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「ライアスさ~ん、居ますかあー? アリスでぇ~す」
「おお! アリスちゃん、今日はまた随分と早いね」
ライアスさんの暖かな笑顔が、わたしを迎えて安心させてくれる。
「えへへ♪ あ……そうでした。実はこれを売りたいのですが……お幾らになりかぁ?」
「え?! だけどコレ、装備強化素材として手元に残すんじゃなかったかい?」
「そぅ、なのですが……今はそうも言ってられない事情があるもので…」
正直、今回の《決戦》はカムカの実だけで戦い抜けるとはとても思えなかった。それに、これが最後になるかもしれない、そう思ったから。
わたしはライアスさんにSSレア素材を売り払った。驚いたことに、60万リフィルにもなった!
幻聖獣アルケミファスが落とすドロップアイテムは、今ならそれだけの価値が十分にあるんだって。
わたしは早速、満面の笑みで道具屋のボルテさんのところへと向かう。
「お、アリスちゃん。今日はカムカの実の特売をやってるけど、どうする??」
「おお!! ……って、今日は特売日なんですかぁ?! 決戦当日なのにっ!?」
「そうそう、たった一個で10リフィル! 決戦当日にしては安いでしょ?」
「…………」
それ、普段の相場の2倍はしてるし……。
わたしはそんなボルテさんを半眼の遠い目で見つめた。
「それはいいので……とりあえず先に、魔聖水をこの薬袋一杯ください!!」
「へ? あのアリスちゃんが魔聖水?! 魔聖水は一つ、500リフィルもするんだけど??
今日は特売価格の、700リフィルなんだけどねっ!」
「…………」
普通に値段、上がってるしっ!!
「分かりましたよ。構わないので、それをください!!」
「え? あー……約7万リフィルになるんだけど、大丈夫なの?? アリスちゃん特別価格で7万5千にまけとくけどっ?」
もしもしボルテさん……また何気に値段、上がってませんかあー?!
「そこは6万5にまけてください!! あと、そこにある追加パックもお願いします!」
「え?? これ、たった1日しか効果のない不人気アイテムなんだけど…………アリスちゃん特別価格で、3万リフィルでどう?」
──ぅは! これも相場の倍はしてるしっ!!
「それも2万リフィルでお願いします! あと、それにカムカの実を一杯詰め込んでお願いします!! 1つ、5リフィルで!」
「えぇー……」
なんか不平不満言ってるけど、ボルテさん結構わたしから儲けてるんだから良い筈っ!!
そんな訳で魔聖水を99個、カムカの実を99個買い込んでから、わたしはギルド拠点へと走り向かった。