Ⅱ部 第四章 11
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痩せたカラスは、高度を落とし、空き地の上を旋回する。
クエエッっと鳴くが、決闘を何者にも邪魔されたくないかの小さな鳴き声だった。
[私]は、上から襲いかかって来るのにジャンプするイメージを自らの内部に描き出す。けれど、大丈夫だろうか。アトランダムな突起を作ってから十分な訓練をしていない。転がって行きながら、高く横方向にジャンプして鋭く尖った突起で痩せたカラスを攻撃したいが、それが、出来るだろうか。
痩せたカラスは、どこかに止まり羽を休めることなく今にも急降下して攻撃出来る高さまで舞い降りて来た。
真後ろからの攻撃に気を付けなければいけない。[私]の視野は、そこまで広くない。前から後ろに視野を移動させることは出来ても
どんなに見る焦点を速く移動させても数秒かかる。その間に痩せたカラスの鋭い嘴の攻撃を受けたらどうなるのか。
痩せたカラスは、数メートルの高さになった時、ホバリングを始めた。クエエッと鳴きながら、その恐ろしさを披歴させるかに羽音を立てた。空気の震えが、微かだが、確実に伝わって来る。
ホバリングしていた痩せたカラスが地面に降りた。
羽を大きく広げ、[私]を威嚇した。
怒りの目が、赤い光を放って[私]を見据えた。
一メートルに満たないホバリングからすさまじい速さで痩せたカラスは、[私]に襲いかかって来た。
[私]は、反射的に前方に回転しながら、ジャンプして痩せたカラスの体にぶつかって行った。
アトランダムに伸びた九本の突起の何本かが連続して痩せたカラスの体に打ち付けたのを感じた。
痩せたカラスが消えるのに[私]は、前に転がり、Uターンした。
いつしか決闘の場は、空き地のほぼ中央になっていた。




