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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第三期】、第2章《信頼と後悔と》
93/213

-3-

 あれからわたしは部室にチョコッと顔を出して、真中と一緒に楽しく本屋って雑談って、家に帰宅し居間を覗き込んだ。


「たっだいま~♪」

「あら、おかえりなさい、アリス。今日も来ているわよ?」


「へ? 誰が??」


「こんばんは! お邪魔しております、アリス姉さまっ♪」

「よう、遅かったなぁ~。ワシの可愛い、マイハニー♪」


「──わっ!? いや、あのっ、わたしは基輔さんのそのっ、なんてろハニーとかではないのでっ……!」

「まあまあ~アリス、恥ずかしがらないで、細かいことは今さら別に良いじゃないの」


「いや、いやいや! 良くないしっ! 恥ずかしがってもないし! 細かくなんかないし! まあまあじゃないしっ!!」

「そんなことよりもアリス、あのね。基輔さんって、凄いのよ。姓名判断ができるだって!」


 あ、え? なに? せいめい?? って? まさか、種の起源的な??


 わたしがそうこうハテナ?ってる間に、母さんは再び居間にいそいそと戻り、姓名判断をしてもらってた。



「む~……ほほぉーっ! 奥さん、あなた学生の頃からかなりモテまくってましたなー?」

「あらあら~♪ うん、そうそう。大正解っ!」


「わはは♪ 良いですなぁ~。

街を歩けば、男どもが下心満載で列をなし、だけどわたしはゲーマーなのよ、と相手にせず。

今の旦那とは、ネット内で知り合い。初めてオフ会で出会ったその瞬間に、なんと『ゲーマーシンパシー』を感じ、お二人は互いに一目惚れ。即、恋に落ち、結婚!

誰もが羨む美男美女! 趣味も同じで言うことなし! いやぁあ~素晴らしいっ! 悠々自適なバラ色の人生がこれから先も開けておりますぞっ♪」

「あらあら~、まあまあー♪ 図星で参っちゃうわねぇー♪」



「…………」 

 どうも母さん、もうすっかりやられちゃってるっぽいなぁー……?


 そんな様子を半眼の呆れ顔でそう思うわたしの背中を、誰かがツンツンしてきた。


 弥鈴(みれい)ちゃんだ。


「アリス姉さまっ! よろしければ、これをご一緒に……そのぅ~…」

 

 見ると、弥鈴ちゃんは両手に教科書とノートが握られてあった。

 あー……なるほどっ。夏休みのお勉強を一緒に、ということね?

 わたしは微笑み、口を開いた。



「うん、いいよ。あとで二階のわたしの部屋で一緒にやろっ」

「ありがとうございますっ!」


「うんうん♪」

 わたしは思わず、弥鈴ちゃんの頭をなでなでし、良い子良い子してしまう。だって、本当に凄い可愛いんだもん。


 そのあと、みんなで楽しくご飯って、弥鈴ちゃんと一緒に風呂って、二階へと上がる。そうして1、2時間ほど勉強ってから、弥鈴ちゃんは父・基輔さんと共に、ニコニコ顔で手をふりふりしながら満足げに帰ってった。



 ──と、いったところで!

 久しぶりに、A・Fへと参りますか!


 そんな訳で、わたしは早速ノートパソコンを起動し、A・Fセットを装着。そして、いつものように一つ一つチェックを開始!


 目を左右上下に動かし“目”認証カメラ連動感度確認よし。“頭”も左右上下に動かし前面上下210度HDフル画面カメラワークの動作と感度確認よし。それから赤いラインの入ったセンサーグローブを装着し、手指を動かし動作感度確認。次に専用ボディースーツを着込み、ポンポンと軽く叩き衝撃の程度を調整確認。それから腰や身体をひねり、動作感度共に良好確認。そして専用シューズを履き、軽く前後左右とクイック&クイックバックでチューニング具合確認。


「ヘッドギアよし!

グローブよし!

スーツよし!

シューズよし!

A・F起動よし!

ドリンクは必要ないので、このままレッツよしっ!」


 そんな訳でわたしはアストガルド・ファンタジーの世界へと、通常ログインする。次第に視界が明るくなり始め、間もなく、アストガルド・ファンタジーの世界へと降り立つ。



 ◇ ◇ ◇



「へ? それって、どういうこと?」

「いや、だからさ。幻聖獣アルケミフォスの討伐法を知りたいってことで、相談されたんだ。古龍王老GM、古龍王から」


 フェイトさんの話に、思わずビックリだよ。


「だけど、古龍王さんて、あの『対・天山ギルド同盟』の代表なんでしょ? つまり、敵対ギルド連盟の代表だよね??」

「ばか……今はオレたち、その天山から狙われてんだから、そうはならないだろ」



 あ、そっか……。

 今は、わたしと天龍姫さんが敵対関係なんだ。

 わたしはそのことを思い出し、急に悲しくなった。


「相変わらず、お人好しの過ぎるヤツだな? 足手まとい。好き嫌いはともかく。今は、天山と敵対関係にある奴らと仲良くしといた方が、何かと有利だろう。違うか? 

それに、前回の借りもある」


 誰かと思えば、カテリナさんだ。


「カテリナの言う通りだと、オレも思う。だけど、アルケミフォスを討伐するには、アリスの協力が必要不可欠だからな。回答については、今のところ保留にしてる」

「この件は、アリスさん次第です。どうしますか?」

「……」

 フェイトさんのあと、太一ことランズが優しげにそう繋げてきた。

 でも……どう、と言われても正直なところ困ってしまう。


「冬馬さんは、このことについて何か言ってないの?」


 わたしの言葉を聞いて、真中ことマーナとねこパンチさんを含めた5人は互いに顔を見合わせ肩をすくめたあとこちらを見、ねこパンチさんが口を開いた。


「特に何も言ってなかったにゃりが、『古龍王は嫌いじゃない』とだけ、言っていたにゃりょ?」

「…………」

 まあ何というか、それって、実に冬馬さんらしい。


 先日、冬馬さんが「『対・天山ギルド同盟』とは、今くらいの距離を保ちたい」と言っていた。理由は、強ギルド連盟同士がお互いに睨み合えば、他の相手を攻めにくくなるから……らしい。

 わたしとしても、これ以上天龍姫さんとの関係を悪くしたくはない。だから納得した。その冬馬さんがこの件で特に反対しないのであれば、あくまでも条件付きだけど、わたしとしても反対する理由はない。

 きっと、考えがあってのことだと思うから。



「分かりました! アルケミフォス討伐、行こうー! おー!!」

「「おー♪」」


 そんな訳で、わたしたちは急遽アルケミフォス討伐へと向かうことになった。




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