駅のはずれ 『ハナの場合』
--- 薄暗い地下室 ---
「タツノスケ。
あんたは殺し屋さんと一緒に行きな。
それと、信用できる男を一人呼んでおくれ」
「分かりました姐さん。
すぐにマサを呼びます」
「それじゃ、頼んだよ」
タツノスケと呼ばれた男とボサボサ頭のトキオが部屋から出て行く。
元組長を始末するって、
あのボサボサ頭、一体どうするつもりなのよ?
ま、でもそんなことより、
「あ、あの~」
わたしがムラサキに声をかける。
「なんだい?」
「えっと、トイレお借りしてもいいですか?」
「部屋を出てすぐ左だ。
行けば分かる。
それと階段には見張りがいるから、
逃げようなんてバカなまねすんじゃないよ?」
「は、はい・・・」
ちッ!
ダメか!!
この女、常に先を読んでやがる。
ま、そんな事よりまずはお手洗いよ!
わたしが部屋を出るとすぐ隣にトイレがあった。
ドアを開け中に入る。
誰かが階段を降りてくる足音が聞こえる。
バタン!
『お呼びでしょうか?姐さん!』
『来たね、マサ。
お前に頼みがある』
え?何このトイレ、
となりの声が丸聞こえなんですけど!
この壁、薄ッ!
『まずはこのスマホを渡すわ』
『はい』
『その画面の地図に表示されているスマホを持っている奴を見つけてくれないか。内密に』
『何ですかこれ?』
『追跡アプリよ』
『追跡アプリ?』
『どうやらそいつが裏切り行為をしているみたいなんだよ』
『裏切り者?
分かりました。すぐに連れてきます』
『どうやる気だい?
そのスマホから直接電話なんかするんじゃないよ?
電源を切られると終わりだからね』
『分かってます、姐さん。
この敷地から離れたところに、さりげなく一人ずつ呼び出します。
それで表示されているスマホが移動すればそいつが裏切り者です』
『いいだろう。
任せた。
見つけ次第、ここに連れてきておくれ』
『分かりました。
あ、それと、あの三度笠のガキ、タツの兄貴と何処に行ったんですか?』
『ゴンの所さ』
『そうですか・・・あ、そうそう、そう言えばあのガキ、仮面を持ってましたよ。
そこの壁にあった仮面』
『ああアレ?
アタイがくれてやったのさ。
とんでもなく臭かったからね』
『そうなんですか・・・』
『何でだい?』
『あれ、俺が作ったんすよ』
『え?』
『親分から頼まれて。
縁日のゾンビのお面を改良したんすよ。
匂いまでつけて。
よく出来てたでしょ?』
『あんたかい?
あんな余計なもん作りやがって。
あの子、首狩り族の仮面って信じてるぞ。
ま、とにかくスマホの件は頼んだよ』
『はい、分かりました。
すぐに始めます』
『しかし、あの女、遅いわね』
『え?誰の事ですか?』
『あんたはいいから早く行きな』
『はい!姐さん!』
やば!
早く済まさなくちゃ!




