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7話

とはいえ神竜山に入れる者は歴史上殆どいない


何故ならばそこに辿り着く前に力尽きる者が殆どだからだ

そんな山を目指す命知らず共を食い散らかすのが死んだ魂が安らかに眠れます様にと願を込めて


眠りの森


と呼ばれている


何を隠そう今の僕達がいる場所こそが眠りの森なのだがそれは置いておく


キルスはそんな場所にひとりで足を踏み入れた。と言っても精霊の姿で実際には足は付けていなかったらしいがまあいい


実際に踏み入れたキルスは特に問題もなく進んで行った

確かに独自の進化を重ねた生態系で見たことのない生物が多く存在しているが魔力を消した上で姿まで消しているキルスは気付かれる事も無かったらしい


そうして難なく神竜山に足を踏み入れたのだが……踏み入れた瞬間にキルスは意識を失った




「んぅ……」


とキルスが目を覚ました時には白と黒の2体の竜がいたらしい

そしてその2体の竜はキルスの頭の中に直接話しかけて来た


『目覚めたか? ここは竜族の土地と知ってお前は入り込んできたのか?』


と黒竜は言った


キルスは


「はい。ここなら争いに巻き込まれなくて済むと思って」


と正直に答える


『…………詳しく話してもらえるかしら?』


白竜が聞いてくる


キルスは自分の事、自分で体験した事、戦争なんてしたくない事を正直に話した


暫くの沈黙の上


『お前はまだ魔族とはいえ子供だ大人になる位までならここにいてもいい』


『辛かったわね。ここならそういう事は確かに起こらないから好きなだけいるといいわ』


と2体の竜は言った


その優しい言葉に親に愛情の代わりに道具としてのスキルを与えられ続けたキルスは感情が溢れ自我を持ってから初めて声を上げて泣いた


そんなキルスを見て黒竜があたふたしていた事は未だに白竜にからかわれているらしい

これは僕が白竜から聞いた話だ


そんな訳でキルスは神竜山で暮らす許可を得た。とはいえ許可を得ただけで寝る場所もなければ食べる物も無かった


その為にキルスは元の姿に戻る事なく精霊の姿で生活を続けた。燃費が良く雨風さえ凌げればいいというスーパーエコホディだからだ

暮らし始めは適当に食べれる野草を味を我慢して食べていたのだが1週間程経った日に目覚めたら大型の猪の魔物が置いてあった


お礼を言いに竜達の所へ行くが白竜は知らないと首を振り、黒竜はし、知らないと言って飛び立った


白竜は


『あなたの事を娘の様に大切に思っているのよ』


と言った。その後に


『私もね。本当に困った時は言いに来なさいね』


と言われキルスは再び涙を流した

その日から2人の事をお父さん、お母さんと呼ぶ様になった

寝食を共にして魔法を教わる。そんな生活を20年程続けた時に白竜が卵を産んだ


そして


『この卵にはあなたの弟か妹が入っているわ。キルスに託すからしっかりと面倒を見てあげてくれるかしら?』


と言われ、竜の生態も教わりどの様にすれば孵化するかも知っていたキルスは


「お母さん私に任せて!」


と言ったが、まさかそこから10年間も魔力を注ぎ続ける事になるとはキルスは想像もしていなかった




尚、その卵に魔力を注ぐ後ろでずーっと黒竜が隠れながら(隠れ切れていない)キルスを見守っていた事は言うまでもない



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