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1話

まず言おう

これは僕の物語かもしれないし君の物語かもしれない

同じような事を思う人に届けばいいと思う


12/24世間ではクリスマスイブと言われている

人間関係を築くのが苦手で無宗教の僕には関係ないけどね

でも、そんな日に僕は街を歩いている

仕事は?って

上司から繰り返されるパワハラで食事は味もしない、眠れない、何か考えるとすぐに死ぬ事ばかり考えてる

最近じゃ仕事中に意識が遠のくことが多くなった。集中なんて出来るわけが無い状況だったが、それをやる気が無いと罵声という名の注意を受けて本格的にヤバイと感じ病院行って診断書を出されたよ

気分転換に外に出て上を見上げればマンションや工場に電信柱、死ぬ場所ばかり自然と探してる毎日だ


そんな時に通りかかった銀行で強盗事件が起きた

犯人は昔のアニメみたいにダイナマイトを腹に巻いて金を出せって脅してた

そんな事が起これば野次馬が集まってきて警察も勿論来た

警察の必死の呼びかけも虚しく諦めた犯人は数人を巻き込んで自爆した

結果、僕が初めて嗅いだ死の匂いは焦げ臭かった

僕は後ろからは野次馬に押され前からは警察には押される所謂板ばさみの位置にいたんだ

まあ野次馬の最前列って事

でだ、犯人が自爆した時に警官も何人か巻き添いで吹っ飛んできたんだよ

僕の足元には男か女かわからない下半身だけ落ちていたんだ

そう、ホルスターに拳銃が入ったままね


どうしたかって?

そりゃ引いたさ

何となく安全装置らしきものを外して流れるような動作でこめかみを打ち抜いたんだよ


これで全部終わる


…………筈だったのにさ







「はーい残念でした。私としては死にたい人を死なせてあげたいんだけどさ、こっちもこれが仕事でね。君が自殺したのを直接見て7人がトラウマになっちゃってさー。他者に迷惑をかけた者はそのまま死なせてはいけないルールなのよ。しかも運が悪かったね5人以上は不死コースなんだよー。君ついてないねー」


「どういう事?僕は死んだんじゃないの?」


この部屋?仕切りのない真っ白な空間を部屋と呼べるのだろうか

この空間には僕ともうひとりしかいない

物も目の前にある僕よりも背の高い机と椅子だけだった

目の前には大量の書類を机に乗せて掌程度の判子を引っ切り無しに押す幼女がいた

こっちは見ずに書類に判を押しながら話している

琉球の伝統衣装の様な物を着た幼女は黒髪を2つのお団子で夢の国のネズミの様に纏めている

世間一般的には可愛い部類に入るだろう。どうでもいいけど


「そうそう。君は死んだんだけどさ、自殺は迷惑をかけちゃいけないってのがこっちの勝手なルールなの。例えば君が崖から海に身投げしたらそのまま成仏だったのよ。だけど大人数の前で拳銃でこめかみバーン! は中々にインパクトが強くてさー。真後ろの人はトラウマで廃人だよ。他にも6人程深刻でねー。君は死ねなくなりました!ってことさ」


成る程、確かに死んだらしい

まだ小学校に上がる前に母親から閻魔という奴が地獄と天国に行く人を分けていると聞いた事があるけど、まさかこんな子供だとは思わなかった


「で、僕は結局どうなるの?」


「元の世界で永遠の命でも良いんだけどそれだと君がまた同じ事をしちゃうかもしれないからさー。違う世界で永遠に生きてもらおうかと思ってさ」


「別の世界?」


「そう別の世界さ。やっぱり永遠に生きるんだし寿命が長い奴がいる世界の方がいいだろう?だからそういう奴らがいる世界に送ってあげるよ。仲良くなれるかは君次第だけどね。何か質問はあるかい?」


「言葉は通じる?」


「ああー君はそうきたか。言葉は通じないよ」


「そうか……」


「うーん。君は余り自己主張をしないタイプだね。じゃー仕様がない。今から3個の選択肢をあげるから好きな物をサービスするよ」


幼女の出した選択肢は以下の3個だった


①:言語理解ができ文字も書ける

②:体力は無限だし力は世界最強

③:魔法を使える


僕は……






「①で頼むよ」


「ほう。どうしてだい?」


「死ねないんだろう?いつかは人間と関わらなきゃいけない事もあるかもしれないし、そんな時に他人の為に苦労するなんて御免だから」


「ふーん。まあいいけど。じゃあ①番を実行するよ。あとこれはクイズに付き合ってくれた選別だ持っていくといい」


そう言って幼女は赤い宝石の様な拳ほどもある石を僕に投げ渡す

僕は両手でキャッチすると水のように弾けてしまったけど。そんな事より質問をしたいことがある


「最後にいいかな?」


「なんだい?手短に頼むよ。これでも忙しいんでね!」


「僕の名前って何だっけ?記憶はあるんだけど思い出せないんだ」


「教えてもいいけど必要かい?」


「…………いらないかな」


「じゃあ行ってらっしゃい」


それを受け取った瞬間に僕の新しい人生が始まったんだ

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