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ネジレコネクション  作者: 刺片多 健
51/128

廃墟 『ナジミの場合』



バチバチバチ!


「や!やめて!!」


さすがにスタンガンには勝てない。

アタシは渋々カバンを男に手渡した。


ぶっちゃけカバンはいいわ、諦める。

だが!個人情報濃縮マシーンであるスマホはアタシにとって命!

絶対に取り返さなければいけない!

いや!絶対に取り返してみせる!


そうしているうちに、山奥の廃墟のホテルに連れてこられた。




--- 廃墟のホテル ---



粘着テープでグルグル巻きにされたストーカーポリスメンは車から引きずり降ろされた。

アタシはその横に立っている。

ここは山奥の廃墟のホテルだ。

車の移動距離からすると町からそう遠くはない。

しかし外はもう真っ暗。

月明かりはあるが、逃げるのは不可能に近い。


2人の覆面の男が話しているのが聞こえる。


「これは俺が持って行く」


「え?じゃオレは?」


「お前は2人を見張ってろ」


「いつまで?」


「俺が迎えに来るまでだ。

 それと女には手を出すなよ。

 これ以上面倒になると取り返しが付かないことになる」


運転していた男はそう言うと車に乗ってどこかに行ってしまった。


残された男は懐中電灯を腰にぶら下げ、ストーカーポリスメンをズルズルと引きずる。

どうやら廃墟ホテルのロビーに入れようとしているらしい。


「おい!お前も手伝え!!」

男が叫ぶ。


「いやよ!」


「はぁ!?」


「ここで待てばいいじゃない!」


「誰かに見られるだろうが!」


「誰も来ないわよ!こんなとこ!!」


「ちっ!」

男は引きずるのを諦めた。

懐中電灯で辺りを見回し始める。


「ねぇ、アタシを誘拐する理由って何なの?」


「ケッ!そんな事オレが知るかよ!」


「じゃあ、こっちの男は何でグルグル巻きにされてるの?」


「だから知らねぇよ!」


「知らないって、あんたがテープで巻いたんじゃない!」


「ちっ!」


何この男。

全然使えないわね。


「ねぇ、ちょっと寒いんだけど」


「ガマンしろ!!」


「いやよ!」


「はぁ!?」


「あんたは覆面してるから寒くないかもしれないけど、こっちは寒いのよ!

 火、点けてよ!」


「火?」


「たき火よ!どうせやる事ないんでしょ!?」


「ちっ!うるせー女だな・・・」


「ほら!何か燃えそうなもの集めなさいよ!

 アタシも集めるから!」


「ちっ!クッソー・・・」

男は何かブツブツ文句を言いながらも懐中電灯を照らしながら木材や段ボールなどを集める。

アタシも月明かりの中、燃えそうなものを集める。


アタシと男が、小さなゴミの山を見つめる・・・


ゴミの山を見つめる・・・


・・・・・。


「何やってんのよ!早く火、点けなさいよ!」


「どうやって?」


「は?ライターに決まってるでしょ!」


「オレ、タバコ吸わねぇんだよ」


「は?あんた何いってんのよ!

 あんたみたいなクズが健康に気を使ってどうすんのよ!!」


「てめえ!さっきから何様のつもりだオラ!!

 ぶっ飛ばすゾッ!!」


「やれるもんなら、やってみなさい!

 アタシには手を出すなって言われてたでしょ!!」


「ちっ!てめえ・・・」


「いいから、火、点けてよ!」


「だからどうやって点けんだよ!」


「あんたそんな事も知らないの!

 木の棒をクルクル回して点けるのよ!」


「はぁ!?」


「摩擦よ!」


「はぁ!?んな事できるかよ!」


「出来る出来ないじゃないのよ!やるのよ!

 ほら!この棒もって回しなさい!」

アタシが手頃な棒を差し出す。


「ちっ!お前がやれよ!」


「いやよ!」


「はぁ!?」


「火おこしは男がやるもんよ!そう決まってんのよ!」


「んなこと誰が決めたんだよ!」


「石器時代から男がやってんでしょ!

 早くやんなさいよ!このネアンデルタール人!!」


「てめ!この野郎!いい加減にしろよ!

 マジでぶっ飛ばすゾ!!」


「もうそういうのいいから、早くしてよ!

 本格的に寒くなってきたじゃない!

 ほら!アタシが照らしといてやるから!」

アタシが男の腰にぶら下がっている懐中電灯で手元を照らす。


「ちっ!・・・」


男はブツブツ言いながらも木の棒を木材に当てクルクル回し始める。



--- 3分後 ---


「んな事!やってられっかよッ!!」

男が木の棒を投げ捨てる。


「ちょっと!諦めが早いわよ!」


「じゃお前がやれよ!」


「いやよ!」


「はぁ!?」


「あ!そうだ!

 アレを使えばいいじゃない!

 バチバチしてたヤツ!」


「は?

 これか?」

男が胸元からスタンガンを取り出す。


「そうそう!それよ!

 それで火を点けるのよ!!」


「そ、そうか!これだ!」


「そうよ!それよ!現代人!」


「ちッ!てめぇ・・・」


「早くやってよ!」



バチバチバチ!

バチバチバチ!


「点かねぇ・・・」


バチバチバチ!

バチバチバチ!


「全然点かねえ・・・」


「もう何なのよ!貸して!!」

アタシがスタンガンを受け取る。


バチバチバチ!


アタシはスタンガンを男の胸に押し当てる。


「ウググッグぅ!!」

男がもだえる。


バチバチバチ!


アタシは更にスタンガンを男の胸に押し当てる。


「アガガガガッ!やめやめヤメテテぇ!」

男がもだえる。


バチバチバチ!


アタシはまだまだスタンガンを男の胸に押し当てる。


「痛痛痛!ウググウ!アッガガ!!」


おかしいわね。

なんで失神しないのかしら。


バチバチバチ!


アタシは追撃のスタンガンを男の胸に押し当てる。


「やめ!ダメ!痛!痛!痛!」

男は失神しないが戦意喪失状態になった。



アタシは燃えそうなゴミを集めた時に見つけていた紐で男を後ろ手に縛った。



季節柄、まだ虫の音はない。

遠くで風の音がする。

アタシは星空を見て大きく深呼吸する。


さ~て、ここからが本番だ。

どうやってアタシの命、個人情報濃縮マシーンを取り返そうか。

アタシをなめんなよ、覆面野郎ども。





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