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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第三期】、第1章《マイハニー》
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-1-


 はいっ! お待たせ?しましたー!

 ようやく第三期のスタートとなります。 


 今回は困ったことに、〔現実世界パート〕ばかりな展開になります。新しい《ギルド連合体》が発足したばかりで〔仮想世界〕が気になるところですが、ほんの少しお付き合い頂けたら幸いです。


 なお、またしても登場人物が増えますが、今のところ〔現実世界〕のみとなっております。今後の展開を考えると、ここで出しておきたいが故あってのことです。



 因みに、アリスの“ゲーム内貧乏”ぶりは鉄板なほど相変わらずです・・・(泣





「うわあー! 凄い賑やかだねぇー!!」

 次の日の夕方6時頃、駅で待ち合わせして皆で矢八万神社へとやってきた。今日は、花藤さんも居る。因みに、良い思い出作りをしようと言うことで、みんな浴衣姿。


 お祭り独特の仄かな灯りが鎮守の杜全体に広がり、とてもいい雰囲気を出している。何よりも、出店から漂う美味しそうな香りが胃袋を刺激する。


「よしっ! とりあえずトウモロコシから食べようー!」

「えぇ~……わたし、ヤキイカがいいなぁ。昨日、食べ損ねたし」

「あ、ほら! アリス見てみ、ヤキイカもいいけど綿菓子も凄く美味しそうだよ! アレにしない?」


「わお! 七色の綿菓子だあー! うん、アレもいいねっ!」

「……そうかぁ? 悪くはないが、綿菓子ではお腹が膨れないだろう? だから、もっとこう……」

「花藤さん、もしかして家で何も食べてこなかったの?」


「ああ、せっかくの祭りだし、色々と食べ歩きたいと思ったからな」

「おお! なるほどっ、それもそうだよねーっ♪」

「こらこらお前ら、少しは食い気よりも、色気を出してくれよ。浴衣姿が台無しじゃないか……」


 岡部くんが半眼の呆れ顔にそう言ってくる。隣に居る太一も、困り顔にも苦笑い小さく肩をすくめていた。

 わたし達3人は、そこで互いに顔を見合わせ思わず頬が朱色に染まる。



「──あ、うわっ」

 急に、わたしの腰あたりに、誰かがタックルを決めてきた!?

 びっくり眼に後ろを振り返り見ると、そこには11か12歳くらいの浴衣を着た女の子がわたしを下からジーッと黙ったまま真顔で見上げていて、間もなくニコリと無邪気に微笑み抱きついてくる。



 か……可愛いーっ!



「……アリス、この子と知り合い?」

「え? ん、ぅ~ん……ンー…」


 真中からそう聞かれ、わたしは色々と思い巡らしてみたけど、結局は思い当たるものはなく「……さあ~?」と困り顔に肩をすくませ苦笑うしかなかった。


「もしかすると、迷子じゃないのかぁ?

おい、チビ。名前は? 親とはどこではぐれたんだ??」

「無礼な奴だな、お前。こう見えても中1だ。子供ではあるまいし、迷子になどなるものか」



「「「──えっ?!」」」



 女の子は、見た目からでは想像も出来ない口調でそう言って、またわたしにゴロにゃん♪と甘え抱きついてきた。


 ぅわ、凄い可愛い……! 


 ちょっと言葉使いには、疑問を感じるけどね?

 それにしてもこの言い回し、どこかで…………あ!!


「もしかしてこの子、昨日わたしに弓を教えてくれた神社の?」

「あ! そう言えば、あの子に似てるね?」

「神社の、って??」


「昨日アリスが、ここで弓を教わってさ。その時に教えてくれた子と似てるかな?って」

「弓を? この生意気なチビからかぁ??」

「…………」


 花藤さんはそう言いながら、澄まし顔で女の子の背後から頬を軽く横にプニョプニョ引っ張ったり、口を左右にプニプニと広げたりして弄ってた。どうもさっきのを根に持ってのことらしい……。

 女の子は、花藤さんの方を不愉快気な表情で半眼に振り返りジト目で見つめている。そして、


「誰が生意気なチビだあーっ!」


 と女の子はそう言うなり、どこから出したのか弓矢をサッと速射した!?

 それは見事に花藤さんの額にヒットし、突き刺さっているっ!!?



 ──うそっ!!



 わたし達は心臓が止まるほどに驚いた!


 が…………よく見ると、その矢の先端部分はゴム製の吸盤。どうやら、花藤さんの額にただ吸着してるだけっぽい。

 そのことが分かり、ホッとしたけど、当の花藤さんの方はそれで目をグルグル回し立ったまま失神してた。


 あらら……。


 太一から直ぐに支えられ、倒れずに済んだけど、危ないなぁ。



「……ふん。意外にも気の弱いヤツだな」

「──!!」

 


 わたしはそんなことを呆れ顔に言う女の子から弓矢をサッと取り上げた。そして真剣な眼差しで口を開く。


「こらっ! 幾ら玩具でも、万が一当たりどころが悪ければ、大変なことになっちゃうかも知れないんだよっ! それに、花藤さんはわたしの大切な友人なの。もし何かあったら許さないからねっ!!」

「──!?」


 女の子は途端に顔を真っ青にし、目尻に涙をため、泣きそうな表情を見せた。


「でもっ! この者が先に、私をチビ扱いして来たのだ!! だから」

「それは! ……そうかも知れないけど、でもだからといって倍返ししても良いってことにはならないでしょう? もう子供ではないんだから分かるよね? だって、中1だもんね?」


「──!! ぅ、うん。当然にそれはわかっておる!」

 女の子はやや俯き、目を少し背けながらもムキになった感じでそう答え、最後は「偉いだろ」とばかりにふんぞり返ってた。


 わたしはそんな女の子を半眼にも苦笑い見つめ、次に澄まし顔で口を開く。

「だったら、次に何をやればいいのかも分かるよね?」


「──!? …………あ、謝るっ?!」

「うん、当たりっ!」

 

「──!!」

 女の子はあからさまに嫌そうな顔をしていた。

 でも、仕方なさそうにため息をついて、今もまだ太一から支えられ気絶したままの花藤さんに近づき、「おう、すまんかったなぁ~」と何故か頭を軽くポンポンなでなでする。

 

「……………」

「……………」

「……………」

「……………」


 なんか微妙に行動が間違ってるような気がするんだけど、一応反省はしているようなので、まあいっか?


 花藤さんはそこでハッと目を覚まし、間近で自分を抱きかかえている太一に気づき、間もなく全身真っ赤に染めながら慌てて離れてた。

 太一は太一で、急に意識したのか頬を染めている。


 ムッ! こらこら太一、浮気禁止っ!!


 まあ、花藤さんみたいな美人が相手だと仕方がないんだろうけどねぇ~…………はぁ。




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