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第一章 0話

連載します

俺の名は佐藤勇人。

どうやら俺は、死んだらしい。



 改めて紹介しよう!俺の名は佐藤勇人、ただの一般人だ。可愛い子供として生まれ、すくすくと育ち、逞しく生き…ていたのに気付けばここにいた。この世界と今までいた世界で決定的に違う点が一つある。この世界は地面が雲でできているのだ。

 

「ここは果たしてどこなのか…俺は薄々気付いている。いや、確実にこれでしかない!そう、ここは天国だ!!」


 そう、きっと俺の善行が認められて天国に来たのだ。神様あざっす!しかし生前の行いを神が見ているってのはやっぱり本当なのか。今までは神とか信じていなかったけど今日から全力で神様のことを崇拝させていただきます。

 しかし周りに誰もいない。流石に人一人すら見えないから寂しいな。こういうのは天使とかがすぐにお迎えに来てくれると思っていた。今日から天国でお世話になる可愛い後輩のことを放っておいて何をしているんだ。


 3時間くらい経った、多分。俺の体内時計がそう言っている。客人に対しての扱いがあまりにも酷すぎる!

 ただ不思議なことにお腹は空かないし喉も渇かない。寒くも暑くもない。多分天国にいる効果的なものだろう。だからと言って客人を待たせるものではないと思うが。


 1日は経った、多分。天国効果で眠くはならない。が、相変わらず誰も来ない。俺は神様が少し嫌いになった。そして俺は思った。


「そうか、何か起こるまで待っているのが悪いのか!俺の方から行動しないといけないってことか。」


 多分新しく来た人を受け入れる施設とかがどこかにあるのかもしれない。もしかしたらこのまま特に手続きとかはなく、ここで暮らせということかもしれない。とはいえ、それでも不親切だと思うが。


 そう思っていたその時、視界の端に人影が!

 

 その人影は空を飛んでいたので視界の端の端が正しいかもしれない。ただどちらにしろここに来て初めての人が見えたことは勇人の気分を大いに昂らせた。


「おーい!こっち来い!」


 すると、飛んでいた人影がこちらに来てくれた。


「女の人…かな?羽も生えているし天使ってやつか!」


 お腹は空かないし喉も渇かない、眠くもならないという普通ではあり得ないことが起こっていたので羽の生えた人物と出会っても大して驚かなかった。その天使?は勇人を見て驚いたような顔をして飛び去ろうとした。

 勇人はせっかく見つけた人物が飛び去ってしまおうとしているので慌てた。


「すみません、すみません!天使様ともあろう人物に無礼な口調で話しかけてしまい!どうか私のことを助けてください!突然気付けばここにいてどうすればいいのか分からないんです!」


 そんな懇願も虚しく天使?は飛び去ってしまった。


「せっかく誰かと会えたと思ったのになんですぐどっか行くんだよ!」


 しかしこのまま待っていても何も起こらないと勇人は考え、再び歩き出そうとする。その時、勇人の視界がまばゆい光に覆われる!


「前が見えないっ、これは俺史上最大のピンチってやつでは!?」


 今の勇人は動揺よりも何かが起こることの嬉しさが優っていた。しかし、そんな勇人も目の前に現れた光景に息をのんだ。目の前に見たこともないような大きさの城(そもそも勇人は実物の城を見たことがないが)が現れたのだ!そして勇人は導かれるように宮殿の中へと足を踏み入れた…


 宮殿の中もは豪華な造りで、とてつもなく広かった。しかし、人影は一つもなかった。ここに来てから今まで、人を一人しか見ることがなかったので勇人は疑問に感じなかったのだが、とても奇妙なことだ。

 宮殿の中をしばらく歩いていると他の扉に比べて大きく、豪華な扉の前に辿り着いた。そして勇人は何かを感じるより先にその扉の向こうへ足を踏み入れた。


「ようやく辿り着いたのじゃな。」


 部屋に踏み入れてすぐ、声をかけられた。 

目の前にいたのは小柄なお爺さんだった。何の覇気もなければ、羽が生えているわけでもないただのお爺さんだった。 


「爺さん、あなたは何者だ?」


 お爺さんは笑いながら言った。

「初対面なのに名前も名乗らないとは失礼なやつじゃの、ほっほっほっ」


「確かにそれはそうだな、これは失礼。俺の名は佐藤勇人、気付いたらここに迷い込んでいた一般人だ!… それで爺さんは何者だ?この城に堂々と佇んでいるし、『ようやく辿り着いたのじゃな。』とかかっこいいセリフ言ってるあたり只者ではないってのは分かるんだけど…」


「佐藤勇人か、いい名じゃな。ほっほっほっ それはそうと、儂は神じゃよ。」


「ほうほう神か…って神!?確かに神が住んでいそうな場所だなぁとは思ってたが…」


「それは具体的すぎる感想じゃの、だが嫌いじゃないのう。」


「それでここはどこなんだ?何の説明も無く気付いたらここにいたんだが…」


 お爺さん改め神は表情を変えず、

「そうじゃの…簡単に言えば死んでから次の世界に行くまでの中継地点みたいなものじゃ。」


「やっぱ俺、死んでたのか…てか天国じゃないのかよ…!それで俺は別の世界に転生するってことか?」


「ふむ…転生の意味が分からんが…別の世界に儂が送り出すことになるのう。」


「じゃあどちらかというと召喚みたいなものか… それで俺はここからどうすればいいんだ?」


 神は待っていましたと言わんばかりの笑みを浮かべ、

「お主には素晴らしい素質があるのう。そこで、お主にぴったりの世界がある。」


「と、いうと…?」


「魔法があり、そして魔王が君臨している世界じゃ。お前さんのいた世界だと『ふぁんたじー』みたいなやつじゃ。」


「魔法が使えるのか、それは楽しみだ!それで俺としてはすでに1日以上いたであろうこの場所から早めに抜け出したいんだが…」


「ほっほっほっ お主がそういうのであればすぐにでも送り出してやろう。流石に無一文で送り出すのは酷だからの、これを持っていけ。」


 そう言われ、神から大量の金貨が入った袋を渡された。価値は分からないが多分相当な価値があるだろう。


「爺さんあざっす!異世界でも頑張ってきます!」


「応援してるぞ、ほっほっほっ 準備は整ったのう。では今から異世界にお主を送り出す。達者でな。」


 神がそう言ったのと同時に勇人の周りを囲うように魔法陣が展開された。

 そして、勇人の視界は光で覆われた――


次回勇人、異世界に行く

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