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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第三期】、第2章《信頼と後悔と》
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-4-


 幻聖獣アルケミフォス討伐のため、南西シャインティアの首都フェル=ベルから《大樹海》の最奥地にあるワープポイントにやってきた。


 辺りは不気味なほど、深い霧が立ちこめている。


 今回のパーティー編成は、わたしと真中ことマーナとフェイトさん。それからランズベルナントさんにミレネさんにカテリナさんにねこパンチさん。そして……古龍王さんの8人。



「この度は、無理な頼みを引き受けて頂き、感謝します」

「いえいえ! それよりも交流出来て、とても嬉しいですっ!」


 古龍王さんはイメージとは違い、意外なほど大人な貫禄を感じる低姿勢な人だった。とは言え、その外見は名前通りというか……ガタイの大きな人でビックリする。たぶん、ザカールさんと同じジャイアント・ドワーフ系種族だと思うんだけど、肌が色黒くて重厚な鎧で身を包んでいて最初は怖かった。でも、話せば普通の人だったから、ホッとしてる。



「それにしても……てっきり冬馬殿も来てくれるのかと期待していただけに、少々残念でした。久し振りに、彼と語り合いたかったのですが…」


「…………ねねっ、太一。もしかして古龍王さんはさ、冬馬さんと接近するのが目的だったんじゃ??」


 わたしは古龍王さんに聞こえないよう、太一の耳元にまでコソッと近づき、小声で言った。…………つもり、だったんだけど。


「いや、それはないのでご安心を。今回はあくまでも、幻聖獣アルケミフォス討伐が如何なるものか、この目で確かめたいという欲求と。貴ギルド連盟体と個人的に交流を深めたい、そう考えてのことなので」


 うっわ! めっちゃバレてるし、聞かれてたしっ!

 わたしはそうこう思い、顔を赤らめ、慌てた。


「個人的に……?」

 カテリナさんが何か気になったらしく、そう零す。


「個人的に、ということは。今回のこと、『対・天山ギルド本営』とは関わりない、そういうことでしょうか?」

 カテリナさんのその言葉を聞いて、古龍王さんは困った様子ながらも小さく頷き言った。


「個人的に……だと、迷惑でしたか?」

「あ、いえっ! ただ……意外だったもので。ハハ♪」

 カテリナさんの代わりに、わたしが慌ててそう答えた。こんな事で、無闇に関係を悪くしたくはない、そう思ったから。


「個人的というのは、確かに意外にゃ。何か訳でもあるのですかにゃ?」


 ──ぐはっ! 

 折角フォローしたつもりだったのに、ねこパンチさんが直ぐさま、そう繋いで来たので参った。


 すると、古龍王さんは軽くため息をつき、仕方なげに口を開く。



「このまま事情を説明せず、黙ったままというのも失礼なのでしょうね……。

これは、内々にして頂きたいのですが。実のところ、そちらの連盟体と直接的に友好関係を築いていた『薔薇の騎士団』が先日そちらへ移籍したことで。現在、うちの連盟内で色々と意見が別れ、そちらに対する不信感が高まっているのです」

「「「──!!」」」


「しかし、それでは困る。この南西では依然として、『天山』が最大の連盟勢力です。これに対抗する為には、そちらの連盟と上手くやってゆくのが一番(ベスト)。ただ……」

「ただ?」


 古龍王さんの話を受け、フェイトさんがそう聞き返した。

 古龍王さんはそんなフェイトさんの方を見つめ、ふっ……と軽く笑み、それからこのわたしの方を真剣な眼差しで見つめ口を開く。


「この私自身も、実のところ、そちらに不信感を抱いている」

「「「──!!」」」


 わたし達一同は、その場で固まった。




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