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ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
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騒動の後 『~ モノローグ ~』



『ゴンの場合』


--- 病院の駐車場 ---



「く!組長!」

組員の一人が車に乗り込んでくる。


バタン!

車のドアを閉める。


「どうだ?ジョーの様子は?」


「それが、ジョーの兄貴、左手と両足の骨が折れて動けません」


「酷いな。で、何て言ってる?」


「三度笠の男にやられたって言ってます。一瞬だったそうです」


「三度笠の男?」


「ええ、今うわさになってる殺し屋のことですよ!組長!」


「本当にいるのか?

 そんな奴が・・・今の時代に・・・」


「いるからジョーの兄貴がやられたんですよ!

 とにかくタツの兄貴と一緒に来たってことは・・・」


「ああ、ムラサキだ。

 あの女の差し金だ。

 とうとう俺を始末しに来やがった」


「どうします?組長」


まさか・・・

元力士のジョーを吹き飛ばす?

曲がりなりにも奴は熊殺しと呼ばれた男だ。

それをいとも簡単に・・・

そんな化け物、俺たちのかなう相手ではない。


「殺し屋を、雇う」


「え?」


「以前使った奴だ。あいつを使う」


「え、でも、組長。

 こう言っちゃなんですけど、金が束で必要ですよ?」


「金は何とかなる」


「え?マジっすか?

 金あるんすか?」


「てめえ、誰にモノ言ってんだ?」


「あ、すいやせん」


「殺し屋には俺が連絡する。

 三度笠の特徴か、手掛かりは?」


「三度笠?

 え?

 ムラサキの姐さんをやるんじゃないんですか?」


「違う。

 三度笠の殺し屋をやる。

 一度引き受けた仕事は最後までやる。

 それが殺し屋の仕事だ。

 だから奴は殺すまで追いかけて来る。

 ジョーが勝てない奴を俺たちがやれるわけがない。

 プロはプロに任せる」


「でも、それって・・・」


「俺に考えがある。

 いいから情報をよこせ」


「あ、えっと、いま分かる情報はこれです」

俺にスマホを見せる。


「何だこれは?」


「こいつら、三度笠の仲間らしいです」


「そうか、その動画を俺に送れ」


「はい、分かりました」


「よし、車を出せ」

俺が運転席の組員に言う。


「はい、組長。

 どちらへ?」


「南だ。

 南地区に行く」


「え?組長?

 南ですか?」


「そうだ、南だ」


俺の最後の砦だ。

もうあそこしか俺の行く場所はない。

北と南は今、一触即発の状態だ。

俺は北地区を牛耳るムラサキの情報を持って南に行く。

その情報を金に換える。

そしてその金で殺し屋に依頼する。

俺の行きつく先は地獄だ。

だがそれまでは足掻いてやる。

俺を殺そうとしたムラサキは俺の手でやる。

必ず。







『殺し屋の場合』


--- ホテルのスイートルーム ---





ブルルル!ブルルル!


ん?

連絡用のスマホにメール?

依頼か?


メールには前金の振込確認とターゲットの情報が記載されている。

動画が添付されている。

再生する。


『俺たち廃墟ブラザーズ!チャンネル登録お願いしまーす!』

男が叫んでいる。


こいつらを追えば標的に近づける・・・か。


廃墟ブラザーズ・・・検索する。


動画配信サイトのチャンネルに動画が数本並んでいる。

順番に再生する。

3本目の動画が、部屋からマンションを出るまで長回しで撮っている。

マンション入り口のシーンで動画を止める。

隣の建物の壁に貼り付いている住所を拡大する。


住所を検索する。


近くだ・・・


すぐにホテルを後にする。







『マモルの場合』


--- 駅前公園の公衆トイレ ---



チラつく照明器具の中、俺は鏡に顔をへばり付けるようにして眉を描いている。

まさか公衆トイレで眉を描くとは・・・


ま、こんなもんだろ。

当然、左右ガタガタだ。

「この大変さは男には分からない、か・・・」

俺はつぶやく。


さて、行くか。


俺は駅前の交番へ向かう。




--- 駅前の交番 ---


「お!どうした?新人」


「先輩、どうも。

 ちょっと調べたいことがありまして・・・」


「そうか。

 今日はお前、大変だったんだぞ」


「何かあったんですか?」

俺は机の上の資料をパラパラとめくる。

資料にはストーカー被害の時に全員から聞いた住所が書き込まれている。

トキオの住所を記憶する。


「何かってお前、抗争だよ抗争!

 この前はすぐそこで強盗だろ?

 ずっと静かだったのに、

 この街で一体何が起こってんだろうな」


「そうなんですか。

 明日また詳しく教えてください。

 それでは」


「お、もう帰るのか?

 というか新人。アゴ、どうした?」


「え?アゴ?」


「アザになってるぞ」


そうか、殴られて気を失った時か・・・

今日一日、色々ありすぎて忘れてたな。


「女にでも殴られたか?」


「ええ、まあ、そんなとこです」


「なぁ新人、お前なんか雰囲気、変わったか?」


「いえ、私服なんでそう見えるのかもしれません。

 それにちょっと疲れてるだけです。

 帰って寝ます。

 それではお疲れ様です」


「おう、ゆっくり休め。

 アゴ冷やしとけよ。

 それじゃ、また明日な」


俺は交番を後にする。







『殺し屋の場合』


--- 兄弟のマンション前 ---



タワーマンションか。

部屋を調べるには時間がかかるな・・・


ん?

あれは動画の男たち?


マンションから2人の男が現れる。

物陰に隠れる。


「急ごう兄よ!」


「おう!弟よ!」


「兄よ!途中でコンビニに寄ろう!

 なんか色々買って行こう!」


「そうだな!弟、あッ!」


「どうした兄よ!」


「ヘルメットを忘れた!」


「ヘルメット?」


「そうだよ、あのカメラ付きヘルメットだよ!」


「ああ!特注の!?」


「先に車に乗っててくれ!弟よ!

 取って来る!」


「分かった兄よ!」


バタン。


弟と呼ばれた男が車に乗る。

なぜか車のフロントガラスが割れている。


車内の男の視界から避けながら車の後部に移動し、

車のボディの内側に発信機を付ける。


まずはこの2人の行動を把握する。

そうすればいづれターゲットに近づけるはずだ。

これからこの2人を追跡、監視する。

まずは情報を集めることだ。

電動バイクにまたがる。

追跡には音の静かな電動バイクに限る。


「これこれ!あったぞ!弟よ!」

マンションから出てきた兄と呼ばれた男がヘルメットを抱えて車に乗り込む。


男たちの車が動き出す。

その後を電動バイクで静かに追跡する。


しかし、あの兄と呼ばれた男が持っていたヘルメットはどういう事だ?

あれはテレビでよく見る芸能人がバンジージャンプでかぶっているカメラ付きヘルメットだ。

この男たち、一体なにを・・・?





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