃ、お前が捕まってただろ?」


「捕まってもいいのよ」


「いいわけないだろ。

 お前に喋られたら俺が困る」


「喋ったりしないわよ。

 そんな必要ないし」


「どういう事だ?」


「1時間もあれば釈放されるのよ。私」


「なぜだ?」


「そういう約束だもの」


「誰と?」


「それは言えないわ」


「コネがあるのか?上に」


「そんなところよ。

 それより、これからどうするの?」


「・・・分からん」


「私との決着は?」


「・・・・・」


マモルは黙ったまま運転を続けた。

かなり前屈みになり、覗き込むスタイルでの運転だ。

なぜならフロントガラスが割れて、前が見えにくいからだ。






『 マモルの場合 』



「着いたぞ」

俺はトキオの家の前に車をとめる。


「ねぇ」


「何だ?」


「あなた、本当に警官なの?」


「ああ」

俺はバックミラー越しに返事をする。


「そう・・・

 コレ貰って行くわ」

女が後部座席に置いてある仮面を持ち上げる。


「どうするんだ?」


「あなたは今夜、死んだのよ」


「え?」


「三度笠の殺し屋は今夜、私が殺したのよ。

 これがその証拠よ」


「そんなもので信じるのか?」


「さぁ。

 だけど、もう現れなければ死んだのと同じよ」


「・・・・・」


「だからもう現れないで」


「・・・・・」


バタン!


そう言って女が車から降りる。


コンコン


運転席側の窓を女がノックする。


ウィーーーン


俺は半分ほど窓を開ける。


「ねぇ、この仮面、なんでこんなに臭いの?」


「さぁな、分からない。

 それ、そんなに臭いのか?」


女がニヤリとする。


マズイ、バレた!

俺としたことが、油断しちまった!


「やっぱりね。

 本物の三度笠に、ちゃんと伝えておいてね。

 もう二度と現れないって」


この女・・・


「なぁ!」

俺が歩いて行く女に声をかける。


「なに?」


「お前、名前は?」


「私、紅」


「クレナイ?」


「そう」


「コードネームか?」


「そうね、そんなところよ。

 あれ?もしかしてまた私に会いたいとか思ってる?」


「お前なんかとは2度とごめんだね。

 だがもし次に会う時は、決着をつける時だ」


「へーそう。楽しみにしてるわ」


女は角に止めてあるバイクにまたがり夜の闇に消えて行った。


俺は兄弟たちに車のカギを返すために、トキオの家の玄関から中に入る。


「そう!乳首と股間を結ぶ、風呂の大三角なのですよ!!」


意味不明の叫び声が聞こえた。






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