表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
67/128

パーポーシャボン 『ムラサキの場合』



--- 薄暗い地下室 ---




ガチャン


ドアが開き、マサが入って来る。

「姐さん、お待たせしました」


地下室には、アタイと人質の女とマサの3人がいる。


「どうだった?

 裏切り者は分かったかい?」


「それが・・・

 建物内の組員全員を調べたんですが、

 スマホは見つかりませんでした」


「アプリのアイコンは動かなかったのかい?」


「はい・・・」


「てことは、スマホはこの建物のどこかに置いてあるか・・・

 もしくは働いてる女か、客が持ってるってことになるわね」


「はい」


「ちッ!

 やっかいな事になったね」


「はい・・・」



プルルルルル!



アタイのスマホが鳴る。

タツノスケから電話だ。


「マサ、ちょっと待っておくれ」


アタイがスマホに出る。


『もしもし、姐さんですか?

 もしそこにマサが居るなら、俺と分からないように返事してもらえますか?』

早口でタツノスケが話す。


「おう、何だい?

 久しぶりじゃなの。どうした?」

アタイはタツノスケに話しを合わせる。


『俺たちの事、ゴンにバレてました。

 もしかして麻雀店に俺たちが行くのをマサに言いました?

 もしそうなら裏切り者はマサかもしれません』


「へぇ~そうなのかい。

 そりゃ、大変だねぇ」


『俺はマサを信じてますが、

 状況を考えるとマサが一番あやしい事に間違いありません。

 もう少しで戻ります。それまでマサを疑って対処してください』


「わかった・・・

 それが今ちょっと立て込んでてね。

 また誘ってくれるかい?それじゃ」


アタイが電話を切る。


「どちらさんからです?」

マサが聞く。


「昔の知り合いさ。

 今、近所に来てるから飲みにでも行かないかってね」


「そうですか・・・」


マサが怪しい?

確かにさっき、タツノスケの行き先を聞いてきた。

あの後、ゴンに連絡することは十分可能だ。

そして今も電話の相手を聞いてきた。

警戒している証拠か?

だがアタイが見る限り今のところ妙な行動はしていない。


「で、マサ。

 お前さん、この後どうやって裏切り者を見つける気だい?」


「とりあえず女と客を全員建物から出そうかと・・・」


「どうやって?

 怪しまれたら終わりだよ?

 それに一部屋ずつ追い出すのは効率が悪すぎやしないかい?」


「非常ベルを鳴らそうかと」


「なるほど。

 そうね、確かにそれなら全員が出てくるわね。

 客は文句を言うだろうがね」


「そこは何とかします」


「そうかい。それじゃ、その方法でやってくれるかい?」


「え?あ、今からですか?」


「早い方がいいだろ?

 すぐやっとくれ。

 それと渡したスマホを戻してくれるか?」


「は、はい。

 分かりました」

マサがスマホをアタイの机の上に置く。


「それじゃ姐さん!

 今から5分後に非常ベルを鳴らします」


「ああ頼んだよ。それと、」



ガチャン!

ドアが勢いよく開いた。


タツノスケと三度笠が戻ってきた。


「タ!タツの兄貴!」

マサが叫ぶ。


「マサ。お前、何そんなに驚いてるんだ?」

タツノスケがマサに問いかける。


「いや、そんな急にドアを開けたら誰でも驚きますよ!」


「そうか。

 お前、ちょっとスマホを見せてくれるか?」


「スマホなら今、姐さんに戻しました」


「いや、そのスマホではなくお前のスマホだ」


「え?

 何でですか?・・・」


動揺するマサをタツノスケが無言でみつめる。


「え?まさか、

 オ、オレを疑ってんすか!兄貴!」


「いや、違う、これは最初にやっておくべき事だった。

 それだけの事だ。早く見せるんだ」


「確認ってことですか?

 いいですよ。どうぞ」

マサがタツノスケにスマホを渡す。


タツノスケがスマホを確認する。


アタイはマサの目、口元、指を凝視する。

人は動揺すると敏感な部分が反応するからだ。


タツノスケが視線をスマホからマサに向ける。


「マサ、悪かった」


スマホをマサに返す。


「姐さん、大丈夫です。

 マサじゃありません」


「そうかい。

 それじゃ一体誰がゴンに教えたんだい?

 タツノスケ、お前の勘違いじゃないのかい?」


「いえ、それは絶対にないです。

 あれは間違いなく待ち伏せされてました」


アタイが指示を出した時にこの部屋に居たのは、マサを除いたこの4人だった。

タツノスケは三度笠と、アタイは人質の女とそれぞれ一緒にいた。

となると、やはりマサなのか?

今のスマホとは別に連絡用のスマホを持っているってことか?


「あ、あの~・・・」


人質の女が、そっと手を挙げる。


「何だい?」


「たぶんトイレです・・・」


「何だい?お前さん、またトイレなのかい?」


「いや、違います。

 あの、隣のトイレから、この部屋の声が丸聞こえなんです。

 だから、多分トイレから聞いてたんじゃないでしょうか?」


な!?

なにー!?


トイレから丸聞こえ!?


アタイは隣のトイレは使った事がない。

2階事務所の専用トイレしか使わないからだ。


という事は、あの時の会話をトイレで聞いていた奴が裏切り者ってことか!

しかしこの地下には客や女たちは入って来ない。

てことは、やはり組員の誰かって事になる。

スマホはどこかに置いているってことか?

どうする?

どうやって見つける?



ドガドガドガッシャーーーー!!!


突然、何かが転げ落ちる音がする。


バガッンッ!!


一気に地下室のドアが開く。


「あッ!あッ!姐さんッ!!」

組員の1人が飛び込んできた。


「なッ!なんだ!!

 どうしたッ!!」


「なッ!殴り込みですッ!!」


な!殴り込み!?

ゴンか!?

いや、早すぎる!

いくらなんでも早すぎる!


ならば南か?

南地区の襲撃か!?

どっちにしろアタイがココに居ることがなぜ分かった?

やはり内部に裏切り者がいるということか!?



ドガッ!ドガッ!ドガッ!


「うぎゃぁぁー!!」


階段や廊下から男たちの痛烈な叫びが聞こえる。


ガッシャーン!!


「うぎゃぁぁー!!」


・・・・・。


一瞬、静かになる。

室内の全員が固まる。


薄暗い地下室の開いたドアの向こうに大小2つの人影が現れた。

小さな人影がゆっくりと一歩前に出る。


え?

少女?


少女がアタイを凝視する。


「ムラサキってのはあんたか?」


少女の手にはスタンガンが光っていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ