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ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
57/128

廃墟 『ナジミの場合』その3




--- 廃墟ホテルの前 ---




「やッ!やめて下さい!!」


廃墟ブラザーズが覆面男の前に出て行った。


よし!今だ!


「チャンスよ!」


「え?」


「2人であの覆面男をやっつけるのよ!」


「ダメだ!

 そんな危険な事はさせない!

 君はココに居るんだ!

 僕がやる!」


あんた何カッコつけてんのよ。

悪人をやっつけるには多い方がいいでしょ。

それに、


「アタシにはコレがある!」


スタンガンをポリスメンに見せつける。


「ダメだ!それは接近戦にしか、」


「いいから!行くわよ!」


「あ、待てッ!」


アタシとポリスメンは身をかがめ廃墟ホテルから出る。


「あなたは男の右から!あたしは左から!」


アタシがささやき覆面男の左側に回る。



ガシャン!



覆面男がバールのようなもので廃墟ブラザーズ弟のカメラを叩き落した。


今だ!!

アタシは覆面男めがけて飛び出した!

同時だった。

ポリスメンとの恐ろしいほどのシンクロ率。


バチバチバチ!


あっという間の出来事だった。

ポリスメンに激突タックルされた覆面男は小さくうめき声を上げるのが精一杯だった。


「アタシをなめるんじゃないわよ」


「あ、あなたは・・・」

廃墟ブラザーズ兄がつぶやく。


アタシはゆっくりと廃墟ブラザーズを見る。


「よく聞いて!あなた達はココで何も見ていない。

 今すぐ家に帰りなさい。

 車には動物がぶつかったとでも言って修理すればいいわ。

 それとその壊れたカメラのデータは全て消去すること!

 わかったわね!」


「あ、あ、あの、」


「分かったわねッ!!」


「は、はい!分かりました!」


廃墟ブラザーズは車に乗り込む。

フロントガラスが割れて前が見えにくいのか、車はゆっくりと去って行った。

ここで廃墟ブラザーズに騒がれると面倒なことになる。

見なかったことにするのだ一番だ。

それに廃墟ブラザーズも無許可での撮影だ。

問題にされたくは無いはずだ。

これでいい。


アタシは足元を見る。

ポリスメンが覆面男をねじ伏せている。


「このロープで縛るわ!

 しっかりおさえてて!」


「わかった」


アタシが落ちているロープで覆面男の手を縛る。


「よし、これでいいわ」


アタシは覆面男の胸にスタンガンをグイッと押し付ける。


「よせよせ!わ!わかった!

 言う言う!あんたらの知りたいことは全部教える!

 だからスタンガンはよせ!」


何この男?

こんなに簡単に口を割るもんなの?

あれだけ暴力的な事しといて・・・


「じゃ教えて。

 なぜアタシ達を連れ去ったの?」


「ほ、本当はあんたのバッグが目的だった。

 何日か前から様子をうかがってチャンスを狙ってたんだ。

 それでバッグを取ろうとすると、あんたが思いのほか抵抗するから仕方なく車に連れ込んだんだ。

 そっちの男はあんたを助けようとしてたから流れでそうなった・・・」


そうか・・・

てことは、このポリスメンは本当にアタシを助けようとしてたのね。


「それで、

 何でアタシのバッグが必要なのよ?」


そう、ここで間違ってはいけないのが、

こいつらの欲しがっているのは、おさげのユイのバッグという事だ。

替え玉として変装していたアタシのバッグではない。

なぜユイのバッグが必要なのか?


「そ、それは知らない!本当だ!

 オレは頼まれてやったんだ。」


「誰に?」


「そ、それも知らない!」


アタシが覆面男の胸にスタンガンを押し付ける。


「ま!待ってくれ!本当なんだ!

 メールで指示されたんだ!

 証拠もある!胸のポケットにスマホがある!

 メールを見てくれ!暗証番号も教える!」


覆面男が暗証番号をつぶやく。

本当にペラペラとしゃべる男ね。


アタシが胸のポケットからスマホを取り出しポリスメンに手渡す。

「確認してみて」


「分かった」

ポリスメンが確認する。


「で、アタシのバッグをどこに持って行ったの?」


「北地区だ」


「北地区ってどこよ?」


「駅だ。駅の北側」


「そこのどこにあるのよ?」


「ムラサキ・・・北のムラサキの所にある」


北のムラサキ?

何よそれ?

どこなのよ?


「ちょっと、いいか?」

ポリスメンがアタシにささやく。


「何よ?」


「いいから、ちょっと・・・」


ポリスメンがアタシの腕を取って覆面男から離れる。


「なによ?」


「北のムラサキってのは駅の北側の地区を支配している女の事だ」

ポリスメンがささやく。


「女?」


「そう、女だ。

 本来は親分が居るんだけど今は刑務所に入ってるから代わりに嫁のムラサキが組織を束ねている。

 その嫁は、みるみる頭角を現して今では親分を超えたとも言われている」


「よく知ってるわね」


「一応これでも駅前交番の警官なもんでね。

 これぐらいは知っておかないと仕事にならないんだよ」


「そう、それじゃ行くわよ」


「どこへ?」


「決まってるでしょ!

 北よ!ムラサキの所よ!」


「何を言ってるんだ君は!?

 ここから先は警察に任せるんだ!

 これ以上危険な事はやめるんだ!」


なに熱くなってんのよ、こいつは。

アタシはスマホを取り戻すのよ!

絶対にね!


「そう、それじゃこうしましょう。

 まず覆面の男たちを車に乗せて、スマホの電波が届くところまで行く。

 そして警察に連絡して、駅前でアタシを車から降ろしてちょうだい。

 それでいいでしょ?」


「駅前で車から降ろす?」


「そうよ」


「ムラサキの所に行くのか?」


「そうよ。バッグを取り返すのよ」


「ムラサキの居場所は?」


「あの男に聞けばいいわ。

 どうせペラペラ喋るんだから」


「ダメだ!そんな事はさせない!

 君1人だなんて絶対にダメだ!」


「じゃ、あなたもついて来てよ」


「いや、だから、それは無理だ!」


「なぜよ?」


「僕は警官だからだ!」


「今は違うでしょ?」


「今は、ま、確かに今日は休みだけど、制服を着ていなくても僕は警官なんだ!

 それに今日だけでかなりの職務違反を犯している!

 犯人やあの兄弟にも顔を見られているし・・・

 これ以上、警官として不名誉な行為はできない!」


「それは大丈夫よ」


「何が?」


「あなたの顔はバレないわ」


「なぜ?」


「なぜって、鏡を見ればわかるわ」


アタシが懐中電灯をポリスメンに渡す。

ポリスメンが覆面男たちが乗ってきた車のドアミラーを覗き込み懐中電灯で照らす。


「んなッ!?」

ポリスメンが小さく叫んでのけ反る。


「そうよ!

 アタシが勢いよくあなたの顔の粘着テープをはがしたから、あなたの眉毛が全部抜けたのよ!」


「なッ!」

ポリスメンが小さく叫んでのけ反る。


「よくご覧なさい。

 眉毛が無くなるとこうも人相って変わるもんなのよ!

 ま、これは男には分からないでしょうけどね!」


「なッ!」

ポリスメンが小さく叫ぶ。


「アタシは、バッグさえ取り戻せればそれでいいの!

 今はまだ日が暮れたばかりよ。

 これからその女の所に行ってバッグを取り戻した後に警察に行けばいいわ!

 だから今は職務の事は忘れて!

 お願い!」


絶対にスマホは取り戻すのよ!

何があっても!


「・・・いや・・・ダメだ。

 悪いけどそんな危険な事はできない。

 とにかく町まで戻ろう」


ダ、ダメだ、この男。

頭が硬すぎる。

何とかしなければ・・・


「さ、急ごう!覆面の男たちを車に運んだらすぐに出発だ!

 君も手伝ってくれ!」


クソ!

ダメか!

このままだと警察で事情を聴かれて終わりだ。

おそらくスマホは戻って来ない。

どうする?



パァーーーーン!!



突然凄まじい破裂音が暗闇の森に響いた。


な!何!!?


ポリスメンが破裂音のした方に懐中電灯を向ける。


「バ、バーストだ!」


「え!?何?」


「車のタイヤがバーストした!」


「え?バーストって何?」

車の後ろタイヤを見ると見事に押しつぶされている。

「パ、パンクしたって事?」


「・・・まぁ、そういう事だ・・・」





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