廃墟 『ナジミの場合』その2
--- 廃墟ホテルの前 ---
さて、それじゃストーカーポリスメンから始めますか。
アタシは懐中電灯で照らしながらストーカーポリスメンの目に張り付いている粘着テープを勢い良くはがす。
ベリッ!
あ!
やべぇ!勢い付きすぎたか?
眉毛が・・・抜けた。
粘着テープを見ると、綺麗にマジックで描いたような眉毛がついている。
ストーカーポリスメンは目をシバシバさせる。
ちょっと申し訳ない気持ちもあり、口元の粘着テープはゆっくりはがす。
「ゴホッ!ゴホッ!」
ストーカーポリスメンが咳き込む。
「ゴホッ!き、君は・・・
あ、ありがとう。
手の、手のテープも取ってくれないかな?」
「ダメよ」
「え!?」
「まずは説明してもらうわ。
なぜあなたはストーカー行為をしていたの?」
「ぼ、僕はストーカーなんかじゃない!」
アタシはスタンガンをストーカーポリスメンの胸に押し当てる。
「ま!ま!待って!僕は見守りをしていたんだ!
証拠が無いと何もできない状況だったから、
個人的に見守りをしていたんだ!
そしたら、君が襲われたから助けようとして!」
「え!?
それじゃ、あなたストーカーじゃないの?」
「違う!ストーカーから君を守ろうと・・・
え?き、君は・・・
あの子じゃ、ない?」
「アタシはユイさんじゃないわ」
「でも、同じ格好・・・?」
こいつ。
ウソをついている様には見えないわ。
信用していいのか?
いや、まだだ。
信用するにはまだ早い。
とりあえず次は覆面の男だ。
「次はあんたよ」
アタシは覆面の男の胸にスタンガンを押し付けた。
「ひぃ!や、ヤメロ!」
「知ってる事を全部話して!」
「知らない!オレは何も知らないんだ!
借金をチャラにしてやるから協力しろって言われてついてきただけなんだ!」
「じゃあ、もう一人の覆面の男はだれ?」
「あ、あれは借金取りだ!」
「名前は?」
「名前なんか知らない!ほんとだ!」
こいつ。
ウソをついてやがる。
なめやがって!
「うはッ!ウハハハハ!」
突然、覆面男が笑い出した。
な、何だ?
「うひひひひ!
お前ら終わりだ!
見ろ!仲間が来た!」
遠くに車のライトが見えた。
くっそ!
戻って来た!
どうする?
スタンガンで戦うか?
いや、あの運転していた男はこのボンクラとは違う気がする。
それに1人じゃないかもしれない。
おそらくアタシには勝てない。
クソ!仕方ない!
「こっちに手を向けて!
テープをはがすから!!」
アタシはストーカーじゃないと言っているポリスメンに叫ぶ。
ポリスメンが体の向きを変える。
アタシは手の粘着テープをはがす。
手にまとわりついてあせりながらも、はがした長めの粘着テープを放り投げる。
車のライトがカーブの度にこちらを照らす。
「急いで!」
アタシが叫ぶ。
手が自由になったポリスメンは足のテープもはがす。
「その男を早くこっちへ!」
アタシが懐中電灯で照らす。
ポリスメンがホテルの中へ覆面男を引きずる。
ガタイがいいだけあって、軽々と覆面男を移動させる。
「ふはははは!
おめぇら終わりだ!」
覆面男が笑う。
「静かにしろ!」
ポリスメンが覆面男に叫ぶ。
「ふはははは!バカめ!」
「大丈夫よ!これで失神させるわ!」
アタシがスタンガンを覆面男の胸に押し当てる。
「よせ!無駄だ!」
ポリスメンが叫ぶ。
「え!?」
「スタンガンじゃ失神はしない!」
「どうしてよ!あなた失神してたじゃない!」
「あれは殴られて気を失ってたんだ!」
「そ、そうなの?
てか何してるの!」
ポリスメンが覆面男の首にマフラーのように太い腕を絡ませ締め上げる。
「こうすれば落ちる」
覆面男がガクンとなる。
落ち、え?
「大丈夫、気絶しただけだ」
廃墟ホテルの前に車が入ってきた。
車のライトがホテルのロビーの壁をゆっくり舐める。
バタンッ!
車から2人の男が降りてきた。
「はい!どうもー!
廃墟ブラザーズの廃墟探訪!
今回はこちらの廃墟ホテル!
では早速、中に入っちゃいましょー!!」
動画投稿マンたちがやってきた。




