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ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
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車内 『兄弟の兄の場合』



ウゥ~~~!


『前の車!止まりなさい!

 路肩に寄せて止まりなさい!』



「あ!兄よ!!ポリだッ!」

弟が叫ぶ!


「わ!分かってるッ!

 デカイ声出すな!」


どうする?

逃げるか?

いや!無理だ!

フロントガラスが割れて前がよく見えないのにパトカーを振り切ることなんて無理だ!

てか、ガラス割れてなくても振り切れるわけねぇー!


くそ!

止まるしかないのか!?


オレはブレーキを踏み、ゆっくりと徐行を始める。


「マモル!マモル!どうしたの!?」

後ろでスタンガンの少女が叫んでいる。


「ちょっと!マモル!しっかりしてッ!」

バックミラー越しにスタンガンの少女がのっぺらぼうをガクガク揺さぶっているのが見える。


「マモル!あんた警官でしょ!

 何とかしなさいよッ!」


へッ!!?


ゲゲぇーー!!

ウソやろ!

け!け!警官!!?

後ろに警官が乗ってんの?

ウソやろー!!


「あ!兄よッ!こ、この車!

 ポ!ポ!ポリが乗ってるのかッ!?」


弟よ!

落ち着け!

落ち着くんだ!

どうする!


パトカーは真後ろまで来てる!


「と、と、止めるぞ。車」

オレはブレーキを踏み車を停車させる。


「どうすんだよ、兄!」


どうするったって、弟よ。

これもう無理だろ?

なるようにしかならねぇよ。

正直に、洗いざらい話すしかない。

もうそれしか無いんだ、弟よ・・・



バタンッ!



パトカーから警察官が降りてくる。

ドアミラー越しに警察官がこちらに歩いてくる。

警察官は途中で懐中電灯を点ける。


くる!


来るぞ!



コンコン。


警察官が運転席の窓を叩く。


ブィーーン


オレは窓を開ける。


「ちょっとお話し、いいですか?」

警察官が懐中電灯で車内をてらしながら言う。


「な、な、なんでしょうか?」


バカ!オレ!

動揺するな!


「免許証、見せてもらえます?」


「あ、はい」

オレは内ポケットの財布から免許証を取り出し警察官に渡す。


「今ね、使われていないホテルの方から出てきましたよね?」

警察官がオレの免許証を見ながら聞く。


「は、はい」


ダメだ!

動揺するな!


「何してたんですか?」

警察官が懐中電灯で車内にいる全員の顔を照らしながら言う。


「あ、いや、えっと・・・」


しどろもどろになっているオレに、

後部座席の美少女が割って入った。


「肝試しです!

 みんなで肝試しに行ってました!」


「あそこ、勝手に入っちゃいけないんですよ?」


「あ、はい、そうなんですけど・・・」


何だ?

気づいていないのか?

フロントガラス・・・

これ、何で割れてるんですか?とか聞かれた日にゃ~即終了ですわ!


あ!


まてよ!もしかして、

丁度なのか?

ちょーうどの角度で警察官からフロントガラスが割れているのが見えていないのか?

外、暗いし。

てか普通フロントガラスが割れてるなんて思わないよね?

これはラッキーなんじゃないの?

なるべく視線をフロントガラスに向かない様にすれば、

アホな若者の肝試し大会で話しがまとまるんじゃないの!?


「あ!いや!でも中には入ってません!

 怖くてすぐに引き返してきました!」


いや、入ったけど。

なんなら今日、行くの2回目やし。

そんな事より、なんとかやり過ごすんだ!


「すみませんでした!

 もう行きません!」

オレが叫ぶ。

警察官が再び車内を懐中電灯でゆっくりと見回す。


ヤバイ!

バレるか!?

オレたち捕まるのか?


「おいッ!」


パトカーからもう1人の警察官が降りて来た。


「何です?」


「駅の北で抗争だ!」


「抗争?」


「ああ、麻雀屋に押し入ったらしい。行くぞ!」


「あ、はい!

 あ!これ免許証!ありがとうございました。

 もうあそこには行かないように!あれ?

 前のガラス、割れて、」


「おい!急げ!!」


「あ、はい!」


警察官が慌ただしく去っていった。


「兄よ・・・」


「なんだ、弟よ・・・」


「これ、助かったんじゃないのか・・・」


「だな、弟よ・・・」


パトカーがけたたましいサイレンと共にオレたちの車を追い抜いて行った。



「あ、ココ電波が入る。

 トキオにかけてみますね!」

何事も無かったかのようにスタンガンの少女がスマホで電話をかける。


・・・・・。


「ん~、ダメだ。

 留守電になる・・・」


「そう・・・

 トキオくんにも繋がらないんだ・・・」


「ねぇ、あんた達にお願いがあるの」

スタンガンの少女が話しかけてきた。


「な、何?」


「ユイさんを降ろした後で、アタシとマモルを駅前で降ろしてくれない?」


「い、いいけど・・・」


「ナジミちゃん、駅に用があるの?」


「うん、ちょっと・・・」


「先にお家に帰って、トキオくんの無事を確認した方がいいんじゃない?」


「そ、そうなんですけど・・・

 すぐに済む用事なので、その後トキオの家に確認しに行きます」


「すぐに済む用事?」


「はい」


「それじゃ私も行くわ」


「え!?

 いや!でも・・・」


「すぐに済むんだったら、その後トキオくんの無事を私も確認したいの」


「・・・わ、分かりました。

 それじゃユイさん、一緒に行きましょう。

 あんた達!駅前までお願い!」


「は、はい!

 それじゃ出発します!」


スタンガンの少女の勢いに流されオレは返事をする。

すっかり召使いの気分だ。


しかし、後ろの3人はどういう関係なのだろう?

女の子2人は友達なのだろう。それは分かる。

だが、のっぺらぼうの警官とはどういう関係なのか?

何で眉毛が無いのか?

なぜ、スタンガンの少女と一緒になって覆面男を襲ったのか?

本当に警官なのか?

だって、さっき職務質問をされていた時、ずっと無言だったぞ。

同僚なら声を掛けてもいいんじゃないのか?

本当に警官なのか?


まあいい。どうでもいい事だ。

なぜならオレ達は駅前までの関係だ。

車から降ろせば、このハチャメチャな奴らとは2度と会うことはない。

そう2度と会う事はないのだ。

それまでの辛抱だ。


「あ、それと、もう一つお願いがあるんだけど」

スタンガンの少女がオレに言う。


「え?何?」


「あんた達も一緒に来てちょうだい」


へ?


はぁー!!?






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