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ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
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路上 『マモルの場合』



「それじゃ元気でね!マモル!」


ナジミが手を振って走って行く。

ナジミは、まだ終わっていないと言っていたが恐らくこれで終息する。

終わりだ。

ナジミ達とも、もう会うことはないだろう。


俺は走り去るナジミの後ろ姿を見つめ、踵を返す。


静かなエンジン音が近づき、黒塗りの車が俺の真横につける。

スゥーーー

僅かなモーター音と共に後部座席の窓が半分ほど開く。

中から女が俺を見つめる。


ム!ムラサキ!


「あんた、ちょっと顔貸しな」


何だ?

バレたのか?

俺が警官だってことが。


バタン!


助手席からタツノスケが降りてくる。


「こっちだ。乗れ」


タツノスケが後部座席のドアを開く。

俺は一瞬辺りを見回すと後部座席へ乗り込む。


車が静かに動き出す。


「お前さんに話しがある」

ムラサキがタバコを取り出す。


「姐さん、車内は禁煙です」

タツノスケがゆっくりと横目で見る。


「分かってるよタツノスケ。

 火は点けちゃいないよ」

ムラサキがタバコをくわえて、スマホを取り出す。


「これ、あんただろ?」


スマホの画面を俺に見せる。

動画が流れている。


~ノッペラボウとスタンガンガール~

画面の中で、俺とナジミが覆面の男を襲っている。


「だったら何だ?」

俺はスマホの画面を見たまま答える。


「あんたが何者かはどうでもいい。

 ただちょっと厄介な事になりそうなんだよ」


「どういう事だ?」


「さっき捕まえた裏切り者がいただろ?」


「ああ」


「あの男の話しによると今回の一連の騒動は、

 どうやらゴンの仕業らしい」


「ゴンって、組長・・・」


ムラサキがチラッと俺を見てニヤリとする。


「へ~、ゴンを知ってんのかい?

 ま、今は元、組長だけどね」


くそ!

この女!カマかけやがった。


「それで?」


「タツノスケ、ここからはお前も話せ」

ムラサキが助手席のタツノスケに言う。


「実は、お前とスタンガンの少女が来る前に、

 オレと三度笠の少年がゴンを始末しに行った」


「始末?」


三度笠の少年って、たしかトキオって子のことだな?

始末ってどういうことだ?


「アタイが頼んだのさ。

 三度笠のボウズにゴンを殺すようにね」


「殺す?」


「ま、流れ上、そうなったって話しさ。

 それで続きだ、タツノスケ」


「はい、姐さん。

 ゴンを始末しに行った時、偶然にもゴンの用心棒を三度笠のボウズが倒したことになった」


「用心棒を倒した?」


「ああ、元力士で熊殺しのジョーと呼ばれてる男だ。

 その男は今、病院送りになってる」


「どうやって・・・」


「偶然開いたドアに吹き飛ばされて階段から転げ落ちたのさ。

 吹き飛ばされる寸前、目の前に三度笠のボウズが立っていたって訳だ。

 病院で気づいた熊殺しのジョーは三度笠にやられたって大騒ぎしてたらしい。

 あまりの衝撃で本人はドアに当たったと思っていないらしい」


「それで?」


「ここからだよ。厄介なのは・・・」

ムラサキがタバコを口から外す。


「アタイら、裏の世界ではちょっと前から三度笠の殺し屋って噂が広まっててね」


「駅前のカフェか?」


「へぇ、それも知ってるのね?

 で、今回の件で、ゴンがビビってしまってね・・・

 なんせ右腕の用心棒が手足骨折して動けないんだから・・・」


「で、どうなった?」


「殺し屋を雇ったのさ」


「え?」


「ゴンが本物の殺し屋を雇ったんだよ」


「・・・それで?

 俺にあんたの警護でもさせる気か?」


「それが違うんだよ」


「何が?」


「ゴンの奴、何を思ったのか殺し屋同士をぶつけちまったんだよ」


「・・・て、ことは、」


「そう、標的は三度笠だ」


「・・・・・」


「厄介だろ?」


「で、俺にどうしろと?」


「さあね。言っただろ?

 アタイは話しがあるって。

 あんたに話しただけだ。

 どうするかはあんたに任せる。それだけさ」


「・・・・・」

ずる賢い女だ・・・


「ここでいい、車を止めな」


「はい、姐さん」

運転手が車を止める。


「降りろ」

タツノスケが俺に言う。


俺は車を降りる。

黒塗りの車が静かに去って行く。


俺は胸ポケットからナジミがくれたアイブロウペンシルを取り出し見つめる。

さて、どうする・・・





--- 黒塗りの車 車内 ---



「姐さん。あいつ、動きますかね?」


「どっちでもいいさ。

 あの男が動かなければ他に手を考える。

 あの子らを助ける義理は無いが、焚きつけたのはアタイだ。

 これぐらいの事はしてやってもいいだろ。

 それと・・・タツノスケ」


「何でしょう、姐さん」


「一応あの男のこと調べておいておくれ」


「分かりました」





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