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Ⅱ部 第一章 3

           3

 三日目、[私]の本能とも言えるべきものが危険を察知した。

[私]は、自分が誕生した近くの草地を眺める地面の上にいたのだが、掃除の用具を持ったおじさんが入って来るのを見たのだった。


 掃除のおじさんは、芝生の小山の斜め方向にあった白っぽい物を長い柄を持ったチリトリの中にホウキで掃いて入れた。


 おじさんは、幾つかのゴミをチリトリに入れていく。距離は二十メートル程。[私]は、公園から出る行動を起こしていた。


 道路とは逆の出入り口に向かって転がっていた。その姿を掃除のおじさんが見ていたかどうかは分からない。[私]は、余り広くはない舗装された道を渡った場所の柵の隙間から民家の庭の中に入っていた。

 

 木も草花も雑然と植わっている庭の真ん中あたりで転がるのをやめた。

 [私]は、写真の中にいるようにしばらく住宅の庭や二階建ての家を眺めていた。


 庭の樹木の影の長さが随分と変わってから公園に戻った。

ほどなく、公園の入り口からひとりのおじいさんが入って来るのを[私]の広い視界がとらえた。[私]がいた所は、前日ベンチにしばらく焦点を合わせていた所から横に数十センチずれた位置、入り口近辺がしっかり見渡せる所だった。


 どんどん近づいて来るのに[私]は見えづらい場所に移動した。これも、本能に従っての動きと言ってよかった。

 おじいさんは、入り口から三つ目のベンチに腰を下ろした。

 一日目も二日目も一度は、その姿に焦点は合わさったが、それは、公園を横切る人や乳母車の母親に対してと同様長く見続けることはしなかった。

 

 この日は違った。[私]は、公園に入って来る時から、ベンチに座り、立ちあがり、公園を出て行くまでを焦点を他に移動させることなくおじいさんの姿を見続けたのである。

 

 ベンチに腰を下ろしている間、おじいさんは背中を背もたれにつけることなく、手を膝の上に置き、公園のアチコチを眺め渡していた。

 翌日、[私]は、おじいさんの前に自分の姿をさらすことになったのである。

 


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