表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
88/128

廃墟ホテル『 マモルの場合 』



ここは、数時間前にいた廃墟のホテルだ。

ホテルの前には俺がパンク修理をしかけたワンボックスカーがとめてある。

俺はワンボックスカーの横を通過してホテルの裏側に車を停車してトランクを開ける。



バコン!



懐中電灯でトランクの中の女殺し屋を照らすと俺を睨みつける。


「着いたぞ」


「ここは・・・どこなの?」


「廃墟のホテルだ。

 ここなら誰も来ない」


「そう。それで、どうするの?」


「後ろを向け。

 ロープを解く」


女の殺し屋がトランクの中でモゾモゾと半回転する。

懐中電灯をトランクの角に置く。


「ロープを解く前に、一つ約束してくれるか?」

俺はロープを解く手を止める。


「何?」


「お前が勝った場合、この車を戻しておいてくれるか?」


「どこに?」


「さっきの家でも、兄弟の家でもいい。

 約束してくれるか?」


「分かったわ」


「車のキーは俺のズボンのポケットに入っている。

 ・・・それじゃ、ロープを解くぞ」


俺が女の殺し屋のロープを解く。


その瞬間、女の片足が鞭のように襲い掛かってきた。

女の足は懐中電灯を蹴り飛ばし光のラインが回転する。


は!速い!!


俺はのけ反り女の足をかわすのが精一杯だった。

体制を戻すとトランクには女の姿は無い。


どうする?


懐中電灯を取りに行くか?

それとも月明りで戦うか?

俺もあの女も武器は無い。

だが、あの動きは尋常じゃない。

同じ条件なら確実に負ける。

俺に有利な方法は?

いっその事、車の中に閉じこもるか?


いやダメだ。

それだと勝負にならない。

一瞬でも俺に好機があるなら勝てるかもしれない。

そこに賭けるしかない。


俺は車を背に身を屈める。


ガサガサ


音だ。

雑草や砂利の上を歩けば音がする。

薄暗くて見えにくいのなら音だ。


どこだ?

どこに居る?

音を探せ。



ドガッ!!


うぐっ!!


突然の女の蹴りが俺を襲い、暗闇の中、俺は真横に吹き飛ばされる。


ズザザザーーッ!!



なぜだ!


なぜ音がしない!

この女!

どうなってる!?



ドガッ!!


うぐっ!!

ズザザザーーッ!!


再び、音も無く女の蹴りが炸裂する。

俺は吹き飛びながらも、蹴られた場所にある違和感を覚える。


こ、これは・・・

まさか、この女・・・


裸足。


裸足なら最小限に音を消すことが出来る。

だが、足の裏を負傷する確率も高い。

それに臆することなく瞬時に判断し、裸足になったのなら・・・


なんて女だ・・・


恐らく女は夜目がきく。

これまでの攻撃からすると明らかに俺を認識している。


俺は転がっている懐中電灯に向かって走った。


音がダメなら光だ。

光でおびき寄せる。

その瞬間を狙うしかない。


ザザザー!


俺は滑り込むようにして懐中電灯を掴む。


ホテルだ!

一旦、廃墟ホテルの中に逃げ込む!


俺は懐中電灯を片手に全速力でホテルの裏口から中に入る。

ホテルのロビーまで来たところで、懐中電灯を消し物陰にかくれる。


どうする?


どうやって女をおびき出す?

音もダメ。

暗がりもダメ。

一体どうすれば・・・


「見えてるわよ」


なに!!!

ドガッ!!


女の蹴りが俺の脇腹に炸裂する。


ダメだ・・・

強さが違う。

俺のかなう相手ではない。



ドガッ!!


うぐッ!!


再び襲ってくる蹴りに俺の首筋が衝撃を受ける

防御するだけでは勝てない・・・


だが、

俺には、まるで歯が立たない。



ドガッ!!


うぐッ!!


今日一日で俺は何度、終わりを感じたのだろう・・・

本当に長い一日だった・・・



ドガッ!!


うぐッ!!


だんだんと意識が・・・

終わりだ・・・


・・・・・。


・・・・・。



な、なんだ?

どうした?

女の攻撃が止まった。


俺は、すぐそばに転がっている懐中電灯をゆっくりと拾い灯りをつける。


カチッ


「バカ!消せ!!」

女が懐中電灯を俺から奪い取り灯りを消す。


え?

真横に女がいる?


「誰か来た」

俺の真横で女が窓の陰から外を見て言う。


俺はゆっくりと体を起こし、窓からそっと顔を出す。


車のライトが近づいてくる。



あれは・・・

あの車のシルエットは・・・


俺は見慣れた車のシルエットに思わずつぶやいた。


「パ、パトカー・・・」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ