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ネコ集会での噂

 ニャー


 カリカリカリカリ


 ニャー


 カリカリカリカリ


「外に出たいの? 遠くにいっちゃダメだよ」


 飼い主にドアを開けてもらい、僕は家の外に出た。今日はネコ集会の日だから、どうしても出かけたかったんだ。

 都会のほうでは、飼い猫は家の外に出してもらえないらしいけど、うちのほうは田舎なので、割と自由に出してもらえる。

 僕の名前はシロ。二歳の雄の雑種。小さいころに今の飼い主に拾われた。


 ニャー

 ニャー

 ニャー


 ネコ集会の広場には、すでにこの近所の猫がたくさん集まっていた。

 気の短い人間がたまたま通りかかり「うるさい!」と叫ぶと、一瞬だけ静かになり、みなでその人間を見つめたが、人間がどこかに去ると、またニャァニャァと鳴き始めた。


 僕らネコは、かつて地上の支配者の一員だった。

 古代エジプトのブパスティス信仰に、その痕跡が残されている。古代エジプトにおいて神と崇められた一神が僕らの祖先なのだ。

 いや、僕らだけではない。かつてヘビ達は、二足歩行するヘビ人間として、たくさんの都市を築き科学と魔術の探求者だったし、イルカは深きものと呼ばれる海の支配者だった。


 いまや、人間の遺跡の片隅にその痕跡をとどめる二過ぎない深淵の知識に触れた人間達は、かつての僕らを畏怖を込めて『旧支配者』と呼んでいる。


 しかし、僕らはひどく退化してしまった。

 ヘビ人間や深きものの末裔は、今でもかつての栄光を取り戻そうと目論んでいるようだが、僕らが支配者の地位に返り咲くことはないだろう。


 ちょっと前の僕は、よくこのような話をこのネコ集会で話したが、お前は変わっているという感想しか持たれず、最近は口をつぐんでいる。

 大抵のネコにとって重要なのは、よそ者や外敵の驚異や、どこに居心地のいい日溜まりがあるかということだけだ。

 僕も飼い主の変わった趣味がなければ、ただの猫に過ぎなかったろう。


 だが、この日、ネコ集会で持ち上がったのは「ネコゾンビ」というひどくショッキングな話だった。

 死んだはずの猫が蘇り、この近所を徘徊していたのだという。


 ネコゾンビとはなんなのか、今回のネコ集会はその話で持ちきりだった。


 そして、この事件がきっかけで、僕は旧支配者に関わる事になるのだった。



 猫の視点で描く猫クトゥルフ「Cathulhu」のオリジナル話の序文です。


*人間との混血で有名な「深きもの」ことディープワンですが、クトゥルー13「深きものども」(青心社)には、イルカとの混血種が登場します。

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