トキオの部屋 『トキオの場合』
--- トキオの家 玄関 ---
オヤジと今日からお母さんとハナちゃんが玄関で靴を履く。
「それじゃトキオ、俺、2人を送ってくるから」
「うん」
「ナジミちゃんも早く帰るんだよ。
よったら泊っていってもいいけど」
「ありがとうおじさん。でも、もう少ししたら帰るから」
「それじゃトキオ、送って来る」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
「先輩おやすみ」
「おやすみ」
それぞれが、おやすみを言う。
ガチャン!
ドアが閉まる。
「ナジミ、お前・・・帰るのか?」
「帰るわよ、まだお風呂入ってないし」
「うちで入ればいいじゃないか。
いっつも入ってるだろ?」
「いやよ!あの2人がいるでしょ!」
ブラザーの2人は、オレの部屋で撮影の準備をしている。
「あの2人、いつごろ帰るんだろう・・・」
「帰んないわよ」
「え!?」
「帰るわけないでしょ!密着なんだから」
「ウソだろ?」
「もう諦めるのよトキオ。
たった2日じゃない!頑張んなさいよ!」
「ヤダよオレ。
てかこれもう呪いやろ?
呪いが始まってるってことやろ?」
「バカね!トキオ!
呪いなんてあるわけないでしょ?」
「なんでそんな言いきれるんだよ?」
「今はデジタルの時代よ!
アナログ時代の迷信なんて全部解明されてんのよ!」
「そうなの?」
「そうよ!
・・・たぶん」
「たぶん・・・ってお前・・・」
「じゃ!アタシ帰るから!
また明日!!」
バタン!
あっけなくナジミは帰ってしまった。
オレは、静かになった階段の下から2階を見つめる。
ゆっくりと深呼吸する。
ふ~ぅ~・・・
覚悟を決めたオレは、
階段を一歩、また一歩と上がる。
ブラザーたちの足音や何かを話している声が聞こえる。
オレは自分の部屋のドアを開ける。
ガチャン。
「お!来たね!
それじゃ早速これをかぶってもらいましょうか!」
か、かぶる?
ブラザー兄からヘルメットを受け取る。
オープンフェイスのタイプだ。
「え?」
これって・・・
「そう!芸能人がバンジージャンプの時にかぶってるヘルメットさ!
前の棒の先に小型カメラが付いてるからね!」
「え?いや・・・これ・・・」
「これから君には・・・あ、トキオ君って言ったっけ?
トキオ君には2日間そのカメラ付きヘルメットをかぶり続けてもらう!」
は?
なんで?
ブラザー弟が隣に来る。
「これ付けてると顔の表情が分かるでしょ?
呪われるまでの表情を記録するってことだよね?兄!」
「その通りだ、弟よ!
だから君、いやトキオ君には四六時中かぶり続けてもらう!
そういう事!」
は?
どういう事だよ?




