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「どうやら……噂は事実だったということだな?」
「ああ、黒騎士団とグリュンセルまでもが我々と敵対、対決する意志を見せているのは既に明らか。
天龍姫殿、ここは『天山ギルド本営』として秩序と威厳を示す時であると心得ますが、如何に?」
「…………」
アリス達が炎の城へと向かう丁度その頃、『天山ギルド本営』の拠点である天空の城内にて、大手3ギルド他多数の天山加盟ギルドGMが集結し、今回の対抗策について議論を行っていた。
その問い掛けを受け、GM天龍姫は苦い顔を見せている。
「何を迷っておられるのか、天龍姫殿。ここで示しを付けねば、秩序は保たれませんぞ!」
「ああ、その通りだ。我々、天山の者に刃向かうことがどういう結末を生むのかということを。この勢力内全てのギルドに対し、ハッキリと示す良い機会でもある」
「ほぉ! なるほど、この件を利用する訳ですか? なかなかの策士振りですな、ハハ!」
大手3ギルドGMの発言に対し、誰一人として苦言を言う者は居なかった。ここにミレネや山河泰然が居たら、また違った見解を示していただろうに……と天龍姫は思い耽り、そして一言だけ告げた。
「しかしあの者たちの動きの背景には、我々天山の行動には『それに似合った相応の理由もなく、強行に排除処分を行い。その後、無差別にPKまで仕掛けている』という言い分があるようようですが……。それについては?」
しかも今や、この組織の力を利用して、不当に相手を潰しに掛かろうとさえもしている。その行動理由は、天山の威厳回復と秩序維持の為であるのだと言う。
だけど、その秩序を乱そうとしているのは今や、この天山の方ではないのだろうか……?
しかも、その様な力任せなやり方で、本当に威厳というものは保たれるのだろうか……?
天龍姫には、そうした疑問がふと頭を過ぎっていた。
「天龍姫殿、相応な理由なら十分にあります! 奴らは、我々と敵対するギルド連合体と通じ、排除処分となった今も力を付け続け、明らかな敵対行為を見せ続けているのです! ここは断固として戦うべきです」
「その中には、元・薔薇の騎士団に所属していた者までもいる。お分かりになりませぬか?」
「これほどの状況証拠がある中、もはや議論の余地などありませんぞ。天龍姫殿」
「…………」
天龍姫は軽くため息をつき、そして……他の加盟ギルドGM達の様子を窺い見る。
が、他に意見が来ることはなかった。
「……分かりました。それが天山としての総意であるのであれば、私としても異存はありません」
天龍姫はそこでスッと目を軽く閉じ、それからアイスブルーの冷ややかな瞳をその場に居る全ての者に向け、口を開いた。
「『天山ギルド本営』GM天龍姫の名に於いて、『黄昏の聖騎士にゃん』に対し、本日の《決戦》開始を以て宣戦布告を行う!」
この時、天龍姫にとっては苦渋ながらの決断であった。
【第二期】、第7章《宣戦布告!》おしまい。
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