第1話 魔術が混在する世界
「『魔力。それは己の体の中に秘められている、謂わばエネルギーのような者である。この力を活用して人類は信じられないくらいのペースで成長し、発展していった。その結果、空想上であった近未来世界を実現したのである。』……」
その一文を読み終えた僕はその本を閉じる。この年季の入っていそうな本の表紙には「魔力基礎」と書かれてある。
僕の名は二宮直樹、高校生である。もうすぐ期末テストということで、僕はカフェで勉強している。所謂、勉強に追われている状況である。
時刻はもうすぐ8時、窓の外を見るとあたりは暗くなっていた。そろそろ帰りどきか、そう思った僕は帰る支度を始めるのだった。
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「寒っ」
会計を済ませて外に出てみたら、あまりの寒さに思わず驚いてしまった。まだ12月の初旬である。きっともっと寒くなるのだろう、この先思いやられるな。
人には自分の中にルーティーン的なものを持っているのではないだろうか。僕にはある。例えば今日のような寒い日、決まってココアを飲むのである。
そういうことで、帰りに買いに行こう。そう思って近場の自販機がある公園に向かって歩きだす。
しかし、先ほどから異様に視線が集まっているように感じる。側から見たら自意識過剰なだけのように思えるかもしれない。だが、感じるのだ。僕の直感がそう訴えかけてくる。
しかし、振り返って辺りを見渡してみるがは誰もいない。今は賑わっている場所にいたため、気のせいだろうとそう結論づけた。
だが、その嫌な視線のようなものは、公園に近づくにつれ強くなっているように感じる。もう、今日は帰った方が良いのかもしれない。ただ、ここまできて引き返すのは勿体無い。
そんな思案を繰り返すうちに目的地である、公園に到着した。
その瞬間、何もないところから4人くらいの男が出現した。あまりの超常現象に、僕は腰を抜かす。目の前の男は、黒の服でフードを被って顔を見えにくくしていた。他の男も同様である。
そんなことより、今大事なのは、こいつらは“何もないところからの急に出現“したということである。
こんな非現実的なこと、普通の人間ができるわけがない。
「な、なんで魔術師がこんなところに……」
こう結論づけるしかなかった。その僕の呟きに男の中の一人が反応する。
「そうさ、俺たちはCランク魔術師といったところかな、今日は君に用事があってここに来たんだ、二宮直樹くん?」
その言葉を聞いて僕は沈黙する。なぜこいつらは僕の名前を…。危険だ、そう感じた僕は警戒態勢をとる。
「無駄な抵抗はしないほうが得策だぜ?君では俺らには勝てない」
そう、僕もこいつらに勝てるなんて到底思えない。なんせ僕は落ちこぼれ、勝てる道理がないのだ。
せめてもの抵抗として、逃げるという選択肢があるのだが……、僕の足はすくんでしまっている。
前を向けば、男たちは弾幕を展開している。これを放たれて僕の人生は終わってしまうのだろうか、そんなの嫌だ。まだしたいことはたくさんある、終われない。
ただ、体を思うように動かせない。
びびって何もできない僕を男たちが待つはずもなく、一斉に僕へ向かってその光のようなもの放ってくるのだった。
----男side----
確実に仕留めた。ボスの情報だとこいつは危険人物らしいが、決してそんなことはなかった。何かの間違いだったのだろう。
しかし、声が聞こえた。聞こえるはずのないその声が。
「危ねえ、死ぬところだったじゃあねえか」
理解ができなかった。なぜこいつは死んでいない?さっきまでびびって絶望していたのに、なぜ……。
まあ、そんなことはどうでもいい、再び殺すしかない。そう思って弾幕を展開する。しかし、その展開した弾幕はすぐに消滅した。
「は?」
さっきから理解ができないことの連続で、その起こっている事象に納得もできなかった。
ただ、目の前には二宮直樹という男が、呆然と立っている。
「…………10秒で終わらせる」
その呟きを聞いたのを最後に俺の意識は途絶えるのだった。
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