廃墟 『兄弟の兄の場合』
--- 廃墟ホテルの前 ---
な!何だあの覆面の男は!
管理人なんかじゃない!
ガシャーン!!
ガシャーン!!
覆面の男はオレたちの車を破壊し始めた。
「やッ!やめて下さい!!」
オレと弟が出て行く。
覆面の男がバールのようなものでオレたちを指差す。
「何だお前らは?ここで何してる?」
「お、オレたちは、
廃墟ブラザーズ!」
「は?
ふざけてんのか!?」
「あ、いや、廃墟の動画を撮ってます。
兄弟で・・・」
「で、男と女は?」
「え?」
なんだ?男と女って、この人なに言ってんだろう?
というか、覆面かぶって人の車のフロントガラスをぶっ叩くって、
どう考えても普通じゃない・・・
「おい!ここに居た男と女はどこだって聞いてんだよッ!!」
「え?いや、知りません」
「知らねぇわけねぇだろ?もう一度だけ言う。
その靴についてる布テープに巻かれてた男はどこだって聞いてんだよッ!!」
覆面の男が懐中電灯でオレの足元を照らす。
オレの靴に粘着テープが引きずる様にへばりついている。
な、なんだこれ?
こんなテープいつ付いたんだ?
ホテルの中か?
それとも今か?
「あ、いや、あの~これは・・・」
オレが動揺していると弟が一歩前に出た。
「あなたこそ何なんですか!
そんなもん顔にかぶって人の車壊しといて!」
「なにぃ~!?」
バカ!弟よ!
挑発するんじゃない!
この状況からして、この人どう見ても犯罪者やろ!
「いいですか!覆面の人!よく聞くのです!!
オレたち廃墟ブラザーズはインターネットという巨大な通信網を使うことが出来る!
あなたの行動は全てこのカメラに記録している!
これ以上やると、この動画を全世界に公開することとなる!」
弟がカメラを覆面の男に突き出す!
や!やめろ!弟よ!
カメラを止めろって言っただろ!!
それにオレたちのフォロワーは18人だ!
ガシャン!
覆面男がバールのようなものでカメラを叩き落した。
あ。
弟が片手を上げたまま立ち尽くす。
と、その時、
覆面の男に大小2つの人影が両脇から襲い掛かった。
それは連携の取れた無駄のない動き。
大きな人影が覆面の男にタックル。
同時に小さな人影が首元へ攻撃。
バチバチバチ!
電撃音と閃光が暗闇に走る。
ねじ伏せられた覆面の男の横にはスタンガンを持った少女が立っていた。
「アタシをなめるんじゃないわよ・・・」
少女がつぶやいた。
それは、一瞬の出来事だった。




