6話
キルスの話をしようと思う。これはあくまで本人から聞いた話だけど
結果から言うとキルスは精霊でも妖精でもなかった。僕と同じ魔族の様だ
精霊は火・土・風・水などといった自然な物に霊力が集い産まれるらしい
これは基本的に死に関係している
火に焼かれ
土に埋め
風が運び
水に還る
この様なサイクルの中で霊力が集まるらしい
キルスから聞いたから多分そうだと思う
だがこの世界には氷や雷の精霊もいるらしいが存在が稀らしい
雪山で氷漬けになって死んだとか
雷に打たれて死んだとか
勝手に思っておく
さておき、キルスは魔族だ
それで、魔族とは
見た目は人間とさほど変わらない
多少肌の色だったり耳の形が違う種族もいる様だが一番の違いは体内に魔石を持つか持たないからしい
魔石は魔族や魔物が生まれながらにして体内に持つらしい
魔石は体と共に魔力を貯めて大きく成長するが産まれた時に持つ魔石の大きさが大きい程将来を通して魔力量が多い
精霊と契約するまで魔石は無色透明だが精霊と契約する事で
火なら赤色
土なら茶色
風なら緑色
水なら水色
氷なら青色
雷なら黄色
と変化するらしい
旅立つときに投げ渡され弾けた赤い宝石が魔石という物だった。弾けたのではなく僕の体の中に侵食し定着した為に僕は魔族になったと推測される
他の色もある様だがそれは教えてもらえなかった
それと魔族は人間族を見下し支配下に置こうと戦争を繰り返している
説明が長くなったがここからが本題だ
キルスは魔族だがはぐれ魔族らしい
なんでも生まれつき魔石が大きかったらしい
通常はビー玉程らしいが野球ボール程の大きさを持って産まれた。これは100年生きた魔族よりも大きく将来を期待されたらしい
キルスの両親は他の魔族と同様に人間を見下していた
そこに有望な娘が生まれた訳だ
キルスは無属性の魔法を幼少から叩き込まれた
姿形を変化させる
自分の周囲の時間の流れを変える
魔眼もその時に得たらしい
そんなキルスが初めて戦争に行ったのは7歳だった
話を聞いていたのと見るのでは訳が違った
肉の焦げる匂いと生臭い匂いが混ざり自然と胃の中身が浮いてくる
戦争の内容も魔族の一方的な展開にはならず戦争に参加した魔族7割程の犠牲の上で勝利した
そんな戦争にこれからも参加させられる事を感じたキルスはその日の夜に叩き込まれた魔法を使って逃げ出した
透明になり、魔力を消し、念のため姿を精霊に変えて魔族と人間族の不可侵の土地を目指した
それはこの世界の中心であり1度入ったら2度と出てこられないと言われている山
神竜山と呼ばれている場所だった