理科室手前の階段 『ハナの場合』
「あ、それともし、その階段を誰かが上がって来たらすぐに知らせて下さいね」
妹のナジミがトキオの腕を取り理科室の方へ駆け出す。
「え、ちょっと!
誰か来たらって!
あ、待って!」
待てって言ってんだろうが!!
このクソ兄妹!!
何がどうなってんだコレ!?
誰か来たら知らせて下さいね♪
じゃねぇだろ!!
それどう考えても理科室無断使用だろうがよ!!
兄妹そろってまともじゃねぇだろコレ!!
警察沙汰の次は学校内で問題起こそうってのかよ!?
冗談じゃねぇ!!!
「ユイ!帰るよ!!
こんなのに付き合ってられないわ!!」
「・・・・・」
無言でうつむくユイ。
「どうしたのユイ!
ほら、帰るよ!!」
「ごめんねハナちゃん・・・」
ユイが顔を上げ、わたしを真っ直ぐな目で見つめる。
「ハナちゃん、私、帰らない」
ユイが両手をグッと握り締める。
え!?
なに!?
どうしたユイ?
こんなユイは初めてだ。
こんなにも真っ直ぐに意思表示をしてくるユイは初めてだ。
「あのね、ハナちゃん。
私、トキオくんが初恋の人なの」
え?何?
「小学校の時の初恋の人なの」
!?
「中学で別々になったけど高校は偶然一緒だったの。
そしたらすごい気になっちゃって・・・
でも、クラスも違うし話しもしたことないし、
ずっと片思いで・・・
だから、きっかけはどうあれ、私、トキオくんとこうして会えて嬉しいの」
何?
ユイ・・・
そんな真剣な目で・・・
えっ、
わたし、何て言えば・・・
「ハナちゃんは先に帰って・・・
私、ここでトキオくんたちを待ってるから」
ユイ・・・
「わかった・・・ユイ。
わたしも、一緒に居る」
あのイカれた兄妹とユイだけにさせるわけにはいかない!
こうなったらユイは、わたしが守る!!
イカれ兄妹にユイは渡さない!絶対に!
何があろうと!!
「でもユイ、ちょっと待ってて!
わたしトイレ行ってくるから!すぐ戻る!!
そこ、動いちゃダメだらかね!」
ごめんユイ!
実はさっきからわたしの尿意がヤバいの!
緊急サインがバンバン来てるの!
わたしはトイレに駆け込む。




