あ
大惨事が起きてしまった。
日差しが強く照らし突けている今、大惨事とも呼べる一大イベントが発生してしまったのだ。
それは…
「え…っと」
「付き合って下さい」
早朝。
そんな会話が聞こえてきた。
そこにいるのは一人の男子と一人の女子のみである。
自分を除けばだが。
これは世間でいう所の「告白」というやつだ。
何やらここのところそう言う話題が多い。
しかもこの学園でのカップル誕生割合は99%ーーーーー
「ごめんね、僕は君には釣り合わないよ」
「……」
ーーーー失敗である。
それはどういうことだろうか。
目の前のイケメン君に聞いてみようか。
涙目になりながら走りさっていく女がちょうど居なくなったところで、
「ちーす」
「フエノ君。なんで毎回いるんだい?」
「そりゃぁお前が周りに取られないかを監視してたんだよ」
「その発言は時に誤解を招くから止めようか」
「はーい」
適当に返事をした後、チラリと顔を伺う。
名前はハズキ。
一言で言えばデキすぎ君。
スポーツ万能でイケメン。
頭も良いし優しい。
強いて言えば俺の幼なじみ。
こんな人間は他に存在しないだろう。
「なぁハズキ。この学園ではなぜカップル誕生の確率が低いんだ?」
「んーそうだな、みんな人と親しくなりたくないんじゃない?」
「その心は」
「ほら、この学園はーーーーー」
言いかけた瞬間にチャイムが鳴り響いた。
「あ、ごめん次移動教室だった。また後で話そう」
「あ、あぁ」
はや歩きで目の前を通り過ぎて行く。
目の前にいるボッチを置いて彼は友達と共に移動教室にでも行くのだろうか。
そんな思いを胸にしたが、バカバカしいと首を振り、自分も移動教室を目指したのだった。
*
「はいここフエノよろしく」
「下が5で上が2です」
「よし、これで全問正解だな。座っていいぞ」
いたって普通の授業。
そんな言葉が頭に浮かんだ。
今解いているのは高校レベルの問題であるからだろうか。
まぁ自分は高校を卒業した後だから全然関係無いんだけどな。
ため息混じりに黒板をぼんやりと眺めていると、横からの視線がやたらと痛い。
「ねえあの人今全問正解だったよ?」「まじで?」「あの問題って俺一問も合ってなかったわ」
なんて声が教室から自分の耳に入ってくる。
「…まぁ嬉しくなくはないけど」