理科室 『ナジミの場合』その2
--- 4階渡り廊下 ---
「あ、トキオくんの妹さんだ」
ハナの横にいるおさげのユイが声を上げる。
トキオが『な、なに!?』という顔でアタシを見る。
口が開いている。
なんてアホ顔だ。
「どうも・・・妹のナジミです。
兄がお世話になってます」
ここはもう妹で行くしかない!
おさげのユイは騙せてもハナは手強い。
恐らくバレる。
そう感じる。
だがもう先に進むしかない!
「これからみなさんで行きませんか?
パーティーへ」
「パーティーって、どこへ?」
「理科室です」
「り、理科室!!?」
「はい、理科室にパーティーの準備をしています。
ユイさんは行きますよね?」
そうだ!強引に行け!
強引に誘い込むのだ!!
「え、ええ・・・行く」
よし!来た!
いいぞ!!おさげ女!
「ちょっと何?
何いってんのユイ!!?
それに理科室って・・・
放課後に勝手に入れるわけないじゃない!」
「それは大丈夫です。
ちゃんと許可は取っています」
ウソだ。
取れるわけない。
許可なんか絶対に取れない。
だがやるのだ!
お化けを退治するのだ!
そしてその流れで今度こそおさげのユイにトキオを盛大に振ってもらうのだ!!
「だったら、行きます。
パーティー・・・」
そうだ!
いいぞ!!
「ちょっとユイ!!何いってんの!!
・・・わかったわ、もう!
わたしも行くわ!!」
ちッ!
一人余計なのが増えたが問題は無い。
アタシの計画は完璧なのだ!
--- 4階渡り廊下から理科室へ4人で移動中 ---
「ぉい、ナジミ。
一体どうなってんだよ」
トキオが正面を向いたまま小声で聞いてくる。
うるせートキオ。
黙ってろ。
「なんでお前が妹になってんだよ?」
トキオが正面を向いたまま小声で聞いてくる。
だから黙ってろトキオ。
後ろの二人が怪しむだろーが!
「理科室でパーティーってどう考えてもおかしいだろ!?」
トキオが正面を向いたまま小声で聞いてくる。
うっせーな!てめぇー!
黙ってろ!!
「・・・・・」
アタシがギロッとにらみつけるとトキオが黙った。
--- 理科室の手前の階段付近 ---
「それじゃ、二人はここで待ってて下さい。
アタシと兄は理科室で準備してきます。
準備ができたらお呼びしますね。
あ、それともし、その階段を誰かが上がって来たらすぐに知らせて下さいね」
アタシはトキオの腕を取り理科室へ駆け出す。
「え、ちょっと!
誰か来たらって!
あ、待って!」
ハナが動揺している。
ケッ!ハナ!おめーはそこで動揺してろッ!!
ウハハハハ!!
--- 理科室の前 ---
ガタガタガタ・・・
「ほら、やっぱカギかかってんじゃねぇか。
どうすんだよ!ナジミ!!
てか、パーティーって何だよ!
お化け退治じゃねぇのかよ!!」
「あんたねぇ!
どこの誰がお化け退治って言ってホイホイ付いてくる奴がいるのよ!
そこはパーティーでしょ!
それに今日はほんとにトキオの誕生日なんだから」
「そりゃまあそうだけど、
なんであの二人も一緒なんだよ!!
オレとお前の二人でいいだろ!!
てか、こんなのいいわけないけどよッ!!」
「見張りが必要なのよ!!
ま、そんな事はいいからあの上の窓から理科室に入るわよ!」
「誰が?」
「あんたに決まってるでしょトキオ!!」
「なんであんな上なんだよ!!」
「あそこのカギが開いているからよ!!」
「なんで開いてんだよ?」
「アタシが開けたのよ!」
「お前・・・」
「下の窓だと戸締りされるでしょ!
上の窓なんか誰も見ないからあそこのカギを開けたのよ!!
もう!早くあそこ開けて中に入りなさい!
それで中からこのドア開けてよ!!」
トキオはアタシを睨むと窓にしがみついた。




