トキオ宅 『~ モノローグ ~』その3
『ナジミの場合』
「俺が、三度笠の殺し屋だ」
え?
マモル?
あんた何いってんの?
「俺とお前で決着をつけよう」
「・・・お前が、
三度笠の殺し屋だって証拠は?」
女の殺し屋がマモルに聞く。
「セットだ。
セットがある」
「セット?」
「ああ、三度笠のコスチュームのセットだ」
「・・・・・」
「あんな物、今すぐに用意なんて出来ないだろ?」
「そ、そうね」
マモルがアタシの方をチラリと見る。
「ナジミ。
わるいが、三度笠と仮面を持って来てくれるか?」
「分かったわ」
「あ、ナジミ。
家の中は暗い。懐中電灯を忘れるな」
「大丈夫!アタシにはコレがあるわ!
一度やってみたかったのよね、コレ!」
アタシは暗視ゴーグルを装着する。
「うわ~!スゴイ!見えるわ!」
「ナジミ、気を付けろよ。
それと出来れば、そこの車のカギも頼む」
「了解したわ!」
アタシは敬礼をしてトキオの家へと入る。
いつも見慣れたトキオの家が緑色の視界に見えるのは、ちょっと異様な感じだ。
風呂場の方でトキオたちの声がする。
何やってんだあいつら・・・
アタシは階段を上がり、2階のトキオの部屋へ向かう。
緑色の暗視映像は映画で見た感じだ。
トキオの部屋のドアを開け中に入る。
部屋には誰もいない。
ベッドのそばに三度笠と仮面が無造作に置かれている。
よし、後は車のカギだ。
たぶん、ブラザー兄が持ってるはず。
1階の風呂場へ行こう。
あ!
ふと見ると兄弟が持って来た撮影機材の横に、車のカギが転がっている。
ラッキー!!
アタシは車のカギを取り1階へと降り、玄関から外に出る。
「お待たせ!」
アタシがマモルと女の殺し屋に三度笠と仮面を見せる。
「どうだ?これで信じたか?」
「わ、分かったわ」
「よし、ナジミ!
車のカギを開けて、中に三度笠と仮面を入れてくれるか!?」
「了解しました!」
アタシは車のカギを開け、後部座席に三度笠と仮面を投げ入れる。
マモルが女の殺し屋を肩で抱え上げて運んでくる。
車のトランクを開け、女の殺し屋を中に入れる。
「どうするつもり?」
女の殺し屋がトランクの中から尋ねる。
「言っただろ?
場所を変えて、これから決着をつける。
俺とお前の2人だけでな」
バタン!
マモルがトランクを閉める。
「ねぇ、マモル。
決着をつけるって・・・
そんな事しなくちゃいけないの?」
「ナジミ。
あの女がいるのはケジメをつける世界だ。
このままでは終わらない」
「・・・・・」
「だから、終わらせなければならない。
分かるな?」
「・・・うん」
「じゃ、行ってくる」
「マモル!」
「ん?」
「戻って来てよ」
マモルが小さくほほ笑む。
「ナジミ・・・」
「何?」
「そういうのは暗視ゴーグルを外してから言うもんだ」
「・・・イヤよ。恥ずかしいじゃない」
「待ってろ、必ず戻って来る。
車も返さないといけないしな」
「うん」
バタン。
マモルが車に乗り込む。
車は異常にゆっくりと進む。
たぶんフロントガラスが割れて、前が見えにくからだ。




