下校中 『トキオの場合』
--- 下校時間 校門の手前 ---
4人のメンバーが集結している。
「よし!それじゃ作戦開始だ!
ユイちゃん準備はいい?」
オレがユイちゃんを見る。
「うん!」
ユイちゃんが小さく、だが力強くうなずく。
ユイちゃんは学校では、メガネにマスク、おさげ髪と決めているらしい。
休日やお出かけの際に、おめかしをしている、という話しを交番で警察官に説明していた。
仮に、ストーカーが美人状態のユイちゃんに目を付け標的にしたとする。
そして下校途中を付け回すのなら、メガネにマスク、おさげ髪のユイちゃんの姿も知っているという事になる。
これは、かなりネチネチと調べ上げている可能性があるということだ。
こいつぁ~手強いぜ・・・
オレはハードボイルドの目を光らせる。
「ユイ!絶対に無理しないでね!
何かあったら、わたし達すぐかけ付けるからね!」
「うん、分かった。
ありがとう!ハナちゃん、トキオくん、ナジミちゃん」
「よし!やろう!」
今ここに、ストーカー・ストーキング作戦が始まる。
--- 下校の最中 ---
「ちょ!トキオ!近い近い!!」
「え!だって、あんまり離れると見失うだろ?」
「バカねあんた達!
ドラマとか見たことないの!
こうやって電柱に隠れるのよ!!」
「え?ハナ先輩ぜんぜん隠れてないし!」
「何よ!ナジミ!わたしが太ってるって言いたいの!?」
「2人共うるさいよ!
これじゃもうバレバレやん!」
などという感じで、しばらくの間、おさげのユイちゃんの後をついて行く。
「そういえばナジミ。お前いつからハナちゃんのこと先輩って呼ぶようになったんだ?」
おさげのユイちゃんと絶妙な距離を保ちながらオレが小声でナジミに聞く。
「え?なんで?
いつからでもいいでしょ?
てか、トキオに関係ねぇし!」
「ねぇ、ちょっと!あんた達!
これ、もう少しでユイの家につくわよ・・・」
ハナちゃんが電柱に隠れてささやく。
「そっか、じゃ今日は大丈夫ってことか・・・」
「ちっ!
今日は無駄足でしたね」
「ちょっとナジミ!何てこと言うのよ!
何もないに越したことなんだから!」
「あ、ごめんなさい先輩・・・」
ん?
あれは・・・
横道からスッと人影が現れた。
帽子にサングラス、マスクの男だ!
「おいおい!アレ!
ちょっとアレ見ろ!」
「あ!」
「あいつ、怪しいですよ先輩!」
男は時折、周囲を気にしたそぶりを見せる。
明らかに怪しい。
だが、偶然ユイちゃんの後ろを歩いているだけかもしれない。
「トキオあんたは動画で撮って!
アタシは写真を撮るから!!」
ナジミが興奮気味で指示を出す。
「オーケー!」
オレは撮影を始める。
ここからオレたち3人は、より慎重に後をつける。
「ユイが曲がるわ!」
ハナちゃんが電柱の陰からささやく。
ここで男も曲がればストーカーの確立は高くなる。
男がユイちゃんの通った方へ曲がる。
ま!曲がった!!
だが、まだ偶然同じ道を歩いているだけかもしれない。
「あそこがユイのマンションよ!」
ハナちゃんがささやく。
おさげのユイちゃんがマンションのエントランスに入っていく。
男はエントランスの手前で足を止め、マンションを見上げる。
決まりだ!
奴だ!!
「撮ってるか?ナジミ!」
「ええ、でも・・・」
「でもって何よ?ナジミ?」
「先輩これ、男の顔が全然わかりませんよ?」
そうだ。
この写真や動画を警察に見せたところで誰だかわからない。
「そうだな、証拠としては、ちょっと弱いかも・・・」
「じゃ、どうするのよ?」
「ハナ先輩!あいつを追いかけましょう!」
「え!?」
確かにこの作戦名は、
ストーカー・ストーキング作戦だ。
しかし!
しかしだ!!
オレは、いざ犯人を目の前にして怖気づいているのも事実だ。
男は見るからにガタイがいい大人だ。
そして女の子をつけ回す完璧な異常者だ。
見つかって襲われるとひとたまりもないだろう・・・
オレだけならまだしも、ハナちゃんとナジミは・・・
「2人とも!
行くわよ!!」
オレはハナちゃんのそのセリフに耳を疑った。
「え!?ハナちゃん!?」
「しょ!証拠よ!
今は証拠が必要なのよ!
証拠が無ければこのストーカー行為はずっと続くわ!
こういうのは次第にエスカレートしていくのよ!
終わらせるには証拠が必要よ!」
確かにそうだ。
だが・・・
「分かりました!ハナ先輩!
やりましょう!!追跡続行です!!」
お前ら・・・
いいだろう・・・
よし!続行だ!
続行しよう!!




