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第三章 8

           8

「ええ。もちろん、私は、全て偶然がもたらせた出来事だと思っていますけどね。だけど、この濃いピンク色の長い毛並みが毒々しく見えるとさえ友達の旦那さんが言い出して、それで、困って私に連絡してきたんです。事情が事情なんで、彼女の方も最初から引き取って、とは言いませんでしたよ。家には、ゴンジロウという飼いネコがいるの知ってますしね」


「それでも、引き取ることに決めた。ご主人も賛成したわけですね」

「ええ、ピンク色の毛並みにも不吉を呼ぶにも興味あるからもらってあげろって」

 平田さんは、言った。


 ご主人が、好奇心旺盛な人だと聞いたことがあったが、本領発揮というわけである。


「だけど、ゴンジロウとの兼ね合いは心配なさらなかったんですか、ご主人?」

「全然。あいつは賢いからうまくやっていけるって確信していました」 

「そうあってくれること、切に願っております。ゴンジロウ、このネコちゃんと仲良くするんだぞ」

 塚本は、不気味な鳴き声に窓の近くまで行ったが、先刻とほぼ同じ場所に戻ってたたずむゴンジロウに語り掛けた。

 

 ゴンジロウは、丸めた背中を持ち上げ伸びをするようにした。


 そろそろおいとましよう。

「おいしい羊羹とお茶ごちそうさまでした。珍しい猫ちゃんも。名前は、お友達の家の名前を引き継ぐんですか」

「新しい名前にします。レンというのにしようかと」

「レンですか。レン、私とカミクズをよろしくな」

 平田さんの膝の上のレンがミャッとか細い声で鳴いた。

 

 塚本が手作りリモコンを押すと同時にカミクズがペット用ケースに入った。

「ジャンプは、本当にびっくりさせてくれる」

 平田さんは、楽しそうな笑顔で言った。

 

 ゴンジロウも、玄関の近くまで見送りに来てくれたのは、嬉しかった。


 一〇三号室の自分の部屋に落ち着いた塚本が、ペット用ケースを開けると、カミクズは、指定席に向かって転がって行った。


 クエエッ、クエエッ、食事中も入浴中も数時間前の不気味な鳴き声が塚本の頭の中で繰り返された。

 

 痩せたカラスか。

 ソファに座った塚本は、ひとり呟いた。

 その痩せたカラスとカミクズとピンクの毛並みのネコのレンが関係し合うのか。それぞれが、科学では割り切れない超常現象の産物だったら。塚本は首を振る。ありえない、と自らに言い聞かせたのだった。


 深夜、ベッドに入った塚本は、リビングから、ガサッ、ガサッっという音を聞いた。ガサッは、連続して八回位だったか。それきり、塚本は、眠りについてしまったので、朝までにどの位の数のガサッが鳴ったのか塚本には分からなかった。


        


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