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アストガルド・ファンタジー  作者: みゃも
【第二期】、第8章《最悪に対する最良の一手》
79/213

-2-

 炎の城南門から出て間もなく、最初の拠点が前方に見えた。


「よし! 先ずはあれから落とす」

「「「にゃにゃん!!」」」


 拠点はあっという間に陥落。

 大体3分くらい?


 そう言えば今回、新たに手に入れたスキルを試す予定だった。でも、無駄に精神力を消費する訳にもいかないので、ここは慎重にやらないとね。


 わたしはそう考えながら、メモを確認。事前に色々な組み合わせを考え、コレに書き込んでた。

 だけどまだ試してないので、実際に使えるのかどうかすらも不明なんだけどね?


 わたし達パーティーは次々と周辺拠点を制圧し、決戦ポイントを稼ぎまくってた。


 が、状況は間もなく急変する。



『炎の城付近の拠点へ、天山ギルド本営軍、来襲。位置は、北部と西部拠点周辺。

近くのパーティーは、状況報告を願う。但し、深追いは回避して!』


 冬馬さんからの、緊急を知らせるアナウンスだ。


「フェイトさん!!」

「ああ……もう来たみたいだな」

「まだ、判断するには早いが。ここは一旦、引き返したがよくねぇかぁ? 

こんなところで孤立なんかさせられたら、困るからな」


 ザカールさんの意見に、みんな頷いた。

 そんな訳で早速、炎の城へと向かう。



「……あ!」

 炎の城から南にある拠点が、天山ギルド本営軍に攻められていた。しかもそれは、デッキパーティーシステムで編成した1軍。

 とても今のわたし達パーティーの戦力で、まともに戦える相手ではなかった。


「やべぇな……ここは気づかれないように遠回りして、炎の城を目指すしかねぇか?」

「待って!! ちょっとレーダー確認してみ! それどころじゃないみたい」


「「「──!!」」」


 マーナから言われ見ると、周辺マップレーダーに多くのプレイヤーマークが表示されていた。しかもそれは、どれもこれもデッキパーティーシステムで組まれた軍ばかり。


 間違いなくコレは、全て、天山ギルド本営軍だと思われる。

 それにしても、なんて凄い数の規模……。


「こりゃ……大手3ギルドだけの参加じゃないのは、間違いねぇな? 

本格的に、組織ぐるみでやって来たって感じかぁ?」

「わざわざ宣戦布告までして来たんだ。そんなのは当たり前の話だろう?」

「今はそんな呑気なことを言ってる場合か! 

アリス様、ここは強引にでも突破して、炎の城を目指すべきです!!」

「あ……ぅん! そぅ、だよね?」

「よし。アリス、そんな訳で《ゴッデス・ウィング》を頼む。それで一気に、ここを突破しよう!」


「──あ、はい!!」



 わたしは直ぐさまに上級白魔法〈パラスファリネ〉と上級黒魔法〈ゼクロムファイアボム〉を発動、そして即座に上級召還術スキル〈フェルフォルセ〉を唱えた。


 

『汝等、我と共にあれ……〈フェルフォルセ!〉』



 途端に発動可能一覧が表示され、空かさず《シェイキング》する。と、いつものように青白い光を放ちながら隠しスキルが現れる。

 わたしはそれを直ぐに選び、発動する!


『《ゴッデス・ウィング!》』

 パーティー全員の攻撃速度、魔法発動速度、防御反射速度、移動速度を含めた全てが180%上がる。効果時間、約3分。



「こりゃあ……噂には聞いていたが、スゲえもんだなぁー!」

 ザカールさんだ。 


 そう言えば、ザカールさんもアザミューナさんもこれを直接見るのは初めてになるんだっけ??


 わたしはそんなことを思いながらも早速、カムカの実を数粒ポリポリと食べた。でもまだとても足りないので、追加で数粒ポリポリと食べる。

 頬がまるでリスみたいに膨れているけど、今はそんなこと気にしてられないもんね?


 ところがそんなわたしを、パーティーみんなが呆れ顔で遠目に見つめていた。


 あ、いや、待って! そんな風に食いしん坊でも見るみたいな表情で見ないでください……。


 なんか、泣ける。



「よし! 行こう!!」

「「「――にゃにゃん!!」」」

「にゃにゃ~ん……げふん…」



  ◇ ◇ ◇



 一気に突破しようとするわたし達パーティーの存在を、天山ギルド本営軍は直ぐ様に気づいたようで。こちらに走り向かって来た。


 が、それをミレネさんが超ロングレンジ大弓スキルで速射し、高精度で1人1人貫き倒している。

 でもその間、ミレネさんの足が止まっていた。


「ミレネさん!! いいから早く、急いで!」

「アリス様! 私のことは構わなくていいので、早く行ってくださいませ!!」


「──!?」

 ……そんなこと、出来る訳ない。無理だよ!!



「アリス! ここはミレネさんに任せて、早くお前も来い!!」

「イヤです!! フェイトさん達は先に行っててください!」


「「──!?」」



 わたしは空かさず、上級白魔法〈レジェヌドール〉と上級黒魔法〈ファイアスピリッツ〉の2つ魔法を発動、そして〈フェルフォルセ〉を唱えシェイキングする。



『《合成召喚:火の隷ファルモル!》』


 それから空かさず、ミレネさんに向かう天山ギルド本営軍先鋒に対し、自動オープン・ターゲットフラグを合わせた。



「あの者たちを、なぎはらえ!!」



 ファルモルはそれを受け頷き、物凄い勢いでターゲットプレイヤー達を襲ったあと、役目を終え消え去る。


 流石の天山ギルド本営軍もそれで怯み、その場で足を止めていた。



「ミレネさん! 今のうちに、早く!!」


 わたしとミレネさんは、共に炎の城へと向かい走る。

 が、そこには……フェイトさん達が待ってくれてた。



「バカ……余り無茶をするな。こんな所で、オレ達を束ねるGMが倒されたら、話にもならないだろう?」

「ん、ぅん……はぃ。すみません…」


 それで落ち込むわたしの背中を、アザミューナさんが軽く手でポンと叩き、「なるほどね。ようやく今、分かった気がするわ……このギルドが、アリス、あなたをGMとして迎えた理由がね♪」と優しげに微笑み言った。


「………」



 前にも思ったけど、やはりアザミューナさんとはどこかで合った気がする。


 だけど、どこでだっけ??


 不思議と思い出せないんだけど。

 それに今は、そんなこと考えてる時じゃないよね?



 こうしてわたし達パーティーは、天山ギルド本営軍に追われながらも、多くの仲間たちが待つ炎の城へ、全力で走り向かう。




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