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14.蜜月_04

 やっと安心出来ると思った、彼の腕に抱かれて幸せになれると思っていた。昨日の昼も夜も、今朝の一件も、昼のプレクト達の事も、全部飲み込んで倒れそうになりつつもそれでもなんとかやってきた。マースやキートリー達に支えられてアタシはなんとかやれてきた。でもアタシはマースに、マース達に近付いてはならない。彼を大切に思うなら、彼らの命を奪いたくないのなら、アタシは彼らから離れなければならない。その事情に、アタシの心は耐えきれなかった。


「マースっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」


 アタシはテントの隅っこで膝を抱えてマースにただひたすら謝る。今朝の騒動でマースの命令に逆らい、彼を傷付けたくないなどと泣き叫んでおきながら、今このザマだ。ジェームズさんが偶然テントの傍に来てくれなかったら、マースはアタシの吸精で死んでいた。アタシはやはり人間では無くて、悪魔になってしまっている、そのことを再認識する。昨日のように身体を乗っ取られていなくても、アタシのこの無駄に強い悪魔の力は人を傷つける。既にアタシは猛獣なのだ、虎や羆と同じ、ちょっとじゃれ付いただけで人を殺してしまう。好きなのに触れられない、触れたら彼を失ってしまう。アタシは彼を失う恐怖に身体がガタガタと震えて来た。彼に触れられない悲しみに涙がボロボロとあふれ出てきた。


「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」

「千歳姉様、僕はもう大丈夫です、だから……」

「いやあっ!アタシに触っちゃダメっ!!」


 -パシッ-


 またマースを吸精で殺しかけてしまうかもしれない。そんな恐怖でアタシはマースから差し出された手を拒否する。近くにあった枕を掴み、それでマースの手を払ってしまう。


(悪魔のアタシが、グレッグさんの想いを踏みにじって自分の欲望に忠実になったから、罰が当たったんだ。アタシが調子に乗ったから、マースが死にかけたんだ。アタシはマースの側に居ちゃいけないんだ。離れなきゃ、アタシはここから居なくならなくちゃ)


 一度ネガティブに振れたアタシの思考は際限なく悪い方向へ落ちていく。アタシは座ったままマースから後ずさりする。と言ってももう後ろはテントの膜材しかない。これ以上後ずさりは出来ない。

 そんなアタシにマースはゆっくりと寄ってくる。マースには触れられない、またアタシはマースを殺しかけてしまう、いや、今度こそ殺してしまうかもしれない。それでも寄ってくるマースに、アタシは拒絶の言葉を伝える。


「マースは、アタシに触っちゃ、ダメ……今度こそ貴方を、殺し……あむっ?」


 本当はマースに触りたくて触ってほしくて堪らない、だけどそれは怖くて逆の事を言っていた。そんな嘘つきなアタシの唇は、突然マースの唇に塞がれた。


「おやおやおや?マース様も隅にはおけませんね。邪魔者は退散するとしましょう」


 ジェームズさんがそんなことを言いつつテントの外に出て行った。今このテントの中には、アタシとアタシの唇を唇で塞いでいるマースだけだ。


「んっ……んっ……んぅ……❤」


 アタシは自分の唇を塞いでいるマースを払いのけられない。だって本当は触れてほしかったから。怖くて自分からは触れられなかっただけだから。涙が止まらない、嬉しくて、でも怖くて。


(そうだ、怖い、マースを失うのが怖い)


 アタシは嬉しさを押し殺し、両手で彼の身体を押し返す。アタシの唇から、彼の唇が離れた。


「ダメっ……どうして?どうしてマースは……」


(どうしてマースはアタシにここまでしてくれる?どうしてアタシを怖がらない?)


 マースは押し返すアタシの両手に自分の指を絡ませ、アタシの逃げ道を塞いだまま、両腕を広げてアタシの眼前に迫る。アタシを見降ろす彼の目、真剣な表情の彼の朱色の瞳が、アタシの心を覗き込んでくる。


「僕を殺してしまうから、僕を避けるのですか?」

「そう、そうだよ、マースを殺したくない、だから手を離して」


 本当に離してほしいのなら、アタシは彼の手を払えばいい。だけどアタシはそれをしない。


「僕の事が嫌いですか?」

「違うっ違うっ!貴方の事は大好きだよっ!大好きだけど、貴方の命を奪ってしまうからっ!アタシは貴方には触れられないっ!」


 本当に触れられないのなら、今すぐにでもこのテントを抜け出すべきだ。でもアタシはそれをしない。


「サティの命はよく吸っていますよね?サティの事は嫌いなのですか?」

「違うのっ!サティさんの事だって大好きだよっ!だけどサティさんは、サティさんは私が本気で吸っても大丈夫な人だからっ」

「吸精の耐性、ですか」

「うん、だから……」


 サティさんは素敵な人だ。美人で大人で礼儀正しく、気が利いて、威厳だってある。ちょっとお茶目なところもあるけれど、アタシとは大違いの、アタシなんかには勿体ないほどの人だ。


「今朝、キートリー姉様の事も吸っていましたよね?」

「あっ!?マースは寝てたんじゃ?」

「やはりそうなのですね」

「ううっ」

「僕が起きた時、寝ているキートリー姉様が吸精で気絶したサティと同じ表情をしていました。アレを見れば僕だって察します。千歳姉様は……」

「キートリーの事だって大好きだよっ!だけどこんな事になるって知ってたら吸ってないっ!」


 キートリーはとても可愛らしいお嬢さんだ。可愛くて強くて、優しくて照れ屋で、つい構って上げたくなる。ちょっと照れ隠しで暴れちゃうこともあるけれど、アタシなんかじゃ敵わない芯の強さをもつ人だ。


「何故昨日、僕の命を吸ってくれなかったのですか?」

「マ、マースはまだ……」

「僕はまだ子ども、ですか?千歳姉様はさっき僕を受け入れて、僕を大人と認めてくれたのではないのですか?」

「うううう……」


 マースは、アタシのピンチには必ず駆けつけてくれて、すぐに泣くアタシの事を抱きしめて安心させてくれて、こんなアタシの事を好きでいてくれる。格好良くて、強くて、頭も良くて、それでいて可愛くて。マースはアタシのヒーロー、アタシの白馬の王子様。だからこそ、アタシなんか好きになっちゃいけない、グレッグさんの言うとおり、アタシなんかに惑わされちゃいけない。アタシなんかが、彼の輝かしい未来を奪っちゃいけない。

 本当にそう思っているのなら、アタシは今すぐにでも彼を突き放しアタシに構うなと言うべきだ。だけどアタシはそれをしない。


「さっきの吸精は正直吃驚しました。心も体も全部ドロドロに溶けて魂ごと口から出ていくような、あんな感触初めてで、でもとても心地良いモノでした。今ならキートリー姉様やサティが蕩けた顔をしていたのも理解出来ますし、もう一度味わってみたいとすら思っています」

「ダメ、ダメなの、貴方を殺したくないの、分かって、マース……」


 殺したくない、そう言いながら、アタシは彼の手を離さない。

 そのまま彼の手を握ったまま固まっていたアタシ。するとマースがアタシの手を握ったまま、またアタシの唇を唇で塞ぎに来た。


「だ、だめっ……」


 アタシは片手の手の甲で自分の口を塞ぐ。力の入っていない、形だけの抵抗。アタシの手はマースの手に押され、ずるりとアタシの首筋にずれた。アタシの手の甲が、首筋のサーヴァントチョーカーに触れる。するとマースの指輪、マスターリングが赤く光った。


「えっ?」

「あっ」


 アタシの思考が、感情が、チョーカーを通じて全てマースに流れ込んでいく。と同時に、


(しまった、チョーカーの力は使わないって決めたのに)


 何故だかわからないが、彼の声がアタシの頭の中に響いた。と同時に彼の思考が、感情が全てアタシの中に流れ込んで来る。

 マースはすぐさまアタシの首筋からアタシの手ごと自分の手を離した。だが、互いに互いの想いが今の一瞬で通じてしまった。アタシの形だけの抵抗も、彼がアタシに執着する理由も、全て分かってしまった。

 マースはアタシの笑顔も泣き顔も、声も身体も匂いも、弱いアタシも、悪魔のアタシすら好きでいてくれる。アタシに嫌われるのが死ぬほど嫌で、アタシに心から好きでいて欲しい。アタシの声に懐かしさを覚えつつ、アタシに抱きしめられて安堵して、アタシの弱った顔に堪らなく心をくすぐられて、アタシを守って、アタシを独り占めしてしまいたいと。今朝アタシにサーヴァントチョーカーを付けたのも、アタシを独占したいからだと。だけどアタシが泣き叫んだのを見て反省し、チョーカーの力に頼らず、自分の力でアタシになんとか振り向いてもらおうと。アタシの軽い気持ちの興味本位の質問に、勇気を振り絞って、アタシの身体に興味があると言ったのだ。マースはアタシに何一つ嘘を言っていなかった、全部本気で言ってたのだ。アタシの吸精で命の危機に陥った後の今この瞬間でも、彼の気持ちは変わっていない。アタシを全部受け入れる、側に居てほしい、ただそれだけ。この少年は、本気でアタシを愛してくれている。

 逆にアタシの想いを感じ取ったマースは、すっと上体を起こし、感慨深げに目を瞑って言う。


「千歳姉様の心、感じました。僕の事を好きでいてくれる、とても嬉しいです。本当に嬉しい……」

「マース、アタシじゃ貴方の期待に応えられそうにないよ……」


 だけど、アタシにとって彼は尊すぎた。彼はその纏う白いローブのように、純白で純潔、アタシには眩しすぎる。アタシなんかが彼の隣に居て良いハズがない。アタシなんかがマースと釣り合いが取れる訳ない。自信が持てない、彼から離れたくないけれど、彼に抱いてほしいけれど、彼の隣りに立つ自信が無い。

 アタシの言葉を聞いたマースは、目をカッと見開き、またアタシの眼前に顔を寄せる。


「いいえダメです!僕はもう決めました!千歳姉様、僕は千歳姉様が良いんです、僕は貴女が良い。他の誰でもない、貴女が良いんです。貴女以外じゃダメなんです。それに千歳姉様、貴女は素敵な人です、僕が貴女の虜になるくらい、とても素敵な人です。笑ってる貴女が好きです。泣いてる貴女も好きです。僕を抱きしめてくれる貴女が大好きです。無理に取り繕う必要はありません。自分を卑下する必要もありません。もっと自信を持って良いのです。貴女の素晴らしさは僕が保証します。ボーフォート家次男、マース・ボーフォス・ボーフォートが貴女の素晴らしさを保証します。それでもまだ自信を持てないのなら、僕が貴女を抱きしめて連れて行きます。誰にも文句は言わせません。貴女と僕を邪魔するモノは、僕が全て退けます」


 彼はアタシを選んでくれる。アタシの全てを受け入れて、アタシを自分の隣りまで引っ張り上げて、アタシの隣に並んでくれる。アタシの全てを肯定してくれる彼から、アタシは目を離せなくなっていく。


「とは言え、千歳姉様が僕との接触を怖がる理由もわかりました。それで今対策を考えたのですが、えーと、千歳姉様は僕もキートリー姉様もサティも大好きで、でも吸っていいのはサティだけ、そうですね?」

「うう?う、うん、そうだけど」


 マースはアタシの手を握ったまま、またすっと上体を起こし顔を離した。アタシはマースが何故いきなりそんな質問をするのか理解出来ず疑問混じりの返答をする。


「じゃあ、僕がサティ並みの吸精耐性を手に入れたら、もう怖がる必要も無くなりますね?」

「えっ?」


 マースはまたずいっと顔を近付けてくる。アタシはマースの言っていることがイマイチ飲み込めていない。


「千歳姉様に吸われても、僕が死ななければ良いのでしょう?」

「そう、なのかな?」


 優しく微笑みかけてくるマース。確かにマースの言うとおり、サティさんのようにアタシが全力で吸精しても平気な顔で立ち上がってくるのであれば、アタシが怖がる必要も無くなる。だがどうするのか?


「そうなのです。つまり解決法はこうです。母上がサティにやったように、毎日!ちょっとづつ!死なない程度に!僕を吸精をして!僕の吸精耐性を鍛えればいいのです!」

「えええーーっ!?」


 マースはアタシの両手を掴んだまま頭上に掲げ、少し興奮気味に高らかに叫んだ。マースはつまり、アタシにヌールエルさんと同じ事をさせるつもりらしい。サティさんという前例があるにしろ、どこまで本気なのか。何年、いや何十年掛けるつもりなのか。


「僕は名案だと思ったのですが、何か問題があるでしょうか?」

「……いいの?アタシに吸われたら疲れて倒れちゃうんだよ?それが毎日続くんだよ?」


 スッと冷静な表情に戻り、またアタシを見降ろしてくるマース。アタシはマースの迷案を否定せず、彼にその覚悟を問う。


「覚悟の上です。それにアレはとても気持ちよかった。毎日吸っていただけるのなら喜んでこの命、差し出しましょう」


 マースは真剣な顔つきでアタシの問いに返答する。


「また間違って、死ぬ……寸前まで吸っちゃうかもなんだよ?」


 自分で聞いておきながら、マースがまた死に追いやられる想像をして震えてしまう。


「それは困りますね、千歳姉様がまた怖がってしまいます」

「だから……」


 マースはアタシを見つめたまま、震えるアタシの両手を握ったまま、


「ですので、万が一の為にジェームズやサティに立ち会って貰うことにしましょう。これなら安心です」


 ニコッっと笑いさらりと言ってのけた。


「えっ?……いいの?いいのかな?」


 確かに治癒魔術が掛けられるその二人に立ち会って貰うならアタシも安心できる。さっきみたいに吸精が暴発してマースの呼吸が止まってしまっても、治癒魔術があればマースの命は守られる。だがその二人に立ち会って貰うという事は、その二人の前でマースが恥ずかしい声を上げる事になるのだがその辺は理解しているのだろうか?


「アタシに吸われたら、その、変な声出ちゃうんだよ?サティさんみたいに……」

「いいのです。ちょっと恥ずかしいですけど、千歳姉様の為なら悲鳴でも艶声でもなんでもあげてみせましょう。ジェームズとサティの事なら心配ありません。ジェームスは僕の部下ですし、サティはあの通り吸精耐性の先駆者ですのでいろいろ喜んで協力してくれます」


 自信ありげに答えるマース。サティさんはもとより、ジェームスさんも朝の一件やさっきマースを助けてくれたようにとても良い人だ。マースが良いと言うのならそれで良いのかもしれない。


「ほーら、これで解決できます。時間は掛かりますけど、解決可能なのです。ねっ?千歳姉様?」


 彼はアタシの両手を掴んだまま、アタシの目の前で、朱色の瞳を煌かせて微笑む。

 彼の笑顔を見て安心してしまうアタシ。緊張の糸が切れて、目元が熱くなる。


「うぅぅ……うぅぅぅ~~っ……」

「千歳姉様?」

「ううううぅぅぅああああぁぁ~~~っ、マースぅぅ~~っ!」


 涙が止まらない、嬉しくて、嬉しくて、止まらない。マースがまた泣き出したアタシを優しく抱きしめる。アタシもマースを抱きしめ返そうとして一旦躊躇したが、


「大丈夫です、千歳さん、僕は大丈夫」


 マースの言葉を聞いて、素直に彼の背中に両腕を回し、抱きしめた。

 そうしてまた彼の唇がアタシの唇を塞ぎに来る。今は近くにジェームズさんもサティさんも居ない、またアタシの吸精が暴走してしまったら困る。アタシは手で彼の唇を遮る。


「待ってっ、今は」

「うぎゅっ?……千歳姉様、思ったのですけれど今の身体と青肌の時で吸精の威力に違いがありますよね?」

「え?う、うん」


 アタシの手に唇を遮られそのまま手のひらに口付けする形となったマース。だがマースがまた何か思い付いたらしい。アタシはマースの唇を手で遮ったまま彼の提案を聞く。


「危険なのは千歳姉様が青肌のとき。で、千歳姉様が何かの拍子に青肌になっても、僕が即座に解除してしまえば、触れ合っていても大丈夫なのではないでしょうか?」


 マースはそう言ってアタシの唇の前で人差し指をくるりと回して見せた。マースお得意の魔力解きだ。アタシの悪魔化を指先一つで解除する彼の魔法の人差し指。

 呆然とした顔のままマースを見つめるアタシの前で、彼は笑顔で人差し指をくるくる回し続けた。アタシの口から胸間、お腹と、そしてまた胸間を通過して口へと指した指をくるくると回す。


「ね?」


 そしてマースの人差し指がアタシの唇に触れる。アタシはそんな彼の人差し指を見た後、彼を見つめながら彼の唇を遮っている自分の手を下ろした。マースの言う通り、アタシの吸精は人間体と悪魔化している時ではその威力に大きな差がある。アタシの身体がまた勝手に悪魔化してしまっても、マースがこの人差し指ですぐに悪魔化を解除してしまうなら先ほどのような事にはならないだろう。さっきの事故は初見殺しだっただけで、一度体験したマースからすれば対処しようとすればいくらでも対処可能。アタシは結局、この少年の手の上で踊っているだけらしい。ただ、マースの手の上と言う舞台で踊らせて貰えるならアタシは喜んで踊る。アタシとってはこれ以上無いくらい良い舞台だ。


「そ、んぅ❤んーっ❤」


 同意の言葉を発する暇もなく、彼に唇を塞がれた。今暴走してもマースがすぐに止めてくれる、もう心配する必要も遠慮する必要もない、アタシは彼に身体を任せる。ただただ嬉しい。アタシに覆いかぶさる彼と彼の白いローブ。間違いない、彼は、


(やっぱり、マースはアタシの白馬の王子様だ❤)


 -バサァッ-

 -とんっ-


 そんなときテントの外で誰かが降り立った音がした。だけど知らない、今はこのままマースに愛されていたい。マースもアタシを離す気はないらしく、アタシの両手に指を絡ませ、外の人達に構わず積極的にアタシの口を貪ってくる。外の人達は何かこちらに呼びかけていたが、マースによってトロットロに溶けているアタシの思考は、外の音を聞き取れていない。

 そんな外で降り立った人物達は、すぐさまこのテントに入り込んで来た。


「千歳様!?マース様!?御無事で……あっ❤これはこれは❤」

「お姉様!?マースの容態は……ア゛ーーーーッ!?狼ィィィィーーーーーッ!!??」


 サティさんとキートリーだった。助けを呼んでほしいとヒルド達に頼んだ二人が今到着したらしい。口付けし合うアタシ達を見て、サティさんは自分の口に手を当てニマニマと笑顔を見せ、アタシに覆いかぶさるマースを見て、キートリーは頭を抱えて絶叫した。ただ防音魔術のおかげでキートリーの絶叫が響いたのはテント内だけだ。前線キャンプの夜の静寂は守られたのだ。

お読みいただきありがとうございます。

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