トキオ宅 風呂場『 トキオの場合 』
「兄よ!お清めってどうやんの?」
「そうだな・・・まずは塩だな、弟よ」
「塩か・・・キッチンにあるだろうけど面倒だね、兄よ」
「だな!弟よ!何か他に無いか?」
「これ、どうだろう?」
「お!重曹じゃないか!
でかしたぞ弟よ!」
「エヘヘ、重曹の方がキレイになる感じがするね!兄よ!」
「ああ、清まるな!弟よ!」
この兄弟は一体、何を言っているのだろうか・・・
オレはこの後、一体どうなるのだろうか・・・
「さぁ!トキオくん!
脱ごうか!」
「え?」
「その、ボロボロの服を脱ぐんだよ、トキオくん!」
「え?」
「あ!
パンツは履いてていいよ。そのオレンジのブーメランパンツは!」
「だな!兄よ!
全裸になると、ボカシ入れるの面倒くさいよね!」
「そうなんだよトキオくん。
動画を加工するのは面倒なんだよ」
「え?でも顔は?
オレの顔って・・・」
「目だけね。
目だけボカすよ。後は丸出しね」
「丸出しって・・・」
「だって、そのヘルメットのカメラはトキオくんが呪われる表情を撮ってるんだから。
分かるよね?」
分かるよねって・・・
いや、分かるけど・・・
「さ、早く脱いで。
清めの儀式をするんだから」
儀式?
「お清めしたら、呪いが解けてしまうんじゃないんですか?」
「何を言ってんのよ、トキオくん!
呪いが解けるわけないじゃない!」
「それじゃ、何のために・・・」
「時間と演出だよトキオくん!」
「時間と演出?」
「そう!すぐに結果が出ちゃ、もったいないでしょ?
ジラすんだよ。
こういうのは、ジラしてジラして最後は何も無かった・・・で終わるもんなんだよ」
何なんだ?
じゃあ、今のこの時間は一体なんなのだ?
無駄じゃないのか?
いや、完全に無駄だ。
「さ、とりあえず脱いで、お風呂の床に横になるんだ、トキオくん!」
「えっと・・・イヤだとは・・・」
「言わせないよ、トキオくん!
それとも、車の割れたフロントガラスと、壊れたカメラを弁償してくれるのかな?」
くっそ!
やるしかないのか・・・
諦めたオレは服を脱ぎ、風呂の床に上を向いて横になる。
「それじゃ、まずは、体に水をかけるよ、トキオくん!」
「兄よ!ちょっと待って!」
「どうした弟よ!」
「やっぱり、2階から照明器具を取って来るよ。
スマホのライトじゃ暗すぎるよ、兄!」
「よせ!弟よ!」
「なんで?」
「この暗さがいいんだ。弟よ!
見えにくさがいいんだよ!」
「そうか・・・
分かった兄よ!」
何なんだよ。
もうどっちでもいいから、早くしてくれよ・・・
「それじゃ水をかけるよ、トキオくん!」
「は、はい」
ブラザー兄がシャワーで水をかける。
「冷たッ!!」
「ガマンして!トキオくん!
お清めなんだ!」
「兄よ!
ヘルメットには、かけちゃだめだよ!」
「分かってるさ!弟よ!
よし!
これでいい!」
ブラザー兄が、シャワーを止める。
「弟よ!
そこの重曹を取ってくれ!」
「あいよ!」
ブラザー弟が、袋入りの重曹をブラザー兄に渡す。
ブラザー兄が、おもむろに一つまみの重曹をオレの股間にかける。
「ちょ!何してんすか!」
「動くんじゃない、トキオくん!」
「え!?」
「盛り塩だよ!盛り塩!」
そう言ってブラザー兄は、オレの股間に盛り塩というか盛り重曹を作り始めた。
一つまみ、一つまみと丁寧に三角錐の盛り重曹を作る。
ブラザー弟がカメラをオレの股間に接近させ一部始終をアップで撮る。
ガチャ!
「あんた達!
何やってんのよ!」
ドアを開け、ナジミが入ってきた。
な!
何だソレ!?
映画でしか見たことが無い、
そ、そうだ!
特殊部隊が暗闇で付けてるゴーグルだ!
なんでナジミがそんなもの付けてるんだ!?
「なに楽しそうな事やってんのよ、あんた達!
アタシも混ぜなさいよ!」




