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「ただいまぁ~」
「あら、お帰りなさい、アリス。……意外と元気そうね?」
家の居間に居るお母さんに声を掛けると、怪訝そうな面持ちで見つめそう言ってきた。
「え? 意外と、って……母さんそれ、どういう意味??」
「どう、って……相変わらずアナタは呑気なものね? まぁいいわ。直ぐに分かることだし。それよりも早く手と顔を洗って、着替えて降りてらっしゃ~い」
「はぁ~い」
そんな訳でわたしは、手洗って顔洗って着替えってご飯って風呂って、二階の自分の部屋へと向かおうとする。
と、
「アリス、何か困ったことがあったら、直ぐにでも冬さんに相談するのよ。きっと、何とかしてくれる筈だから」
「え? あ、ぅん……ありがとう、母さん。だけど、急にどうして??」
わたしの問いかけに、でも母さんは何も答えず、困り顔でただただ肩をすくめるだけだった。
わたしもそれで同じく肩をすくめ、二階へと上がる。
それからいつもの様に時間まで勉強ってた。
すると、『チャリン♪』とスマホが鳴り、LINEに着信あり、と表示されている。
誰からだろう?と思い確認すると、真中からだった。
『アリス! 大変だよ!! 直ぐに、A・Fに入って来て!』
「へ? 大変って……」
『大変って、何かあったの??』
『いいから早くきて!!』
「……」
何があったのか分からないけど、とにかく入ってみるしかないみたい。
◇ ◇ ◇
アストガルド・ファンタジーの世界へ入って、わたしは直ぐにその異変に気づいた。
ギルドチャットや世界チャットを通じて、PK戦が繰り広げられていることがわかったから。しかも相手は、『天山ギルド本営』所属のギルドメンバーばかり。
だけど……なんで?!
少しでも状況を理解しようと思い、ギルドチャットを確かめ見ると。フェイトさんが、ギルド拠点へ避難するよう皆に指示している。
確かに拠点内なら、安全だけど……。
多くのメールが届いていたので確かめ見ると、その中に天龍姫さんからのメールが一通届いていた。
わたしはそれを直ぐに開いて、確かめる。
『【至急:重要報告】天山ギルド本営GM、天龍姫です。
先日行われた会議に於いて、貴ギルドに対し、3日間の《連盟排除処分》となりました。
これにより、本日18時をもって、貴ギルドは《連盟規約保護の対象外》となります。
アリスさん……健闘を祈ります』
「──け、健闘をって………ど、どうして…?」
「ああ、アリスちゃん。何だかギルドの方が大変なことになってるみた…………──いッ?!」
ライアスさんがわたしに気が付き、修理した装備品を手に小部屋の入り口近くから声を掛けてくれた。
わたしはその場で、ヘタリと座り込んでしまい、そんなライアスさんをボーッと見つめ、思わず涙をひとつ落としてしまっていた。