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ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
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廃墟ホテル『 殺し屋の場合 』



「・・・それじゃ、ロープを解くぞ」

マモルと呼ばれていた男が、後ろ手に縛られた私のロープを解く。


チャンスだ。

この仕事は一瞬のチャンスを逃すと命取りになる。


私は体をねじり渾身の一撃を蹴り込む。

懐中電灯が蹴り上げた足に当たり吹き飛んでいく。


避けた!


この男!

私の蹴りを避けやがった。


私は全身のバネを使いトランクから飛び出る。

男はのけぞった体をゆっくりと起こす。

私は受け身の要領で体を回転させ地面を転がると、すぐに靴を脱ぎ捨てる。


音を消す。


それが暗闇での戦いで一番有効な戦略だ。

夜の戦闘に備えるため、私は薄手のシリコン製の下履きを履いている。

トランクの中に閉じ込められていたのが幸いし、目が暗闇に慣れている。

室内と違い、外は薄っすらと月明りがある。

それに私は仕事柄、夜目が効く。


男は両手で車のボディを触りながらしゃがみ込む。


私は音も無く男のそばに移動し、回し蹴りを炸裂する。



ドガッ!!


うぐっ!!


暗闇の中、男は真横に吹き飛んでいく。


ズザザザーーッ!!



私は転がった男に間髪入れず蹴り込む。



ドガッ!!


うぐっ!!



なんだコイツ。

急所を狙っているはず。

なぜ立ち上がれる。

見えているのか?

微妙に急所をずらしているのか?



男が懐中電灯を掴み、ホテルの中へ逃げ込む。



逃がすか!



私は男を追いかける。

男はロビーの壁沿いに屈むと懐中電灯を消す。


「見えてるわよ」


私はニヤリとし、男の脇腹を蹴り上げる。



ドガッ!!


うぐっ!!


男は戦意を喪失している様に感じる。

私は蹴りのラッシュをかける。


ドガッ!!


うぐっ!!


ボクサーが敵をコーナーに追い込んだ瞬間のように、

私は蹴りを連続させる。



ドガッ!!


うぐっ!!



なぜだ!

何でだ!

この男!なぜ倒れない!



ドガッ!!


うぐっ!!


男は両手でガードし、うずくまるが倒れはしない。



ドガッ!!


うぐっ!!



こいつ。

本当に殺し屋なのか?

確かにガードは優れている。

だが攻撃は。

攻撃を全くしてこない。

これはまるで・・・



ん?


あれは?


車?



男がそばに転がっている懐中電灯をゆっくりと拾い灯りをつける。


カチッ


「バカ!消せ!!」

私が懐中電灯を男から奪い取り灯りを消す。


「誰か来た」

私が窓の横に身を隠す。


男もゆっくりと体を起こし窓の外を見てつぶやく。



「パ、パトカー・・・」



何?

パトカー?

あの車のシルエットで分かるのか?


「お前、通報したのか?」

私が男に聞く。


「いや、していない」

男が答える。


当然だろう。

するわけがない。

もしそうなら、こんな所で決着をつけるなどとは言わない。

言うはずがない。


じゃぁ、なぜ?

なぜこんな所に警察が?

誰かのタレコミ?

どうやって?


発信機か?

私があの車に付けた発信機の電波を誰かが拾っているのか?



パトカーがワンボックスカーの後ろで止まる。

パトカーから2人の警官が降りてくる。

懐中電灯で辺りを照らしながらワンボックスカーに近づく。

何やら話し声がするが、この距離では話の内容は聞き取れない。


「どうする?」

男が小声でつぶやく。


どうするも何も・・・

私が黙っていると男が小声で話し始めた。


「あのワンボックスカーは恐らく盗難車だ。

 拉致事件に使用された車だ」


「拉致事件?

 お前・・・何で知ってる?」


「連れ去られたのは俺だ」


「え?」


連れ去られた?

何?

どういう事?


「恐らくあの警官はホテルの周りも巡回する。

 裏の車が見つかるのも時間の問題だ。

 そうなるとホテル内の捜索も始まる」


「なぜ分かるの?」


「俺は警官だ」


「え!?」


な!なんだって!!

お前!警官なのか!!

私!警官をボコボコにしてたのか!!

あ!

そ、そうか!

それで防御ばかりして攻撃してこなかったのか!?


「あ、あなた一体・・・何者なの?」


「言っただろ?

 俺は、殺し屋だ。

 三度笠の殺し屋だ」


「え?」


「来るぞ。

 今ならまだ間に合う。

 逃げるなら今しかない」


何?

どうなってんの?

警官?殺し屋?

どういう事よ!

あんた!

一体何者なのよ!!






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