下校中 『トキオの場合』
--- ユイちゃんの住むマンションの1階エントランス ---
「捕まえればいいのよ!
このストーカーポリスメンを、
アタシたちで捕まえればいいのよ!!」
ナジミが片手でガッツポーズをする。
ちょ!おま!何いってんだよ!
警察官を捕まえる!?
じょ!冗談じゃねぇ!!
「そうね、それしか無いわね」
ちょ!!ハナちゃんまでー!!
なにを!
なーにをいってんのよ!
ユイちゃんが心配そうな顔でハナちゃんの肩にそっと手を置く。
「ちょっと、ハナちゃん。
相手は警官だよ?」
「わかってるわ、ユイ。
だけどあの男はわたし達にそんな素振りを全く見せなかったのよ。
これがどういう事か分かる?
あの男は周りに対して全てをあざむく『技』を持っているという事よ!
それはね、ユイ・・・
社会に適応したサイコパスが警察の制服を着てるっていう事なのよ!」
何?何?ハナちゃん・・・
急にどうしちゃったのよ?
何なの?
「さ!そうと決まれば、トキオ!
とりあえず明日、ストーカーポリスメンをとっ捕まえるわよ!!」
とりあえずって・・・
「ナジミなぁ、お前。
捕まえるって、どうやって?」
「さあ!出番よ!トキオ!!」
ナジミがニヤリとする。
「出番って何だよ!?」
「三度笠よ!
ボロ服三度笠の出動よ!!」
ナジミが片手でガッツポーズをする。
「ボ・・・ボロ服三度笠?」
ユイちゃんがキョトンとしてつぶやく。
「そうです!
トキオがボロ服三度笠に変身して悪と戦うのです!!」
ナジミが再び片手でガッツポーズをする。
ちょっと!お前!
こんな所でやめろよ!
ユイちゃんびっくりしてんじゃねぇーか!
「ふ~ん、そう。どうでもいいわ」
ハナちゃん冷めてるぅ!
「もしかして、戦うってトキオくん・・・
あのカフェの時も・・・」
え?なに?
ユイちゃん、メガネの奥の目がウルウルしてない?
そ、それって・・・
「うん、まぁ、えっと、そういう感じ・・・かな?」
うっひょーー!
オレなに言ってんのー?
ユイちゃんにいいとこ見せようとして、
なに言ってんのオレー?
何が「そういう感じ・・・かな?」だ!
それ一体どういう感じだよ!?
パンツ丸出しで三度笠かぶって突っ立ってるだけやん!
戦えるわけねーやん!
うっひょーー!
「ハナ先輩!
とりあえず明日もおとり作戦を仕掛けるって事でいいですよね!?」
「そうね、それであの男をおびき寄せて捕まえる。
それでいいわね」
いやいや!
おびき寄せて捕まえるってあなた。いや、ハナちゃん・・・
言葉と実際の行動は全然違うからね?
そんな簡単に捕まえるって・・・
具体的にどうやるかをオレは知りたいよね?
その理論で言うと、
今から宇宙に行ってくる。という理論と同じなんだよね?
コンビニに行くのとはわけがちがうんだよね?
「みんな、ありがとう・・・」
ユイちゃんがつぶやく。
「でも私、あした学校は・・・
親戚の集まりで午前中に親が迎えに来るの」
そうか明日、ユイちゃん午前中で帰っちゃうのか。
てことは夕方の下校時間には居ないってことか・・・
「そうなのね・・・
じゃ、この計画はあさってにしましょう」
あさって・・・
よし、それまでに何か武器とか用意しなくちゃな!
だって相手は警官だぜ?
到底オレのかなう相手じゃないんだぜ?
「いや、待ってください!」
ナジミがそれを制す。
「アタシがやります!」
は?
「何を?」
オレとハナちゃんとユイちゃんが声を合わせる。
「アタシがユイさんになります!」
ナジミがユイちゃんになる?
は?
「アタシがメガネとマスクをつけて、おさげ髪にして歩きます!」
「ちょっとナジミ!
なに言ってるの!
そ!それだったら・・・わたしがやるわ!!」
「いや、ハナ先輩は、ユイさんとは髪の色も背の高さも違います!
アタシなら髪も背も似ています!」
まぁ、確かに・・・
ナジミが、メガネとマスクをつけて、おさげ髪で歩いたらユイちゃんに見えないこともない。
「もしかしたら今日、アタシとトキオはアイツに見られたかもしれません。
だから仕掛けるなら早い方がいい!
あした、アタシがやります!
ハナ先輩とトキオは後ろから離れてついて来てください!」
こうして明日、
ストーカーポリス捕獲替玉作戦が決行されることが決まった。




