トキオ宅 『トキオの場合』
「トキオ君!始まったんだ!
仮面の呪いが始まったんだよ!」
暗闇の中、スマホのライトで部屋を照らしながらブラザー兄が興奮して叫ぶ。
この人、何こんなに興奮してんだよ?
ただの停電じゃないか。
プルルルル!プルルルル!
俺のスマホが鳴る。
ナジミからだ。
「あー、もしもし、ナジミ?」
『ちょっと・・・トキオ・・・』
ヘルメットをかぶっている為よく聞こえない。
「ごめんナジミ。
ヘルメットをかぶってるからよく聞こえないんだよね」
『もー・・・今・・・行く・・・』
ブツッ!
切れた。
何だったんだろう?
とにかくまずは電気を回復させることだ。
「トキオ君!それじゃ行こう!」
ブラザー兄がオレの肩をポンッと叩く。
「え?どこへ?」
「決まってるじゃないか!
お風呂だよ!お風呂に入るんだよ!」
は?
「いや、まずは電気をつけないと・・・」
「無駄だよトキオ君!」
「何でですか?」
「決まってるじゃないか!
呪いだからだよ!」
そう言うと、ブラザー兄がヘルメットに頬をへばりつける勢いで近寄る。
オレの顔の前に突き出したカメラにフレームインするためだ。
ブラザー兄がカメラに向かって叫ぶ。
「さぁ!みなさん!
ついに呪いが始まりました!
仮面の呪い!只今より!スタートです!」
「ヤベーよ!兄!
すっげードキドキしてきた!」
反対側からブラザー弟も顔を近づける。
「おう!弟よ!
さぁ!それでは我々廃墟ブラザーズと呪われた男は、
これより儀式を行うのであります!!」
儀式?
何?
「兄よ!どんな儀式をするんだ!?」
「決まってるじゃないか!
お清めの儀式さ!
お風呂場でお清めの儀式をするのさ!」
はぁ?
「そうか!兄!
呪いを解くのか!」
「そうだ!弟よ!
さあ!行こう!呪われし男よ!」
ブラザー兄が、ミュージカルのスタイルでオレに手を差し伸べる。
は?
ブラザー兄がささやく。
「手を取って・・・」
はぁ?
ブラザー兄がささやく。
「手を取るんだよ・・・トキオ君」
オレがそっとブラザー兄の手を取る。
「さぁ!呪われし男よ!
覚悟はよいかッ!!」
いいわけねぇよ。
「ゆこう!呪われし男よ!
聖なる清めの地!
お風呂場へ!!」
何いってんのよアンタ・・・




